傷つけた者傷ついた者。
「かなめくん、あの時は、ごめんー。」
しゅうなちゃんは軽く謝ったが、俺が受けた傷はそんなに軽い物なんかじゃなかった。
しかし、まだあの時の恐怖が残っていたので、俺はしゅうなちゃんに本音をぶつける事ができなかった。
「まぁ、過去の事は忘れて仲良くしようよ。」
しゅうなちゃんは、俺に手をさしのべてくれた。
俺は、不覚にも、その手をとってしまった。
俺は・・・けがれている。昔、俺を恐怖の穴に突き落とした女の子の手をとってしまって。
本当は、今度は俺が、しゅうなちゃんを恐怖に怯えさせて、居場所を奪って、悲しませてやると決めたはずなのに。
俺には、そんな勇気1つだせなかった。
結局俺は、誰かが俺のそばに居たって、一人だって、変わらない。何も出来ないんだ。
次の日から、しゅうなちゃんからよくメールが来るようになった。
俺は、馬鹿な奴だから素直に返信した。しゅうなちゃんを傷つけないように。
俺はだんだん、変われるのかもしれないと、思ってしまっていた。
しゅうなちゃんは傷つけた者、俺は傷ついた者、それぞれ、違う過去を持つ者同士が、メールだなんて、たかがしれてる。
しかし、楽しくてしょうがなかった。
人とのメールが楽しくて、しょうがなかったんだ。
人とメールが初めてだったから。
俺はだんだんと、昔の思い出が消えていっていた。
しかし、次の日から、突然、しゅうなちゃんからのメールがパッタリと、止まった。




