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優雅に紅茶を含むグレン様と、にこにこしながら此方を見ているオリヴィア様が迎え入れてくれた。
いまにもお茶会が開かれそうな空間に唖然としていると、後ろから咳払いが聞こえる。
「初めて見る人には、素敵な空間に見えるかもしれないけれど、あまりここに長居しない方がいいよ」
「どういうことですか?」
「それは、ね…見ていればわかるよ」
そう言われたので、じーっと見つめるようにふたりの様子をみていると、にこにこしているはずのオリヴィア様の目元が全くと言っていいほど笑っていない。
「70点です。まずまずといったところでしょう」
「あら、この私に紅茶を淹れさせておいて、毎回毎回そのように低い点数で私のことを貶しているのですか」
「我が家の侍女の方が、淹れ方は巧いですよ」
「ふふふふ、本職の方に私ごときが勝てると思っておいでなのですか?」
「そこは、ハミルトン家の長女としての意地を見せてください」
涼しい顔をしながら、2口目を含むグレン様をオリヴィア様は冷たい…絶対零度のような視線を向けている。
肩を竦めながら「ほら、言ったでしょ。長くいたくなくなるって」と、言われるが兄妹喧嘩をみているようだ。テイラー様が言うのにこのふたりは毎回ここに訪れる度に、このようなやり取りをしているらしい。とても、仲がいいのだろう。
「テイラー。この陰険な男に紅茶を淹れてあげて」
「えっ、私ですか」
突然、指名されたテイラー様は逃げたそうに私を見るが、どうすることも出来ない。
「そうよ。アンジュちゃんにそんなことさせられないでしょ。私の可愛い妹になるのだから、この陰険男に目を付けられたら困るわ」
陰険という言葉を、形のいい眉が動くのを見逃すわけもなく、不快そうな表情のまま毒を発する。
「陰険、陰険と失礼ですね。また、領地に戻られたらどうですか。そうすれば、王都も静かになるでしょに」
「そうね。王都よりも私、領地の空気が身体にあうのよ」
「でしたら、はやく戻ればいいでしょう。あなたは身体があまり丈夫ではないのですから」
そういうグレン様の声は少し寂しいような…それでも、優しさは含まれている。そんな声色だった。
ふたりのやり取りを呆けて見ていたけれど、1番大事な殿下からの推薦状のことを思い出し、入り口にまだいたのでグレン様の方に駆け寄る。
「あの、これをお持ちしました」
「ああ、すみません。わざわざ足を運んでいただいたのにお見苦しところをみせて」
「いえ、大丈夫です」
令嬢として、叩き込まれた笑みを浮かべながら答えてみるが、グレン様は無反応だったので、とりあえず良しとしよう。
私の令嬢としての技術がまた一歩向上したらしい。あとで、兄に自慢しよう。
「では、テイラー嬢に本日、一通りの座学をお願いします」
座学?聞きなれた言葉ではあるが、何を覚えるのだろう。それに、今日はペンと紙を持参していないから、メモすることもできない。どうすればいいのだろう。
「わかりました。何処の部屋を使えば?」
「隣の控室を使ってください。終わり次第、次の指示をだします」
「そういうことだから、行こうか」
なかなか言い出せずにいたら、またエスコートしようとするテイラー様に手を掴まれそのまま強引に控室と呼ばれる部屋までエスコートされた。




