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本日の紅茶

変な夢を見てから、花嫁修行という名のハミルトン家での御茶会を欠席して数週間。

あのような夢を見て、どのような顔をしてユーゴに会えばいいのかわからない。

思い出すだけでも、顔が林檎のように真っ赤になってしまうというのに、本人を見てしまえば、次は倒れるのではないだろうか。

それに、「待っていて欲しい」という言葉から逃げたのは私だ。その後、抗議の手紙などなかったから、あれは社交辞令だったのだろう。

何だか悲しくて、笑顔を作るのが無理そうだ。

気を抜くと、すぐ悲しい気持ちが甦ってきてしまうので、気丈に振る舞わなくては。

「もう、どうしちゃったの?危ないから、注意しながら作業しないとダメでしょ」

アイリーン様の声で、現実に戻る。

紅茶を淹れる練習をしていたのだが、どうしても単調な作業だと違うことを考えてしまいがちだ。

その癖、旨く淹れることが出来ない。

「んー、ちゃんと、砂時計使っている?蒸らしすぎも味が苦くなる原因だから気を付けてね」

「はい」

本日、三度目の失敗なのに怒りもしないで優しく注意してくれる。家庭教師だったら、こんなに優しくなどしてくれないのに、アイリーン様は優しいな、っと思う。そんなアイリーン様の期待に応えるべく、変に考えることをやめよう!やめられるかわらかないけれど。

「フルーツティーにしようか。厨房で何があるか聞いてくるから、少し待っていて」

次こそは!と、気合いを入れようとしていたら、いなくなってしまった。

きちんと砂時計を使っているはずなのに、どうしてうまくいかないのだろう。

砂が全て落ちれば出来上がりだと思っていたのに、何が違うのか。

じーっと自身の失敗した紅茶と砂時計を恨めしくみる。

「みてみて、こんなに分けてもらえたよ!ついでに、パウンドケーキもくれたから、休憩(ティータイム)しようか」

アイリーン様が持ってきたのは、苺とブラックベリー、キュウイにオレンジといった定番的なものだ。あと、ひとつだけ白い黒い斑点みたいなものがある果物を持っているが、それは何だろう。不思議に思っていると「あっ、そうだ!これ冷やさなきゃだ!アイスティーにしないと!」っと、また引き返してしまったから、聞くに聞けなかった。

暖かい物を冷たくするとは、どういうことだろう。

アイリーン様が考えていることは、わからないから戻るのを待っていると、今度はバケツに氷を入れていた。

「あのそれは?」

「氷を入れて冷やすのよ」

自信満々に答えるから、苦笑いしか出来ない。渋味が増してしまう気がするが、それはフルーツの酸味で打ち消そうとしているのかは、わからない。

フルーツよりここはハチミツがよかったのではないか。

「よし、じゃあやろうか!きっと楽しいよ」

目をキラキラさせているので、やったことはないのだろう。実験として、いまやるということだ。

氷を入れるためにグラスを変え、それに継ぎ足すかのように紅茶を淹れる。熱さで勢いよく氷が溶けていく。

それをみて満足したのか、次に果物を入れていった。

温野菜ならぬ温果物になるっている。

「あ、アイリーン様?」

「仕上げにこのドラゴンフルーツを入れようと思ったんのだけれど、溢れそうだからこのまま食べようか」

白に黒い斑点がある果物はドラゴンフルーツというのか。

商家の令嬢であるため、博識だな。

顔がひきつっていたのか「食べたことない?南国の果物なんだけど、甘くて美味しいよ」と言われるたので「楽しみです」とだけ答えた。

果物より紅茶の味が心配だ。

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