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背の高い転入生 5

 自己紹介を終えると、いきなり小テストの時間らしい。

 まあ、小学生のテストくらいは訳はないだろう。



 美和子先生がいちばん後ろの机を指さして私を誘導する。

「あそこに席をご用意しました、ご着席をお願いします」


「はい、わかりました」


 子供たちからは

「先生が生徒に敬語つかってる」

「へんなのー」

 といった声が上がる、先生も普通の生徒とは勝手が違いやりにくそうだ。



 私の席は、背の高さを考慮して一番うしろの席だ。

 もし仮に前の方に座れば、後ろについた生徒はろくに前がみえなくなるだろう。


 座席に着く、前のほうから小さなプリントがリレーのように渡された。

 テストなので筆記用具をださなければならない。鞄の中にはボールペンぐらいしかないが、これで充分だろう。


 すると、となりの席の女の子が声をかけてきた。


「えんぴつ持ってないの?」


「あ、ないけど大丈夫です」


「かしてあげるよ」


 どうしようか、ボールペンだけでも何とかなりそうだが、無理に断る必要も無いだろう。

 ここはご好意に甘えて鉛筆と消しゴムを借りる事にした。


「ありがとうございます」


 相手は小学生だが敬語が出てしまう。女の子は笑顔を返してくれた。


 子供達はみな名札をつけている、名前を一目で分るようにする為だ。

 その女の子の名札には『きりん』と書いてあった。ちょっとユニークな名前の付け方だ。動物からとったのだろうか、女優の名前からだろうか、ゲームあたりからかもしれない。

 しかし私が最初に浮かんだのはビールのメーカーのロゴだった、もう考え方がおっさんくさい。


「みなさんプリントは行き渡りましたね、それでは小テストを開始します」


 小テストが開始された。問題をさらっと見ると漢字のよみかきのようだ。

 全部で10問あり、前半の5問はよみとりの問題、後半の5問は書き取りの問題だ。

 最近はパソコンしか使っていないので書き取り問題は少し不安があるが、まあ小学生程度の漢字なら問題無いだろう。



 前半5問の問題はなんなくとけた。後半の書き取りに移る。


・6問目 [げんじつ]をはあくする。

これは簡単だな、[現実]と


・7問目 [はかまいり]をする。

[はか]かたしかこんなかんじのはず[暮]、いやこれは『日が[くれる]』とかの字だ。

たしか[土]が入るはず、[墓]こうだな。いかんな、あまり書かない字は忘れかけているな。

ここは鉛筆でたすかった。ボールペンだったら修正できずに間違いになっていた。


・8問目 [いさぎよい]決断をする。

どうだったっけ? 出てこない、ちょっと後回しにしよう。


・9問目 [ちょうちん]で照らす。

ええと、たしか[灯]がつかわれていたハズだが、そもそもこれは[ちょう]と読むのか[ちん]と読むのか。

[ちょう]だろうか?、そうなると[ちん]という発音の漢字が[珍]くらいしか思い浮かばない。

最初に間違った漢字がイメージとして出てきてしまうと、他の漢字が浮かんでこなくなってしまった。

これは後回しにしよう。


・10問目 人工[えいせい]をロケットで打ち上げる。

……漢字を見かけたら間違えなく読めるだろうが、書くとなると思い出せない。



 時間はあっという間にすぎて、空白の目立ったテストは回収されてしまった。

 しかしこれはいかんな、ちょっと本腰いれて復習しておかないといけない。

 大人としてのメンツが丸つぶれである。



 小テストを回収するときに美和子先生に話しかける。


「すいません、今日は授業にならなかったでしょう?」


「いえ、とても有意義(ゆういぎ)な国語の授業になっていたとおもいますよ」


「そうですか、そういってもらうとそれならたすかります」


 なにか役に立てたのだろうか?

 まあ、先生がすこし満足げに見えたので、ここはよしとしておこう。

小テストネタの、いちおう答え合わせなど。


・6問目 [現実(げんじつ)]をはあくする。


・7問目 [墓参(はかまい)り]をする。


・8問目 [潔(いさぎよ)い]決断をする。


・9問目 [提灯(ちょうちん)]で照らす。


・10問目 人工[衛星(えいせい)]をロケットで打ち上げる。


筆者も日本語漢字変換に頼り切りの出筆活動ですので、いざ直筆で書けと言われると、けっこう怪しいかんじが多々あります。

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