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ローン地獄の佳苗さん  作者: 川崎 春
6/6

悪代官と目隠し姫

 仕事が終わった後、私は着替えないで、リハビリステーションへ直行した。

 リハステの河野さんには、

「白寿園のイトちゃんの言う通りだよ。俊希君には辞めてもらう。僕と穂高先生が決めたんだ。経理もそれで手続きをしている」

 と言われた。

 育休中に問題を起こした罪は重い。河野さんは、かなり怒っていた。

「俊希君には、他の若い療法士達が、育休を取り辛くなったと伝えて置いて」

 なんて言われてしまった。……病院で俊希の名前を出すのは危険だと判断した。もう、聞いて回るのは止める事にした。

 ロッカーで着替えると、私は亨さんの電話に連絡をした。

『はい』

 すぐに出た亨さん。かけて置きながら、心の準備が出来ずに思わず叫んでしまった。

「わっ!」

『佳苗さん?』

 電話の向こうから怪訝そうな声が聞こえて、慌てて取り繕う。

「すいません。携帯が手から落ちそうになってしまって」

『そうでしたか。……佳苗さんからメールじゃなくて電話が来るのは珍しいですね』

 そうなのだ。私の仕事が不規則なので、電話をかける時間を、巧く調整出来ないのだ。

 だから、メールでのやり取りがいつもの事になっている。

「あの……」

 何から話せばよいのかまとまらない。とりあえず、電話だから話さないといけない。考え無しに言葉を放つ。

「イトちゃんと知り合いだそうですね。しかも、私を恋人とか言ったそうですね」

 言葉が全然選べていない。きつい物言いになってしまっている。でも、そうなっても仕方ない。

 これは私の家族の問題だ。

 亨さんは……他人だ。私の借金を無くしてくれた本当に好きな人だけれど、こう言うしかない。

 亨さんは、私の言葉を完全に無視した。

『お話したい事があるので、会ってくれませんか?』

 こんな強引な話し方をする人じゃないと思っていたのに……。話が通じない。遠く感じる。

 これは、私を丸め込みにかかっているとすぐピンと来た。話があるとは言っているが、ちゃんと説明するつもりなんて無いのだ。

「話をしよう。時間あるか?」

 高峰の声を思い出す。高峰は、私を怒らせると、そう言って私をおびき出した。その後は、ただ抱いて私を黙らせた。

 あんな思いをするのはもう御免だ。

「ごめんなさい。行けません」

『来てください』

 亨さんの強い声が、電話越しなのに刺さって来る気がした。

『実は、病院まで迎えに来ています。ロビーのすぐ外です』

 病院までって……。

「すいません。一旦切ります」

 電話を切って外に飛び出すと、既に時間外で駐車禁止になっている玄関前の駐車場に、見覚えのある国産車が停まっていた。

 亨さんは私を見ると、車からすぐに降りて来て、私に近づいた。

 厳しい表情で、亨さんが私を見ている。

「顔が、怖いですよ」

「来て下さい」

 亨さんは、またそう言って、手を差し出す。

 素敵な人に望まれて、その手を取ると言う夢を……私はもう見られない。

 例え、俊希のお守りから解放されたとしても、今度は、亨さんに捨てられる悪夢の始まりが見えるのだ。

 会えば会う程に、その思いが強くなった。

「私、あなたの恋人じゃありません」

 亨さんの手を拒む。

「誰かと結婚するつもりは無いです。……だから、そう言うお付き合いなら、お断りします」

「なら、どうして、今まで会ってくれていたんですか?」

 亨さんは手を下さない。

「私は……」

 好きだから会いたくて、約束を拒めなかった事実を口に出来ない。今日の亨さんには、いつもの誤魔化しは効かない。

 けれど言う。言うしかない。

「遊びです。結婚願望は無くても、男性と遊びたかっただけです」

 顔が……声が……上手く作れない。弱々しい声しか出ないし、悲惨な顔をしている。馬鹿だ。拒むなら最後まで完璧に拒まなければ。

「佳苗さん、お願いです。本当の事を言ってください」

 亨さんの手は目の前にある。手を取れば良い。分かっているのだ。それだけの事なのに、私は卑屈で怖くて、それが出来ない。

「嫌です……」

 弱々しい声しか出ない。

 亨さんが、一歩前に出て来る。

 でも強引に腕を取らないで、私が手を出すのを待っている。

「亨さんと深い関係になんて、なりたくない」

 また失言だ。……けれど、間違いなく本心でもある。

 気持ちは、好きだと訴えながらも、捨てられる自分に備えている。どっちも満たす様な答えを私は持っていない。

 手がすっと引いて行く。……それで、いいのだ。

「ごめんなさい」

 謝ると、亨さんが言った。

「俺の方こそ、許して下さい」

 ああ、終わった。

 そう思った途端だった。

 いきなり手を引かれて、肩を抱かれ、車の前まで連れて行かれる。

 驚き過ぎて、声が出ない。

「と……」

「これ以上、あなたの職場で話を続ける訳にいきませんから」

 はっとして背後を見ると、閉った玄関の自動ドアの内側に、何時から居たのか、穂高先生が立っていた。

 見られた!

