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薔薇姫と龍の騎士  作者: 紅野 緋絽
7/12

7.家族会議

久しぶりの更新となってしまい申し訳ありませんでした。

え?誰も待ってないって?

ここでまさかのツンデレ発生!?

と、そんな冗談は置いておいて今回は家族会です。

「ではこれより第159回家族会議を始めます。司会は私エドガーが、書記は脳筋の代理として捕獲に成功しました王国魔導師団長のルイスが務めます。尚、今回脳筋改め王国騎士団長のギルベルトはS級モンスターであるバジリスク単騎討伐の為に不在であり、筆頭侍女のテレサ殿は夕飯の支度の為欠席です」



色々と突っ込みたい所満載だが、1番可哀想なのは王国魔導師団長のルイスだろう。

彼はダークエルフなので豊富な魔力や万能性から魔導師団長をしているが、引退したエドガーの足元にも及ばないことから色々と不憫な扱いを受けているのだ。

エドガーさえいなければ王国最強の魔導師だが、エドガーがいるせいで彼の名声はそんなに高くはなかった。

他国からは副団長のままだという認識さえされているのだから。

それにエドガーの弟子というポジションでもあるのでどんなに頑張っても師には勝てないのだ。

だから今回も運悪く捕まり、こうして代理をさせられていた。


「それでは、今回の議題は『レーヴァテインがなかなか姫様に惚れない件』についてです。これに関して姫様が行ってきた作戦を述べますので改善改良案をお願いします」

「その前に良いかしら?」

「はい、姫様でどうぞ」

「ありがとう、爺や。じゃあ遠慮なく・・・兄様!今朝のアレは何なのですか!? はっきり言って心臓が止まるかと思いましたよ!?」

「なかなか進展しないからね。ちょっと刺激を入れてみようかと思ったんだけど、思ってたよりもレティが手強くて思い通りにならなかったけど、あれはあれで良かったんじゃないかな?」

「よくありません!私には夜這いするな、と言っておきながらレティには夜這い許可を出すとかどういうことですか!?不公平です!私もレティの部屋で寝てみたいです!」

「娘よ・・・問題はそこなのか?」


こう・・・年頃の娘としての恥じらいや身の貞操の危機などを訴えるのが普通ではないだろうか?

父親として何か育て方を間違えただろうか?

と、頭を抱えている国王を見ながらエドガーは苦笑した。


昔からマリアはやりたいことは欲求のままに行動していた。

物分りがよく、そして優しい子だったので思い通りに行動しても周りに迷惑がかからなかったので特に問題はなかったのだが・・・

どうやら今回の騒動で我慢の限界が来てしまったようだ。

まぁ、よく1ヵ月ももったと言った方が良いのかもしれないが。


「じゃあ聞くけど、もしマリーがレティの部屋で寝れるようになると仮定しようか。そしたらレティは間違いなくベッドをマリーに譲って床で寝るだろうね。マリーはレティを床で寝させたいのかな?」

「っ!?何で床で寝ることになるのですか!?」

「それは君たちが契約で結ばれた主従関係だからだよ。今回は契約主の『兄』である僕からの『お願い』だったから聞いてくれたけど、もし君が一緒に寝たいって言ったらそれはお願いではなく『命令』になるだろうね。君はレティに『命令』してでも一緒に寝たいのかい?」

「それは・・・嫌です」

「ならば今の状況を楽しむことだね」


確かにレオンの言う通りなのだがそれでもマリアにとっては不服だった。

別に毎回じゃなくてもいいのだ。

月に1度・・・欲を言えば週1くらいで一緒に寝たいが、はたしてマリアの理性がもつだろうか?

ギルベルトの話では龍人族の成長はある程度経つとそこで止まり、そこからは緩やかに歳をとるそうだ。

そしてそれは精神面も同じことで、まだレーヴァテインは子供だから成長しているようだが大人であるギルベルトはすでに体と心の成長が止まってしまったらしい。


「やはりここは女子力(物理)でしょうか」

「惚れさせたければ力ずくで手に入れろってことね」

「龍人族は力に重きを置きますからね。まずは姫様が強くなられることですが・・・剣技と魔術どちらを鍛えられますか?」


ルイスの質問にマリアは考えた。

レーヴァテインは剣技を得意とする。

だがマリアは魔術を得意とするのだ。

専門分野が違う分、戦うとなると明確な決着はつかないだろう。


「それならば王立アストレア学園に行けばいい。そこでならば剣術と魔術、そして魔法剣を学ぶことができるからな」

「そういえば前にレティの協調性を育む為に体験入学をさせたらどうか?という話題が出てましたね。姫様もついでに1カ月の体験入学をされてはどうですか?同年代の友人ができて良いと思いますよ」

