87.脱げないわけがない
『さぁ、第一ゲームの結果は……なんと、女性のみで構成された冒険者チーム、《紅天》が五人揃って一位突破ですっ。やはり、女性の実力者を集めたチームはこの大会は有利でしょうか!? どうでしょう、トキムネ氏』
『今は女性のみではないようだがな』
『あ、そうでした! 第一ゲームでも氷のトラップを仕掛け、多くの参加選手を撃退したスク水で今大会にたった二人しか出場していない男性! レイン選手がやはり注目というところでしょうか!』
『うむ。期待したいところだ』
「期待しなくていいから……!」
思わずレインは実況と解説の声に突っ込みを入れる。
第一ゲームは何とか逃げ切り……ついでに参加選手を何人かリタイアさせることには成功した。レインの作り出した氷のトラップが、ここまで機能することになるとは、レイン自身も思ってもいなかったことだ。
「ここまで上手くいくとは思わなかったわね、レインの癖に!」
「何で馬鹿にするような言い方なんだよ!」
「いや、実際敵戦力をかなり減らすことに成功したのは驚きだ。まあ、やはり実力者がその分残ってしまったようだが」
センの煽るような言葉に突っ込みを入れつつ、リースの発言に納得するように頷く。敵戦力を減らすことには確かに成功したが、フレメアを含めた最大戦力はまだ残っている。
やはり、レインを含めた紅天のメンバー以外はフレメア側と考えた方がいいだろう。……一人以外は。
「フフッ、これで勝ったとは思わないことね。第二ゲームではアタシが勝つわよ」
第一ゲーム終了後にそんなことを言い残していったブーメラン水着のマクス。
泳ぎながら氷のトラップも破壊して進むという芸当を見せた彼も、紛れもなく実力者であることには違いない。
そして、唯一フレメアとの対抗戦力にもなり得るのだが、残念なことにマクスが敵対心を燃やしているのはレインだ。
「ま、まあ……一先ず一位になれたんだから喜んでおくべきかな」
「楽観視しないで。脱落したらあんたは終わりなのよ?」
「うっ、それは分かってるよ」
棘のある言い方だが、エリィの言うことは正しい。
脱落扱いとなれば――その時点でレインも失格となってしまう。
第一ゲームでは一位だったとしても、第二ゲームで脱落してしまえば、その時点でレインの敗北は確定してしまうのだ。
「第二ゲームはどうなるんでしょう。レースで一位になった分、多少は有利に働くとよいのですが」
「僕に有利なゲームであってくれ……!」
「欲望が駄々洩れですよ、レインさん」
シトリアのそんな突っ込みが入るが、レインは真面目に祈っていた。
もはや恥ずかしいとか言っている状況にはない――何とか第一ゲームを勝利で終えたのだが、この先も勝利しなければならないのだ。
『さあ、続いて第二ゲームに移りたいと思います! 第一ゲームでは会場の周辺コースを走り、第二ゲームではいよいよ中心部での戦いとなります! その内容は――』
『水着の定番と言えばおはだけ……すなわち、第二ゲームは脱衣バトルロイヤルである』
「「「うおおおおおお!」」」
会場は異様な盛り上がりを見せる中、ひどく冷静な表情でレインはポツリと呟く。
「……は?」
「レイン、あんたの仇は絶対に取るわ」
「まだ脱げてないんだけど!?」
「どうせ脱げるでしょ」
「ぬ、脱げないからっ!」
センのそんな言葉に反論するレインだったが……レインも含めて、第二ゲームで脱落する可能性が一気に見えてきてしまったことは間違いなかった。
――レインの水着が脱げないわけがないからだ。
脱げないわけがない(大事なことなので三回言いました)
久々の更新です!
レインが脱げないように☆で応援してください!