 戸惑って混乱している内に、亨さんに車に乗るように促され、慌てて乗ってしまった。

 どうしたらいいのか混乱している内に、亨さんは車を出した。

「話の内容は聞こえていないでしょうし……気に病む事は無いです。それに、俺が穂高先生に頼んであなたを紹介してもらったんです。あれから大分経っています。穂高先生は、俺達が結婚すると思っていますよ」

 いつもの亨さんの話し方にほっとしつつ、言われた内容にぎょっとする。

 そんな事すら、どうでもよくなる様な出会い方をして、今に至っていた。そもそも、何故私だったのか。それすら質問していなかった。

「一昨年の夏でした」

 亨さんが、ぽつりと言った。

「俺はまるい整形外科の営業担当で、リハステの増設工事の件でここに様子を見に来ていました。凄く暑い日で、俺は新しく建てた部分を木陰から見ようと思って、木の下に立っていました」

「病棟の二階から見れば、涼しいし、良く見えたと思いますが」

「患者さんの関係者でも無いのに、病棟を勝手にうろつくのは良くない気がしたので、外に居ました」

 亨さんらしい、気遣いだ。

「それで偶然、渡り廊下で人が話しているのを聞いてしまいました。……俊希君と佳苗さんでした」

 一昨年の夏?渡り廊下?すぐには思い出せない。そして、俊希がイトちゃんを妊娠させてしまった時の話を思い出す。

「聞いていたんですか?」

 驚いて見ると、亨さんは、運転して前を見ながら頷いた。

 何を言っていたのか、良く思い出せないが、あけすけな、姉弟の言い争いを聞いていた訳である。……それが今に繋がる理由が分からない。

「俺が立ち聞きしていたのは、丁度佳苗さんの背後だったんです。話が終わって、振り向いた女性が、あまりに好みだったので、ここに来たら、また会えるって思ってしまったんです」

 好み……。でも、あの話を聞いていて、それでも良いって、亨さんは女の趣味が悪いと思う。

「俺はその当時、甘い物好きが高じてデブでしたし、銀行員って言う肩書に釣られて来た女に、結局は面白味が無いって理由で、何度も振られた後でした。だから、あなたに声をかけるつもりはありませんでした」

「じゃあ、何故……」

「昇進して仕事を引き継いで、病院に行けなくなりました。それから、一年程経って、引き継いだ部下と一緒に、病院に寄る用事がありました。それで、あなたの事を悪く言っている看護師の話を聞いてしまいました」

「……もしかして、好みの女が、可哀そうな目に遭っているから、何とかしたくなったとか、ですか?」

「そうです。いけませんか?」

 嫌味のつもりだったのに、あっさり肯定されてしまった。

「別に、ちょっかいを出そうと思っていた訳じゃありません。……立ち聞きで、ローンに苦しんでいると言う話を聞いていたので、俺が、少しでも解消できないかと思っていただけでした」

 そうだったのか。

 そして、待ち合わせたホテルで、とんでもない事になって、今に至ったのだ。

 私の情けない部分は、単なる偶然の連続で、全部知られてしまっているのだ。

 気付くと、車は何処かの駐車場に停まっていた。周囲を見て息を呑む。

 ……飲食店の駐車場じゃない!

 硬直している私に、亨さんは言った。

「お願いです。来てください」

「何処に、ですか?」

「俺の部屋です。……駐車場じゃ、話せません。お願いです」

 亨さんは、いつも笑顔のイメージがあったのに、今日は一切笑っていない。

「話すだけですよね?」

「嫌がる事はしません。……佳苗さんだって、分かっているでしょう?俺、真面目だけが取り得で銀行員をやっているだけの、面白くも何とも無い男だって」

「そんな事……」

 亨さんを面白く無いと言った女達は、それこそ見る目が無かったのだ。この人は確かに冗談をあまり言わない。けれど、とても優しい人だ。

 ただ話して心穏やかに一緒に居られる。それが大事なのに。

「意気地なしだから、言葉でかわされると何も出来ない」

 そんな風に言われてしまうと、拒絶出来なくなってしまう。でも、亨さんに、自分の尊厳を踏みにじられるかも知れないと思うと、酷く辛い。

 ただ、ここで車を降りても、何処に居るのか分からない。選択肢が……無い。

「分かりました。少しだけなら」

 亨さんの部屋は、ユニットバスでは無いと言うだけのワンルームで、単身者用の賃貸マンションだった。就職してから、ずっと住んでいると言う。

 亨さんの家には一度も招かれた事が無いから、何処に住んでいるのか、場所すら知らなかった。……そう言う関係になるのを避けていたのだから当たり前だ。

 如何にも一人暮らしの男性の部屋、と言う印象だった。ベッドが部屋の大半を占めていて、足の短い小さな机の上にノートパソコンが置いてある。本と新聞が、部屋の端っこに平積みされていた。

