リストバンド。
その女の子は、泣きながらくやしそうな顔をした。
「なんで死ねないの!?なんで生きなきゃいけないの!?もう、こんな世界嫌なんですよ!」
その子は俺とまったく同じだった。
「ねぇ、君、名前なんてゆうの?」
「私は、ゆなっていいます。」
「ゆなちゃん、よろしく。俺はかなめ。」
「かなめさん、よろしくお願いします。」
「俺ね、こうやって心を許して人と喋るの初めてなんだ。」
「私もです。こんなにも喋る事が楽しいって思うのは久しぶりです。」
俺は、この子となら仲良くなれるとすぐ思った。
「俺たち、本当に似てるよな。」
俺は笑ってそう言った。
「はい。」
ゆなちゃんも笑ってそう言った。
その時いきなり俺のメールの着信音が鳴った。
見ると、それはしゅうなちゃんからだった。
《かなめくん、久しぶりだね。これからちょっと話たい事があるから、私の家の前に来てくれる?急いでね。》
「ごめん、ゆなちゃんちょっと用事ができちゃって。もう行くね。」
「あっ、かなめさん、ちょっと待って下さい。」
ゆなちゃんは、俺の方に来て、おそろいのリストバンドをつけてくれた。
「これで傷は見えません。」
ゆなちゃんはニコッと笑った。
「ありがとう。」
俺は笑ってそう言うと、手を軽くふってゆなちゃんの家を出た。
そして、急いで走ってしゅうなちゃんの家をめざした。
ほんの少しだけ、俺の心には恐怖心があった。