旅の入口
――――「t…k……n……ん……?…」
「そうだ。つまり……」
「これで支配が………」
「実に面白い。計画を実行しようじゃないか!」
実に長くて現実的な夢だったと思う。薄暗くて狭い部屋で人の話し声がかすかに聞こえるようななんとも不気味な夢だった。「計画」とか言ってた気がするぞ…
ケンはまだ眠りから覚めきっていない体を無理やり起こし、リビングへ向かった。そこには何故か知り合いのヒラがいた。彼女は、成績そこそこで運動も平均的なケンと比べものにならないくらいとても成績もよく、たくさんの賞を獲得するほどの運動神経の持ち主だった。
「お、起きた?ケンいつまで寝てんの?今日は町まででかけるんでしょ?」とヒラが待ちくたびれたように言った。
「ああ、そういえばそうだったな。少し待っててくれ。着替えと朝食をすぐに終える。」
昨日から泊まりでヒラが来ていたことをすっかり忘れていた。ヒラとは勉強仲間として出会った。しかし、勉強はそこそこでしかないがゆえによくバカにされ勉強を教えてもらったりした。今となっては日常茶飯事すぎてバカにされたとしても心はちっとも痛くない。そして、今日は町まで買い物がてらここ周辺の治安について調べることになったのだ。俺は「警察か!?」と言うツッコミを堪えながら彼女の勉学に付き合うことになったのだ。
俺は食パンを1切れ胴乱に入れ、そそくさと着替えた。そして、一応今日のニュースを見ておいた(特に良い情報はなかった)。身支度を完璧に済ませ、ヒラを呼んだ。
「準備できた?よぅし。行こぉう!」「そこまでハイテンションなのはヒラだk…なんでもない。」こうして、町へ飛び出して行ったのであった。