 部屋に来る前に自販機で買ったコーヒーの缶を二つ、机に置いて、亨さんは私にラグマットに座るように促した。

 狭い部屋だから、当然二人でベッドを背もたれにして、並んで座る恰好になった。こんなに近くに並んで座るのは、映画館くらいだった。

 沈黙が続き、心臓の音だけが大きく聞こえる気がした。

「佳苗さん、あなたにとって俺は、何でしょう?」

 返答に詰まる。大好きだけれど、距離を置きたい人。

「俺の中の答えは出ています。でも、あなたはそれを言わせてくれない」

 亨さんの声に心臓が跳ねる。亨さんは続けた。

「人は弱いものです。何処かで、誰かに頼らないと生きて行けない。それは、決して恥ずかしい事じゃないと思っています」

「それはそう思います」

 病院も銀行も、困っている人達の為に存在している。給料をもらっていると言う理由だけで出来る仕事じゃないのは確かだ。

 一人で何でもやれと言い張ってしまえば、そんな仕事は全ていらなくなってしまう。

「頼ってくれませんか?……俺は、あなたを一人にしたくないし、俺も一人になりたくない」

「亨さんは、一人になりません。私じゃなくても大丈夫です」

「一人です」

 亨さんは両手で顔を覆った。

「俺が女に好かれる為に、痩せたと思っていますか?」

 さっきの車の中での話が本当だとすれば、私と一緒だ。……諦めていた人だ。そんな事をする必要は無い。

「俺は痩せてしまった理由を、誰にも言えない。だから、一人です」

 何があったのか、決して言うつもりは無いと言う亨さんの意思表明だ。聞けない。暴いてはいけないのだ。

「それを分かっていながら、俺は、一人が嫌になってしまった。だって、あなたは俺と居ても退屈そうにしない。俺も楽しかったから」

「亨さん……」

「あなたの重荷を取り除いて、笑ってくれるだけで、自分の重荷を忘れる事が出来ました」

 亨さんは泣いている気がした。顔は大きな手で覆われているし、俯いているから、分からない。

「あなたと一緒に居た後、一人で部屋に戻って来ると、途端に……苦しくて、怖くて。一人になりたくないって思う様になりました」

 高峰にマンションを買わされた当時の事を思い出す。誰も居ない部屋に戻って来る辛さを、私は痛い程知っている。

 亨さんが、同じ様な思いをしていたのだと気付くと、喉に何かがつかえたみたいになった。

 この人が何を背負っているのか知らないが……一人で耐えられない程の『何か』を、これからも背負っていくのだ。だから、あんなに甘い物を食べても太らない。太れないのだ。

 さっき台所を見た。コンロとフライパンが、うっすらと埃を被っていた。ゴミも無い。……殆ど家で、何も食べていないのだ。

 寄り添って生きて行ける女を探すのも、亨さんは拒んでいる。……ただでさえ自分の中の重荷で精一杯なのだ。いらないのだ。

 私も同じだった。

「俺はあなたがいい。あなたしか望まない」

 私でなくてはならない理由が、ようやく分かる。

 この人は、本当に私だけを必要だと思ってくれているのだ。

「私は……そんなに良いものじゃありません。亨さんは、勘違いしています」

 私の言葉に、亨さんの体が少し震えた。

「あなたは素敵で眩しくて、私なんか釣り合わないと思っていました」

 亨さんの背中に、そっと手を置いた。

「それは建前で、私は凄く怖いんです。捨てられて置いて行かれるのが」

「そんな事、しません!」

 亨さんが、がばっと体を起こした。

 そうだ。この人は高峰とは違う。そんな事、する訳が無いのだ。でも、私は怖い。どうしても確証が……言質が欲しい。

 私は亨さんを見つめて言った。

「じゃあ、一緒に居て下さい。死ぬまで。そうしたら、信じます」

 これは愛の言葉じゃなくて呪いだ。亨さんを縛り付ける為の呪いの言葉。自分でも怖い女だと思う。

 けれど亨さんは、信じられないと言う様に、震える手で私の頬に触れた。

「いいんですか?そんな事言って。嫌になったなんて、認めませんよ」

 呪いを喜んで受け入れる手に、私は手を添える。

「本音を言えと言ったのは、あなたです」

 その日、私は自分の部屋に帰らなかった。


 想像以上にやらかしてしまった。

 津田さんからの指示では、佳苗さんを家に連れ込んで、肉体的に篭絡しろと言う物だった。

 しかし実際の俺は、佳苗さんを車に乗せる事すら出来なかった。……穂高先生の助太刀が無かったら、逃げられていたかも知れない。

