まともに恋愛のできない俺とあなたのための物語
特恋部:部訓
その1.『ブサイクに容赦はするな』
十文字大左衛門
その2.『おっぱいはD以上でないといけない』
鷹司鉄之助
その3.『普通の人が一番』
姫野愛
その4.『お金持ち以外は男じゃない』
苺谷藍
その5.『十文字死ね』
七瀬川綾美
恋とは『心が変になる』と書く。
それはすなわち、恋をすると
いつもの自分ではいられなくなるということである。
いつもの自分でいられないということは
ふとした瞬間に、自分の心や他人の心を
意図せず傷つけてしまう可能性があるということ。
それはとても、おっかないことであり
避けなければいけない異常事態に思える。
それが恋。
曰く自分の理想の在り方や
性格、性癖によっては
それはもう立ち上がれなくなるくらいに
深く深く、自分や本当に好きになった相手のことを
傷付けるかもしれない。
しかしあえて言おう。
『それでも、恋に立ち向かえ』
なぜなら、今この現代においては幸せなことに
恋することが許されているからだ。
恋は振り振られはあるにしても、その双方にとって
その人の価値観、ひいては人生観だって変えてしまう
貴重な体験を与えてくれる。
その後、大人になってからの進路だって変えてしまうかもしれないだろう。
その為に、目標は持つべきなのだ。
実際、今話をしているこの俺、
春ヶ丘高校二年二組、
十文字大左衛門は、恋愛対象としてルックス偏差値66以上でなければ
お付き合いはしないと心に決めている。
(ちなに俺の通う、春ケ丘高校女子の平均偏差値は50前後だ)
簡単に言えば、可愛くない子とは付き合いたくない。
ブサイク、ファッキン! である。
更にもっと正確に言うなら
例え俺的に、女子のルックス偏差値が規定基準をクリアしていても
それはあくまで一次審査の話だ。その次には二次審査が存在する。
ルックスその他、おっぱい、性格、ファッション、方言、etc…
あらゆる点で加点減点されるので
例え偏差値が66以上でも減点落ちすることは幾らだってある。
だからこそ、今年晴れて高校二年に上がってからの俺は
自分を厳しく律することにした。身を切る思いで。
審査に余裕を持ち、ルックス偏差値70以上を起点にしたのだ。
二次審査通過者にのみ、合格通知を出すことにしている。
むろん、今現在、俺に彼女はいない。
この物語は
この俺、十文字大左衛門と同じように
常人とかけ離れた恋愛コンプレックスを抱える愛すべき仲間達が
更に自分たちと同じように、特殊な恋愛を叶えたいと願う
彷徨える子羊達の苦しい恋を、七転八倒しながらも幸せに導いていく
少し歪んだ学園恋愛物語である。