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6:スポーツ女子とお買い物をしました。

 俺は、ショッピングモールに来ている。


 別に特段大きいわけはなく、田舎の中でも割と大きいというくらいだ。


 ここでは大抵のものが揃う。


 そんなここで、俺は人を待っている。


「待った?」


 それが、この女子。


「いま来たところだ」

「……昭仁の癖にそういう事は言うのね」

「いや、事実さっき来たばかりなのだ」


 短く切りそろえられた髪。

 快活と言わんばかりの笑顔。

 すっかり日焼けして、季節通りに鳴った肌。

 スポーツをやっているもの特有のボディライン。


「そ、それなら良かった。

 遅れたのかと思ったじゃん」

「俺は時間を守らない男とでも思われているのか?」

「そういうわけじゃないわよ」


 そして、貧乳。


「……私のファッションになんか文句でも?」

「なぜそんなことを思わなければならない?」

「失礼な目をしていたから」


 熊澤エマ。


 彼女はホットパンツにTシャツというラフな姿で、ここに来た。

 彼女の体型と雰囲気にあっているため、簡素な服装でも可愛らしく映る。

 また、健康的な肌がまたファッションの一助になっているため、似合っているとは思う。


「……じゃあ行くか」

「えっ、なんで話し逸したのよ!]

[そんなことはない。

 行くぞ」

「はぁ……ほんと、こんなデートみたいなことするなら、昭仁以外が良かったわ」

「すまなかったな、俺で」


 と、なぜ巨乳以外と付き合わないと豪語している俺が、熊澤とこんなデート紛いのことをしているのかというと……



☆☆☆☆☆



 松蔭寺が転校してきて三日目。


 熊技と松蔭寺は俺を挟んで仲良くなっていた。


 俺のことを邪魔者扱いするのは面倒だが、松蔭寺が俺に突っかかってこなくて一安心だ。


「で、今日は文化祭の委員を決めまーす」


 金曜日ということもあり、みんな早く学校が終わらないかとソワソワしていたが、それは来た。


 我が学校は6月に体育祭、10月に文化祭がある。


 体育祭はそんなに準備がいらないため、面倒ではないのだが、文化祭は色々やるらしい。


 そのため、クラスの委員が最初の説明を聞き、俺らに説明している。


「文化祭の委員は基本的に夏休みに何回か集まりがあるので、しっかりと連絡よろしくねー」


 と、説明をしているのが、我が友の二人目、川田かわた 良治りょうじだ。


 最近忙しいというのは文化祭のことだったのか。


 と思っていると、教室の様子は少しざわついているのに気づく。


「まぁ確かに夏休み潰れるのはあれかもしれないけど、先輩に聞いたら講習の日に同時にやるらしいよ」


 良治はそんなみんなに補足の説明をしているが、だとしても、だろう。


 高校生になってから、初の夏休み。

 それはみんなにとって大事なものであり、高校生活初めての長期休みである。


 それを文化祭に潰されるのはなぁ、と思うだろうし、誰かがやってくれれば、とも思うだろう。


 俺に関しては生活費を稼がないといけないため、もちろん出ることは難しい。


「じゃあやりたい人ー」


 良治が適当に聞くが、当然出る人はいない。


 少し待っていると、一人の手が上がった。


「私、やるよ」

「えっ、熊澤さん大丈夫なの?」


 希望を募っといて聞き返すのか、と言いたくなるがm俺も同じ感想を抱いた。


 熊澤は陸上でもかなり頑張っている方で、夏休みなんかは一番の頑張りどきだろう。


 なのに文化祭の準備をしても良いのだろうか。


「別に一日中部活あるわけじゃないし、楽しそうだから」


 その言葉に、クラスはおぉ、とどよめく。


「そっか、それは助かる。

 で、他にやりたい人とかいる?」


 良治は他にやりたい人がいるのか聞くが、誰の手も上がらない。


 男子たちは熊澤が出ているため、出ようか悩んでいるようだが、面倒臭さと天秤にかけているらしい。


「はぁ……それじゃあ正義な」

「はぁ?!」


 そこで良治が直接指名したのは、正義だった。


「なんで俺なの?!」

「暇そうだから」

「いや夏休み暇だし帰宅部だけど?!」

「だから」

「それなら昭仁だって……」


 と正義が俺を売ろうとしたが、やめる。


 アイツは俺がアルバイトをしないと生きていけないことを知っているため、売ろうにも売れないのだ。


「……ほんとにみんなやらないの?」


 雅功の言葉に、誰も返す人はいない。


「……俺がやるよ」


 正義は折れた。

 かわいそうに。


「だけど、みんな手伝ってくれるよね……?」


 正義が後ろを振り向き、笑顔になった。


 その可愛らしい笑顔は、少しだけ身震いさせるものだった。



☆☆☆☆☆


 と、言うことで文化祭委員になった正義。


 そんな正義は、面倒くさがりながらも、文化祭委員をやろうとしたが、最初の最初で突っかかった。


『うちのクラスだけ初期備品が足りないみたい』


 それは、俺の個人チャットに来た。


 なぜ個人なんだ、と問いたくなったが、


『それがどうしたんだ』

『それで、来週までには必要らしいから、日曜日に買いに行こうってなってたのよ』

『行けばいいじゃないか』

『その時ちょうど用事があって……』

『熊澤は?』

『買い物は行けるけど、流石に一人で活かせるのもあれだし、荷物持ちをつけようと思っててね』


 日曜日は午前中にバイトがある。


 コンビニのバイトなので、特に肉体的にもつかれるということはないが、


『なぜ俺なのだ』

『他の男子だったらさ、変な目とかあるだろうけど、昭仁だったらそれがなさそうだから』

『意味がわからない』

『流石に初っ端から熊澤さんに頼りっきりというのは非常に申し訳ないので、生贄』


 正義の白状に俺は白い目をしながら画面を見つめる。


『報酬は?』

『可愛い女の子とのお買い物♡』

『ふざけるな。

 巨乳女子とだったらそれでご褒美だが、熊澤では不足だ』

『……それ本人に言うのやめなよ?』

『言うわけなかろうが馬鹿者』


 俺が本当に断ってやろうかと思っていると、


『じゃあ、この会話見せない代わりに行って』

『は?』

『このトーク画面、見せられたら嫌でしょ?』

『……嵌めたな?』

『なんのことやらんぼるぎーに』


 明らかに馬鹿にしている文面に、怒りを覚えつつも、


『分かった、行ってやるが、報酬はもらう。

 聖書を買ってもらうでどうだ?』

『……本当の聖書渡してやろうかおい』

『冗談だ。

 今度何か奢ってくれ』

『仕方がない』


 なんで頼んでいる側の正義が仕方がないなのかは分からない。


 ということで、俺は日曜に熊澤と買い物に行くことになった。

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