 俺は結局、情けない自分を晒して、佳苗さんを陥落させる事になった。

 嘘は一切無かった。口に出して思い知った。想像以上に、佳苗さんに依存したがっている事実を。

 こんな状態の男を、佳苗さんが放置できる訳も無くて……。とにかく、俺は捨て身の方法で佳苗さんを家に引き留めるのに成功した。

 当然だが、こんな方法だったから、佳苗さんが、仕事に出て、俺の部屋に帰って来てくれるのか不安で仕方なかった。

 事の顛末を聞きたがった津田さんに休憩時間に話をすると、酷い事を言われた。

「俺の部下が、まさかのヤンデレです」

 精神的に病んだ状態のキャラクターが誰かを好きになると、ヤンデレと言うのだ。この人と居ると、そう言う言葉に詳しくなって困る。

「心配するな。姫はヤンデレ否定派じゃないみたいだし。良かったな」

 津田さんは、その後真顔で言った。

「お前は優しいからな。そんなに辛いなら辞めても良かったのに」

 津田さんは、何度も上に掛け合ったのだ。

 秘密裏に処理するのは、自分達の負担が大き過ぎるし、バレた時のリスクを考えるなら、早く公表して処分した方が良いと。

 津田さんの意見は、最後まで通らなかった。

 意見も聞き入れられず、激務で胃潰瘍を悪化させていたのに、津田さんは銀行を辞めなかった。

 津田さんは、自分も含めて、俺達回収班のガス抜きをする為に上に噛みついていたのだ。銀行が暴露すればどうなるのかも、上が絶対に応じない事も、全て分かっていてやっていたのだ。

 それが自分の役回りだと、認識していたのだ。凄い人だと思う。

 上に行けば行く程、重荷は大きい。

 そんな状況で、逃げてもいいなんて言われても、逃げられやしない。

「今更ですよ。それに、この仕事が無ければ、俺は更に太って、糖尿病だったと思います」

「今のお前も十分不健康だよ。前程とは言わないけど、もっと食えよ。……やっと手に入れた姫に何とかしてもらうんだな」

 津田さんはそう言って、肩をぽんと叩くと、デスクに戻って行った。

 津田さんや小竹を始め、数人の部下とは、秘密を共有しているが、俺とは明らかな差があった。……彼らには支えてくれる誰かが居た。恋人であり妻であり、仕事とは違う別世界があったのだ。強制的に精神が仕事から切り離される時間があった。

 俺はそれが無いまま仕事をして、昼夜を問わず、切り替えが無いまま過ごした。

 佳苗さんと会う様になって、その落差に気付き、想像以上に荒んだ自分の状態に苦しむ事になった。

 部下の前では、こんな姿は見せられない。俺が崩れたら、俺の役目を小竹に背負わせてしまう。

 小竹はまだ三十前だ。係長と言う俺の役目を担わせるには若過ぎる。荷が重い。

 津田さんが俺の分まで引き受けて皆をまとめていたら、本当に血を吐いて倒れる。

 今時、終身雇用なんて流行らないと言われるかも知れないが、自分が逃げ出しても、穴を埋める人材が居ない事を知っている。

 そんな事、知った事では無いと言えるだけの強さも、別の仕事への展望も持っていない。……ある程度、人生の使い道は決まってしまっているのだ。穂高先生に佳苗さんを連れて逃げると言う仮定の話をした事があるが、本当はそんな気、無いのだ。

 俺はこの事実を何一つ話さず、佳苗さんに依存して、重荷を軽くして生きて行くつもりで居る。佳苗さんに目隠しをして、俺の姿を見せないで、ただ抱きしめて縋るのだ。

 俺は、姫を救い出した勇者なんかじゃない。

 帰宅前に、佳苗さんに連絡を入れた。今日は俺より早く帰る予定だと朝に聞いた。

 けれど返事が一向に来ない。家に帰っても居なかった時には、血が一気に下がっていくのを感じた。

 ふと見ると、机の上に置かれた携帯が鳴っている。佳苗さんの携帯だった。

 見ると、色々な荷物が隅っこに置かれていた。自分の部屋に帰らずにわざわざ買って帰って来てくれたのだ。ほっとして、着信相手の表示を見た。

 『俊希』

 頭に血が昇る。

 こいつさえ居なければ……。

 俺は、俊希君を佳苗さんに近づけない為に手に入れた最強のカードを出すべき時が来たのだと思った。……これでゲームオーバーだ。

 暫くして、佳苗さんはレジ袋を両手に下げて戻って来た。手料理を作ってくれようとしていたのは一目で分かった。

 俺が不安に負けて、思わず抱きしめてしまったから、佳苗さんは謝り始め、俊希君の着信が煩いので、携帯を置いて行った事実を語った。……俊希君の着信が原因で、俺の連絡が佳苗さんに届かなかったのは、二度目。