「それはいいね。今の内に王族や高位貴族以外の友人を作っておくことは大切だよ。ほら、何かあった時に手が沢山あった方が助かるからね」

「確かにそうね・・・」


王の言う通り確かにマリアとレーヴァテインの為にはなる。

それに1カ月位ならば城から離れても問題はないだろう。

そうなると問題は・・・


「レティが素直に体験入学するかしら?」

「学園にも強い奴がいると言ったらどうかな?」

「『ギルよりもか?』と真顔で聞かれて終了ですな」

「じゃあ、剣ではなく魔術の基礎や経験を学ぶというのはどうかしら?」

「それならばエドガー殿か私が指導すれば最高峰の魔術が学べます」

「なかなかに手強いね。そうなると単純に『マリーが体験入学するからついでにしておいで』って言った方が良いのかな?」

「さらに『従者として護衛も兼ねている』と言えば文句も言えないでしょう」

「ではそれで決まりだな。学園長に連絡を入れておくから互いの準備ができ次第、体験入学とする。名目は・・・王立学園の視察、にするか」


こうして第150回家族会議が終了したのだが、何かお忘れではないだろうか?

そう、今回の会議の議題である『レーヴァテインがなかなか姫様に惚れない件』と、『レティお泊り事件』の話が全然行われていないのだ。

だがその2つは建前であり、マリア以外の参加者は裏議題である『マリアとレーヴァテインを体験入学させる』という目的を達成させていたのだ。

家族会議・・・それは些細なことから国事にかかわることまで話し合われる国の最高会議のことである。




「と、いうわけで来月から姫様とレティが体験入学をすることになりましたぞ」

「よくレティがそれを許可したな」

「ふぉっふぉっふぉっ、私にかかれば小僧を論破するなどたやすいこと」

「・・・確かにそうだな。お前も姫様についていくのか?」

「そろそろ爺離れをした方が良いと思いましてな、代わりにミーアを入学させることにした」

「ミーアか、それならば問題ないな」


マリア直属のメイドにして暗部の隠密部隊所属の猫人族のミーアならば身辺護衛として何の問題もないだろう。

それに例えレーヴァテインが護衛として体験入学したとしても、全寮制であるので男女は別の寮で暮らすことになるのだ。


「これを機にレティに協調性がつけばいいのだが・・・」

「龍人族は孤高の戦士だからな。基本的に単騎戦を望む傾向がある」

「ではせめて弱者の心情を理解できるようになってもらわねば。ついでに母離れも」

「母離れ?」

「記憶はないが、本能がお前さんを『母』と認識している節があるからのぅ。血の繋がりとは興味深いものですな」

「せめてそこは父にしろ。俺はあいつに父親代わりとして接しているつもりだ」

「まぁまぁ、良いではないか。将来の予行練習と考えれば」


そう言って黒い笑みを浮かべるエドガーを見ながらギルベルトは苦虫を噛み潰したかのような顔をした。

喰えない爺だ。

いや、そもそも本当に爺なのだろうか?

はっきり言ってエドガーの魔力量は異常だ。

あきらかに『人間』が保有している魔力を上回っている。


だが50年以上の付き合いがあるにもかかわらずそのボロを出さないあたり、本当に魔力量が異常な人間かもしれないし、人間に近い種族であるかもしれないのだ。


「エドガー、お前は『何』だ?」

「ふぉっふぉっふぉっ、それは黒騎士が帰ってきてから酒の席で話すのも一興ですな」


意味深な笑みを浮かべたエドガーはそのまま転移魔法を使って姿を消した。

それも最高位魔法である転移魔法を無詠唱で、だ。


「味方ならば心強いが、決して敵に回したくないタイプの奴だな」


そう言いながらため息を吐いたギルベルト踵を返すと騎士団の宿舎に向かったのだった。


ミーア「エドガー様は何でギルベルト様にだけ砕けた口調で話すんですにゃ?」

レオン「それは黒騎士を含めたあの三人が悪友であり、戦友だからだよ」

ミーア「黒騎士って誰ですにゃ?」

レオン「そういえばミーアは知らなかったね。王国騎士団の副騎士団長で、さらにギルベルトの婚約者らしいよ。僕も会ったことがないから詳しくは知らないけど」

ミーア「ギルベルト様に婚約者!?初耳にゃ!」

レオン「僕も最近知ったからね。どんな人か楽しみだね」

ミーア「だにゃ!ミーアも会ってみたいですにゃ」


そしてミーアの願いは意外と速くに叶うことになるのだった。

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