光る崖・黒い夢。
それから俺は15分ぐらい歩いた。
ずっとまっすぐ進んで行った。
そして、しげみのような中から出ると、今まで見たこともないほど、美しい景色があった。
花が所々に咲き、街すべて見渡せる崖があった。
こんなに美しい景色を見たのは初めてだった。
「俺は、こんな所で死ねて、幸せだな。最初で・・・最後の幸せか・・・。ふっ、これが、喜びとかゆう感情か。」
そして俺はとうとうナイフを出して手首にあてた。
ゆっくり力を入れた。
「スー」
力を入れてゆっくり手首を切った。
俺は後ろに倒れた。
痛かったが、楽になれた気がした。
そして少しずつ力が抜けていった。
目を開ける力もなくなっていった。
それから俺はゆっくりと目を閉じた。
手首からは血があふれだし、心臓の鼓動も早くなっていった。
「お、俺は、楽に・・・なれ、るんだ・・・。」
喋る力もなくなった俺はゆっくり口を閉じた。
俺は夢を見た。
皆、俺に笑いかけて、いろんな話を聞かせてくれて。
とても幸せだ、これまでにない程、幸せ。
本当に俺は死んだんだ。
ここは、痛みも、悲しみもない世界のはずなのに、なぜか、心も、ナイフで切った手首も痛かった。
痛くて、痛くて、うずくまっていたら、しゅうなちゃんがでてきた。
「死んじゃえ。」
ずっとそう言うんだ。
まだ俺を苦しめるんだ。
まだ、俺は・・・・、生きているのか?
死んでは・・・、いないのか?