 一回目は、佳苗さんが自殺でもしたのではないかと、本気で心配している時。二回目は今。佳苗さんが何処に行ったのか分からなくて、俺が死ぬ思いをしている時。

 俺の顔が相当怖かったのだろう。

「着信拒否にします」

 佳苗さんは、ビクビクして俺に言った。

「そんな事、しなくていいですよ」

 俺は笑ったつもりだったけれど、上手く行っていないみたいだった。

 こんなに怒っているのは、生れて初めてではなかろうか。

 三沢俊希に引導を渡さなければならない。

 ヒグマだろうが、土佐犬だろうが、俺はもう怖れる気は無かった。恐怖を怒りが凌駕したのだ。

 佳苗さんは青くなって止めて来たけれど、俺は佳苗さんの部屋に行くと告げた。

 着替えの事もある。そもそも、一緒に住むならもっとちゃんとした場所がいい。ここに全てを揃えて住むには狭すぎる。

「私、一緒に居ます。家には帰りません。だから、俊希の事は放って置いて下さい。今、刺激したらダメです」

 俊希君が色々な事があって、危険な状態である事は十二分に承知している。

 それを言うなら、俺だってとっくに限界を超えている。

 手負いの今、とどめを刺すべきだ。

 ああいう奴は、逃げて傷が治ると前より強くなってしまうのだ。今を逃がしてはいけない。

「俺を信じて下さい」

 どんな手を使ってでも、俊希君には、姉離れをさせる。もう佳苗さんは、俺のだ。

「亨さんが、殺されます」

「殺人なんて物騒な事、滅多に起こりませんから」

 不安そうな佳苗さんに笑顔を向ける。

 嘘だ。

 身内とのトラブルが原因で、殺人だの傷害だのなんてニュースはしょっちゅう見聞きする。ある意味、通り魔より犯罪の発生頻度は高い。……ここで恐れた所で、俺が俊希君をハメにかかっていた事実は残っている。イトちゃんからその事実が洩れれば、恨まれる。それこそ刃傷沙汰になりそうだ。

