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7:スポーツ女子と恋愛のお話をしました。

「あんた、デートとかしたことあるの?」

「どうしたいきなり」


 熊澤と合流して、購入品を求めて歩き始めると、そんなことを聞かれた。


「別に、ただの興味本位」

「そうか」

「で、どうなの?」


 熊澤と目的地に向かい始める。


 今日の目的である文房具屋で必要なものを買えば大丈夫なので、特に時間はかからない。


「いない」

「そうなんだ。

 まぁ、思ってたとおりだわ」

「そう見えるか。

 まぁ、自分でも理想が高いというのは自覚しているから、当然といえば当然か」


 熊技は俺の隣を平然と歩く。

 本来なら彼氏でもない男子の隣を歩くのは嫌ではないだろうか?


「へぇ、自覚はしてるんだ」

「まぁ、女子高生で俺の求める要件を満たしている方が難しいというものだろう」

「ふーん」


 興味なさそうな返事。


 俺とてバカではない。


 巨乳好きだからこそ、現状をしっかりと理解しているのだ。


「ならば、質問を変えさせてもらおう。

 彼氏がいたことはあるのか?」

「……私?」

「それ以外に誰がいるというのだ」


 熊澤は少し答えづらそうに頬を掻く。


「答えづらいなら別に無理にとは言わない」

「あぁ、別にそういうことじゃないんだけど」

「でも、無理をする必要はないのだぞ?」


 別に俺と熊澤は同じクラスメイト以上の関係ではない。


 だからこそ、踏み込んではいけない一線はしっかり持つべきだ。


「だから、そういうのじゃないってば。

 ……私、付き合った経験とかないのよ」

「そうか」

「なんかその反応されるとムカつく。

 もうちょっと興味を示しなさいよ」


 少し恥ずかしそうに話すものだから、なるべく興味を持っていないふうに聞き返したのだが、それがお気に召さなかったらしい。


「いやなに、意外だな、とは思った」

「そ、そう?」

「本当だ。

 熊澤は俺の理想の女性像ではないだけで、美しいしな」


 熊澤のことが好きな男子というのは俺も数人は知っている。


 その男子には今後見たら心の中で申し訳なく思うとして。


「……嬉しいんだけど、そういうことって誰にでも言ってるわけ?」

「そういう男に見えるか?」

「確かに。

 ちょっとな人にはズバッと言いそう」


 クスクスと笑う熊澤に、俺も釣られて笑う。


「というか、俺が来ると聞いてよく了解したな」

「そりゃ、あんただからよ」


 そこで、俺は話を変えた。


 先程頭によぎった、俺が隣にいて嫌ではないかという話。


「俺だから?」

「あんた、結構もう学校で有名になってる、って知ってる?」

「俺が? なぜだ?」


 熊澤の話に、俺は心当たりがない。


 俺は帰宅部で特に何か功績を残したということもない。

 別に注目される出来事を起こしたというわけもなく、成績も悪くない。


 運動神経は悪いが、体育祭は基本的に走る競技が多かったため、目立たなかったはずだ。


「巨乳好きで、朝からグラビア雑誌を読みふけり、女子に対して胸がないから付き合えない、って言ってる変わり者」

「……意味がわからないな」

「そう思うんだったらあんたの胸に手を当ててみればいいわよ。

 そのままぶん殴ってあげるから」


 冗談めかして話しているが、どこまで冗談なのかが分からない。


「というか、どうやってそんな情報は広まるんだ?」

「まぁ、部活とか委員会とか、色々なとこであんたの話題って事欠かないらしいし」

「なぜ俺の知らないところで話のネタにされているんだ……」


 今更知った事実に打ちひしがれながら、肩を落とす。


「話したくなるようなネタを持ってくるあんたも悪いんだけどね」

「俺は意図してネタを作っているわけではないんだがな」


 熊澤はクスクスと笑う。


 その表情に、俺はなんだか愚痴る気もなくなる。


 というタイミングで文房具店に着く。


「さ、買うもの買ってさっさと帰ろ」

「熊澤は午前中は部活だったんだよな?」

「えぇ、今日はみっちりやったから疲れてるのよ」

「そうか。

 この後どこかで休憩するか?」


 別に帰ればいいだろうが、帰るのにも面倒臭さというものはある。


 それに今日の外は暑く、出歩くにもどこか気力をそがれる気温となっていた。


「じゃー……スタバで!

 もちろん昭仁の奢りでね」

「そうか、男女での買い物だから必然的にそうなるか」

「……別に難しく考えなくても良いんだよ?」


 デートではないが、状況的には完全にデート。

 この状況で奢るといった行為ができないということは、将来本当のデートで失敗する可能性があるということだ。


「分かった。

 奢ってやろう」

「え、大丈夫なの?」

「別にそんな生活に困窮しているというわけでもない。

 毎月お金自体は浮くんだ」


 熊澤は俺がバイトをしているのを知っているし、金銭的に学校に通うのが少し難しい状況であることを把握はしている。

 そのため、冗談でいったようだが、


「こんな状況で奢れないような男では、将来デートのときに失敗すると思ってな」

「そんな難しく考えなくてもいいのにさ……」


 熊澤は苦笑いしながら俺の方を見る。


 その表情に俺は気づかないまま、


「さぁ、そうと決まれば早速必要なものを買おう」

「そ、そうね」


 熊澤は少し引いているが、どうしたのだろうか。


 俺はそのことの答えが出ないまま、必要な物品を揃えていく。

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