残酷な思い出。
俺は、なんて汚い男なのだろうか。自分を守る事に必死で。
おどされて、怯えて。俺は本当に弱い男だ。
そんな事を思いながら、ふらふらとどこかに歩いて行くと、ゆなちゃんが、前から走って来た。
「かなめさん。あの、しゅうなちゃんと、仲良しなんですか?」
ゆなちゃんは不安そうに言った。
「あの会話、見てたんだ。」
「すいません。見てしまいました。」
「俺、しゅうなちゃんと仲良くないよ。」
「よかったです。」
「ゆなちゃん、辛かったんだね。」
「でも、殺してはおおげさですよね?」
ゆなちゃんは、無理して笑った。
「俺だって、ゆなちゃんの立場だったら殺してって言ってるよ!」
なぜかムキになってしまった。
「ありがとうございます。」
ゆなちゃんは、にっこり笑ってそう言った。
「だって、俺と同じだから・・・。」
「はい?」
「俺も、そんな過去があったんだよ。」
「話して・・・くれますか?」
「うん・・・、いいよ、ゆなちゃんも話してくれたからさ。」
「すいません。ありがとうございます。」
「俺、小さい頃、しゅうなちゃんと幼なじみでさ、しゅうなちゃんが盗んできたもの、返してきてくれって言われて、そっと、物を置いたら、捕まっちゃってさ、警察行って、帰ってきたら、しゅうなちゃんがさ『なんで帰って来るの?少年院に入るかと思ったのに、私はあんたが大嫌いなの、あんたなんか死んじゃえ。』ってね、その後から、酷い嫌がらせばかりやられて、変な貼り紙ばかりはられたんだよ。」
「だからあの時、【俺の貼り紙が残ってたのかっ】って言ったんですね。」