 情報が洩れる前に、カードを切らなくてはならないと言う事情もあるのだ。

「無事にここに戻って来たら、俺にご褒美をください」

 佳苗さんが、耳まで真っ赤になった。

 こういうセリフは、死亡フラグだと津田さんは言うだろうが、言ってしまった。

 佳苗さんは不安そうにしながらも、了承してくれた。

「分かりました」

 俺は佳苗さんを車に乗せると、俊希君の居るであろう佳苗さんの部屋に向かった。

 佳苗さんが鍵を出して、部屋の鍵を開けようとして、その鍵を回すのを止めた。

 開いているのだ。俺は、佳苗さんを背後に下がらせてドアノブを回して扉を開けた。

 むっとした酒の匂いが、部屋に充満している。

 飲んでいる……。しかも、凄いイビキが聞こえる。魔王と言うよりも、もっと雑魚な魔物の頭とかが居そうな感じだと思った。

 多分、俺は俊希君の事を、前程怖れていないのだ。

「イトちゃんに連絡します」

 佳苗さんがそう言っているのを聞きながら、俺は中に踏み込んだ。

 家の中は酷い有様だった。暴れたのかも知れない。コップが割れたり、皿が割れたりしたまま放置されていた。

 酒の瓶や缶が並んだ中に眠っている俊希君を俺は軽く蹴った。

「起きなさい」

 手で触るとか、そんな気になれなかった。

 蹴られた俊希君が、濁った眼でこちらを睨んだ。

「誰だよ、お前」

 むくりと起き上がった俊希君は、今にも飛び掛かって来そうな殺気を漂わせている。

「江中亨と申します」

 銀行は関係無いので、ただ名乗る。

「あ?」

 俺は意を決して言った。

「お姉さんとお付き合いをさせてもらっています」

 ここで殴ったら、お前は佳苗さんに心底嫌われる事になるだろう。もう佳苗さんには近づけなくなる。そうでなければ、希望のある未来をやるから、ここから出て行け。

「佳苗?」

 暫くぼんやりとしていた俊希君の目に光が戻って来て、俺をまじまじと見る。

「あんた……銀行の人か?」

「覚えていて頂いて光栄です」

「佳苗なんて、面白くも何とも無いぞ?」

「それは私の決める事です」

「それで佳苗は?」

 俺よりも、佳苗さんが気になるのか、キョロキョロしている。俺なんか、すぐに追い払えると思っているのだろう。

「病院、辞めるそうですね」

 痛い部分を突いてみる。

「それがどうかしたのか?そんなのが義弟って言うのが嫌なら、佳苗と別れろよ。仕事なんて、探せば済む話だ」

 少し目が泳いでいる。強がっているけれど、やはり失職は痛手だったのだ。

「あなたの奥さんは、白寿園にあなたを紹介して働かせるつもりですから、仕事は探さなくても済みそうですが」

 そこまで知っているのが意外だったのか、一瞬驚いた顔をしてから、忌々しそうに言った。

「行かない。嫁と同じ職場で、嫁より低い給料で、爺や婆にコキ使われるなんて、御免だ」

 やはりそうなったか。この計画は、絶対に俊希君の意に沿わない。……最後に行き場所の無い俊希君の行きつく場所として確保したに過ぎない。

 所謂、見せるだけのカードだ。

 だからもう一枚、本当の意味で俊希君の為になるカードを用意したのだ。恩を売るカードを。大賢者ホダカの教えのままに、俊希君を落とし、上げる形で恩を売る事にしたのだ。

 理学療法士は数が多い。だから中途採用の枠が少ない。多分、探してもこの周辺では仕事は見つからない。多分、整体院に行く位しか道が無い。

 しかし、俊希君は人に奉仕するのが嫌いだ。整体院は完全に奉仕の作業になる。動かない人の整骨とマッサージをしなくてはならないからだ。

 俊希君本人が、そんな事を望んでいないのを一番分かっている筈だ。

 だからこそ、俺は手持ちのカードを切れる。

「フィットネスクラブのインストラクターに中途採用の枠があります」

 フィットネスクラブ。スポーツクラブの中でも、会員制でインストラクターを入れている場所を、そう呼ぶ。

 柔道経験者では、インストラクターとしてはあまり重宝されない。

 けれど、俺が顧客として抱えている大谷フィットネスクラブは、ある理由で、インストラクターが万年欠員の状態だ。

 数年前、若いインストラクターが、人妻に手を出したのだ。

 インストラクターが夫に訴えられる民事訴訟に発展し、示談に落ち着いたものの、大谷フィットネスクラブはインストラクターの採用を縁故採用のみに切り替えたのだ。

 しかし、縁故での採用となると、なかなか人材が確保出来ない。

 得体の知れない誰かを入れる訳にいかないが、インストラクターが居ないのでは商売にならない。女性のインストラクターは多いが、男性のインストラクターが圧倒的に足りない状態が続いている。

