五歳・少女の悲痛な叫び。
「結局しゅうなちゃんは、私達と同じ、居場所が欲しかっただけなのかもしれません。誰かに、そばにいてほしかっただけなのかもしれません。」
「でも俺はしゅうなのしたことが、どうしても許せないんだ。たとえ、どんな理由があったとしても。」
俺は変わっていた。昔とは全然違う。前までは、脅えて、恐怖におぼれて・・・。
でも、守りたい人が出来た今、俺は変わったんだ。
「それで、かなめさんが許せない事とはなんですか?」
「俺をこんなんにした事も許せないけど、ゆなちゃんにリストカットした事はもっと許せないんだ。
だって、切られてるところがもっと深かったら、ゆなちゃんは死んでた。
人の命を奪うような事しちゃいけないんだ。」
「しゅうなちゃん、親にリストカットされたんですよ・・・・ 。」
「え・・・。」
その瞬間、俺は氷ついた。
「しゅうなちゃんが五歳の時ですよ。とても痛かったでしょうね。」
〜10年前〜《しゅうな五歳》
「お母さん。お腹すいた。」
「うるさい!あっちにいきなっ!」
「うっううっ、お母さん!お腹すいた!お腹すいた!」
「うるさいって言ってるだろ!いい加減黙れ!」
「お母さん・・・。」
「そうだ、しゅうな、こっちにおいで。
手首を出して。」
「えっ!何?何か食べさしてくれるの?」
しゅうなが、手を出したとき、しゅうなの母親は、そっと、机の上に置いてあるナイフを手に取った。
「それは・・・、これよ!」
しゅうなの母親は、勢いよく、しゅうなの手首をすっぱりと切った。
「あ、あ、手が!手がぁぁぁぁ!血が出てるよぉ!痛いよぉぉぉ!」
そのまま母親はずっと笑っていた。