間幕 月下の白刃⑧
樹里の短いお話です
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わたしは栄に甘えすぎていたんだ……。
出会えたことがあまりにも嬉しくて、会った瞬間全てを栄に委ねちゃっていた……。
夢の事……自分が化け物である事で悩んでいた日々の中での唯一の光明……。
なんでこんなにも胸が疼くのかは分からない。
でも、父さん達の化け物退治の依頼を受けてやって来た栄の姿を一目見てから……ううん……きっと、もっとずっと前からわたしは栄の事を知っていて、彼の事を想う度に胸の奥をざわざわと疼かせて来た……。
だから……栄がどんな風に考えているかなんて考えもしかなった……。
栄にとっては、わたしなんて、只の足手まといでしかないのかな……。
わたしは栄に嫌われたくない……これからは栄とずっと一緒に過ごしたい……栄……あなたと出会ってから、そんな想いがますます強くなってきているの……。
栄がわたしに何が言いたいのかは、正確には分からない。でも、今のままじゃダメだって事は分かるわ。
だから今回の件は、わたし一人で乗り越えてみせる。
……正直言って怖い……足の震えが止まらない……。
十中八九、わたしは化け物だ……人の皮を被った人ならざる物……。
そう、わたしは自分が化け物であることを確かめるためにこうして街を徘徊しているの……。
わたしには、どうすればいいかなんて分からなかったから、今ある答えの欠片を一つずつかき集めるしか方法はなかった……。
だからあいつに会って話をするの。
昨日、栄と戦っていた鼬の姿をしていた化け物……確か栄達はあの化け物を鎌鼬と言っていた。
多分あれは、わたしの前世に深く関与するもの……あの夢の中に出てきた化け物の一人……わたしの命を奪った……鎌鼬であったわたしの命を奪った……わたしの兄……鎌鼬の風陀羅……。
「……やはり樹か……」
「っ!!」
思考の底なし沼に沈み込んでいたわたしを、その呼び掛けが現実の世界へと引き揚げる。
「……」
膝の震えが止まらない……。
「まさかお前が転生を成し遂げるとはな……」
でも……
「その姿……妖気はなくともその目を見れば俺には分かる」
彼を目にして、突然全てを理解した。
「自らの命と引き換えに、この俺を封印したあの術は見事だった……」
やはりあたしは……
「だが、今回はあの時の様にはいかない……」
化け物だ。
「百年もの永きの間、神木に封印されたこの恨み……」
あたしの身体の隅々に残る過去への記憶……。
「この場で晴らす事としようか……」
それがこの場でパズルのピースの様に組み合わされ、唐突にあたしの全てを支配する……。
シャキン
「樹……我が刃の錆となれ……」
わたしは……この、鎌鼬の隠れ里を滅ぼした……わたしの兄であり、戦うことに取り憑かれた鎌鼬《風の風陀羅》を滅ぼすために転生した、隠れ里唯一の生き残り……鎌鼬の《樹》……。
樹里が色々言っていますが、単なる一目惚れです。メンヘラ気味なのでww
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