 理想の肉体を求めて、男性も多く入会を望む時代だ。やはり男性のインストラクターが必要なのだ。

 男性で運動の指導が出来る、美しい筋肉を持つ人材。それが大谷フィットネスクラブの望むものだ。

 締まった肉体を望んでやって来る人達に、インストラクターが醜い肉体では話にならない。と言うのが、大谷フィットネスクラブの哲学だ。

 フィットネスクラブでインストラクターとしての資格を取得さえできれば、俊希君はこの条件をクリアできる。

 奉仕では無く、指導する立場になれるのだ。

 俺は俊希君の脇に座って囁いた。

「筋肉が、商売道具です」

 俊希君は、俺の方をまじまじと見た。

「筋肉を維持し、その維持を助ける運動を教える仕事です。君の筋肉がお手本です」

 俊希君の顔が、複雑な表情を浮かべる。

「俺は脂肪が無いから体が浮かない。水泳は無理だ。筋トレと柔道と、体を痛めない運動法しか教えられない」

「水泳は専門のコーチが居ます。後は数か月研修を受けて資格を取れれば、どうとでもなるでしょう」

「俺が……採用される可能性があるのか?」

「君が約束を一つ守ってくれるなら、私……いや、俺が保証しよう。大谷フィットネスクラブは縁故採用しかしない。俺が紹介者になってもいい」

 津田さん曰くの、悪代官の顔を俺はしていると思う。

「何だよ。約束って」

「柔道の指導者としての資格も並行して取る事だ。インストラクターだけじゃ、いつか食い詰める。柔道の指導者を目指せ」

 人に使われたくない。人の上に立ちたいと言う俊希君の心理を巧妙に突く。

 俊希君は学生時代、県の選抜に居た選手だ。大学を頼る方法なんかがある筈だ。

「もう指導員の資格は持っている」

「Aじゃないだろう?」

 指導者にはクラスがある。指導経験年数が少ないと、上のクラスに上がれないのだ。これも調べた。必要なのは、仕事に出来るだけの高レベルな資格だ。

「一番上のA資格を取れ。……何が何でも、十年以内に、だ」

 俊希君が目を見張る。

「十年って、あんたどれだけ気長なんだよ!」

「俺は佳苗さんと結婚する。君とは親戚って事になるな。その位のスパンで物事を観察できるって事だよ」

 俺の放つ空気に、俊希君がピクリと反応した。自分でも分かる。……もう限界だ。

 俺は、怒りを俊希君に向けて解放した。見せカードを最大限に利用して。

「今後、一度でも佳苗さんを困らせたり、俺の面子を潰したりしたら、白寿園の職員の最底辺に叩き落として、二度と這い上がれない様にしてやる」

 津田さん曰く、普段怒らない人間の怒りと言うのは、本当に怖いそうだ。

 俊希君は、青くなって何度も頷いていた。

 勝った……。

 俊希君は、項垂れて別人の様に覇気を失い、迎えに来たイトちゃんに連れられて、実家に戻って行った。

「俊希と何を話したんですか?」

 電話の対応が苦手なイトちゃんとの対話に手間取っていた佳苗さんは、俺と俊希君の話した内容を知らない。

 ただ、俊希君にボコボコにされると思っていた俺が無事で、しかも俊希君の様子がおかしかったので、驚いたらしい。

 俺は笑って言った。

「男同士の秘密です」

 佳苗さんは納得いかないと言う顔をしていたけれど、結局、

「仕方ないですね……。亨さんは頑固だから、教えてくれないんでしょ。それでいいです」

 なんて言ってくれた。

「俺は、あなたのそう言う所が大好きですよ」

 一緒に荒れた部屋を片付け、佳苗さんが荷物をバッグに詰め終わると、俺は佳苗さんを連れて部屋に引き返した。

 俺が本当は汚くて酷い奴でも、ただ信じて、目を閉じて側に居てくれる大事な人。この人が居れば、これからも、俺は生きて行ける。

 部屋に戻ると、佳苗さんが恐る恐る俺を見上げた。

「ご褒美って何ですか?」

 佳苗さんが、凄くいやらしい事をさせられるとでも考えているのは分かっている。

 俺はにっこりと笑って答えた。

「結婚してください」

 佳苗さんは、ちょっと拍子抜けしたみたいに、それでも嬉しそうに言った。

「そんなのとっくに了承しています。はい、喜んで」

 俺はその答えを聞いたから、その日は避妊しなかった。上手く行けばいいな、と、どす黒い事を考えていた。佳苗さんに土下座して背中を踏まれる夢を見たが、後悔はしなかった。

 結果……まさかの大当たりで、つわりが酷過ぎて入院する事が決まり、佳苗さんは、まるい整形外科を退職する事になった。

 穂高先生が、えなかかなえと言う逆さ言葉の名前を、良い響きだと褒めそやし、お祝いすると言う爆弾を落としたのは、その時の話だ。

 弱っている妊婦に何て残酷な……サディストは怖い。穂高先生なりの餞別のつもりだったのだろうが、発想が恐ろしい。

 佳苗さんは、結婚しても、まともに自分の名前を吟味していなかった。様々な手続き書類すら、気持ちが悪くて書けない状態だったのだ。書類の多くは、俺が代筆していた。

 つわりの吐き気を抑える点滴を受けて入院している佳苗さんは、見舞いに行っても、酷く無口だった。調子が悪かったからってだけじゃないだろう。病室のベッドの名札をいつも枕で隠していたから。

 俺は、賢者ホダカに貸しが幾つもあったから、そんなサディストに子供の名前まで付けてもらう事になった。

 ヒーラー・ツダの息子のゲーム仲間にもなった。奥さんの時間制限のせいで、日曜日の夕方にしか遊ばないが。

 ソルジャー・コタケが結婚する際には、仲人も引き受ける事になった。今時、仲人なんてと思ったけれど、小竹と内田の頼みだったので引き受ける事にした。俺のせいで危うく別れる所だったのだから。

 佳苗さんは、子供が小さくて大変だったけれど、文句を言わず、一緒に結納から結婚式まで頑張ってくれた。

 俺の実家は、姉の子達も大きいので、両親が喜んでうちの子を預かってくれた。……佳苗さんの実家は、ペドロとニコが大暴れしている状態なので、預けるのは不可能だった。

 俺達が結婚したときは、佳苗さんは大きなお腹でウェディングドレスも限られていた。お色直しを二回もしている内田を見て、それを思い出し、申し訳ない気持ちになった。

 それを帰宅してから言うと、佳苗さんは笑った。

「あんなのは、若い子がする事よ。結婚そのものを諦めていた私に、亨さんが家族をくれたから、式とかどうでもいいの」

 なんて事を言われたから、つわりで苦しんでいたから遠慮していた二人目も、佳苗さんの希望も考慮して頑張ってしまった。……そんな訳で、二人目の子もサディストに名づけをしてもらう事になった。

 そして季節は巡る。

 キャディー・パーラーに久々に様子を見に行った。

「こんにちは」

「江中さんじゃないですか!」

 中から辻井が、笑顔で顔を出した。

 俺はおろか、俺の部下も、もうここの担当では無い。でも、様子を見に来た。

「遅くなりましたが……これ、新しい名刺です。一応渡しておこうかと思いまして」

『中央桜花銀行 園河支店 副支店長 江中亨』

 奥津銀行は一昨年、合併と言う形で、メガバンクに吸収された。

 俺も津田さんも小竹も、本部の営業部から別々の部署や支店に配属された。

 高峰不動産が消えた様に、奥津銀行も消えた。……上が必死になって、酒井達のやった事を隠蔽した理由。それは合併を成功させる為だったのだ。

 元々、何処と合併するか検討中だった所に、酒井と高嶺の癒着が判明したのだと、後で教えられた。厄介事を抱えている銀行を欲しがる相手は居ない。だから、上は隠し通せと言ったのだ。

 奥津銀行を憎んでいた人達の前から、その名前は消滅した。組織が消えても人は残る。悔恨も怒りも人々の心の中に留まり、行き場を無くした。

 全ては過去になって、新たな名前の銀行の下、それらは埋もれようとしている。

「今の担当は、どうですか?」

「スイーツ舐めてるから、話にならないですよ。何ですか、あいつは」

 辻井はむっとして言った。東京からやって来た男は、あまり評判が良くない。この土地に配属されたのが気に食わないから、態度が悪いのだ。

 その話は、色々な所で耳にしている。俺が、遠方からわざわざ出張って来て、こっそり様子を見て回っている状況は秘密だ。その内、上に報告する。

「そう言わず、長い目で見て下さい」

 俺は愛想よく笑う。担当はきっと変わる。だから安心してください。と、心の中で呟く。

 俺は、東京の人事本部からの辞令で、この県一帯の査察員に指名されている。……小竹も津田さんも知らない事だ。再編中の組織で、俺にはその適性があるとされたそうだ。

 人を監視して、ふるいにかける才能なんて、俺は望んでいない。

「それにしても、江中さんは痩せたまんまですね。俺のがお腹出て、太っちゃいましたよ」

 辻井はすっかり貫禄のある親父になった。俺は、渋いとか格好良いなんて部下に言われている。……津田さんに言わせれば、甘いもの好きな悪代官なのに。

「妻が厳しいんですよ」

「だいぶ前に連れて来た人ですよね?また一緒に来て下さい」

 ホットケーキに花火……。あの時の苦い気持ちは、良い思い出になっている。今住んでいる場所は、遠いのだけれど、たまには子供達も連れて遠出も良いかも知れない。

「近いうちに、是非」

 ピンク色の店の前では、川べりの桜並木が満開になっている。

「綺麗ですね……」

 俺は眩しい光景に目を細める。世界は醜くもあり、美しくもある。美しい物を見る事さえ息苦しい気持ちは、芽生える都度、佳苗さんが消してくれる。

 子供達は甘い物が大好きで、俺はご機嫌取りも兼ねて、たまにケーキを買って帰る。佳苗さんは、決まって凄く嫌そうな顔をする。

「ママも食べて!」

「おいしいよ」

 子供達は、当然俺の味方だ。

「はい」

 ここで俺が笑って一個差し出せば、佳苗さんは強く出られない。佳苗さんだって、甘い物が好きなのだ。

「歯磨きは絶対だからね」

 佳苗さんは、そんな事を言いながら、ケーキを受け取ってしまうのだ。そして、いつの間にか、子供達とニコニコして食べている。

 ちゃんと時期を計って、丁度いい頃合いに、ケーキは買って帰る。頻繁に買って来ると、太ると言う呪文が発動して、この笑顔が見られなくなるのだ。

 俺が何処の銀行員であっても、役職が何であっても、佳苗さんは変わらないで俺と一緒に居てくれる。何故そうなったのか、どうしてそうなっているのか、佳苗さんは聞こうとしない。

 それは、俺が結婚前に言った事を覚えていてくれる証だ。だから、俺も佳苗さんの言った言葉を忘れない。

 佳苗さんの両手は空いている。けれど、目隠しを取ろうとしない。ただ、俺に向かって差し出している。勇者だと信じて。

 勇者は万民を救う。けれど、俺は俺の望む者しか救わない。だから勇者では無い。

 俺は、己の姿を見られない事に安堵して、その手を握り返す。決して離さない様に。

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