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レケアスミスは鍛冶をやる! ~友人の書いた荒だらけの世界で転生したのはヒドインだった!  1

 

 寝ようとしていた私が突然思い出したのは、前世の記憶……最後の記憶は、学校の帰り道で通り魔に刺されるところだった。


 友人がネット小説が好きでよく、オリジナルのやつを聞かせてくれたり、それがクッソおもんな!

 という感想は飲み込み、本は苦手で読まないタイプだと言ってやんわりと拝読を拒否していた。


 そして不思議なことに、これまでの記憶をなくしてしまう。


「というか、しっ! 死んだの私……!?」


 さんざん異世界転生を馬鹿にしていて、一切読んでこなかった私。こんなとき、どんな対処をすればいいかわからない。

 友人である濁李がドハマりしていて、聞き流していたくらいの軽い知識しかない。



「悪役令嬢なんてやだー! どうせなら王道ヒロインがよかった……」



 どんな顔で年齢は? 部屋は豪華で私は女だけど、令嬢じゃなくて王妃だったらどうしよう。

 恋とか仕事とかしてないのに、いきなり青春がドコーな老後へゴーなんて……?


 アホなこと考えてないで、照明のヒモを暗がりで探してみると、指先にヒモが当たる。


「よかった。電気がある」


 おそらく、この世界は友人が適当にノリで書いた荒だらけで、世界観ぐっちゃぐちゃのアレだわ。

 なら現代的な生活も可能なはずよ。根拠のない安心感につつまれながら、ドレッサーの鏡を見る。


「若いし、かわいい」


 小説に挿絵はなく、キャラの特徴も適当に聞いて覚えてない。


「でもこれは、悪役令嬢じゃない……」


 悪役令嬢は大体が銀髪、偏見だが読まない人種からしたらそんな印象がある。

 ということは、なんだかんだ不運を乗り越えて幸せな結末になる系の主人公ポジションの展開は無い……?


「じゃあ、私は誰? モブ令嬢ならごたごたに巻き込まれないだろうけど……」


 髪の毛は薄めの金髪で、ピンクじゃないから小説主人公やらゲームのヒロイン、ヒドインにされるという立場でもない?


 いろいろ考えても気が付くと眠気に負けて、そのまま朝になっていた。




「お嬢様、朝でございます」


「今起きたわ……」


 さて、令嬢らしい振る舞いなんてわっかんないわー。

 今までの記憶もすっ飛んで、メイド達に違和感が持たれてないといいけど。




 ◆



「勇者殿、あの女性が好意がある様子で見ていますが、本当によろしいのですか?」


「うん。大丈夫だよ。僕は他に想い人がいるからね」


 勇者コムランはこれから魔王討伐の旅に出ようとしている。

 彼には幼馴染で想い人がいた。彼女は優しくとても綺麗な女性なのだと討伐仲間に触れ回る。

 そんな彼女が大好きだったが、3年ほど前に結婚の許しをもらうため、あいさつに行くと彼女の両親は反対した。



「だから魔王を討伐するのさ」



 勇者は結婚のため、魔王を倒すことを誓うのだった。


 ◆



「おはようございます」

「おはようございます。お嬢様」


「昨夜はよく眠れましたか?」

「それが……少し変な夢を見て、忘れてしまいましたわ」


 私の髪を整えてくれる侍女たちに、ぎこちない笑顔を振りまく。

 年上の女の人たちは仕事でいるのだから、それらしくしていれば大丈夫よね?


「本日はご気分がすぐれないご様子ですが、お食事の前にお酒はお飲みになりますか?」

「今日はやめておくわね」


 やんわりと断ると、そそとして去る。

 彼女たちに違和感を持たれてはいないようで、ひとまずは第一関門を突破した感じはある。



「お父様とお母様にご挨拶をしましょう」


 そう思い立ちこちらの両親に記憶がないとは言わず、夢見が悪く気分がすぐれないと告げた。

 私を心配してくれているのか、すぐにベッドに戻される。

 漫画みたいにいい両親ではないか、いや小説だけど!

 作者の濁李の両親も子供想いでいい人だし、私の親とは根本的に違うんだ。


 授業参観に来ないのは子供の世話と仕事が忙しいからだと思われていたけど、母は家でSNSしかしないし、父はただのパチカスだ。

 外ヅラがいいから、周りに言ったところで私が変な人だと思われる。

 あいつらはお金は祖父母の土地を貸家にしている儲けで賄っていた。


(あれれー? 私もうスペックが主人公よなぁ……)


 もうこのまま、ここで生きてもいいかもしんないな。

 濁李はいい友達だったけど、両親がいるから生き返らなくていいな……。




「心配なさらないでください」


 と言って微笑むと、両親は安心している様子……うまく立ち回れているのでは?



 ……それにしても、読まなくて正解ってくらい、いろんな綻びがあるな。




 メイドはホウキで空を飛んで窓ふきしている。下働きの男は木のリンゴを魔法で落とした。

 私も魔法使えるんじゃないの? と思いながら、ほしいゲームを召喚しようと思い浮かべる。


 なんもでない! そういや濁李、アナログ人間だった!

 友へ……若者ならマ●カーくらいしとけ!


 ◆


「あなた、お仕事が落ち着いたらデートに行きません?」

「あぁ、そうだね。行こうじゃないか」

「えぇ!」

「でも、どうして急にそんな事を」

「だって、あなたの事が好きですもの」

「僕も君の事が大好きさ!」


 こちらの両親はとてもラブラブである。


「しかし娘を一人残していくのは……」

「心配だわ……」



 とても平和な世界の住民なんだなあと思う。



「私は問題ありませんわ」


「そうかい?」

「それなら……お言葉に甘えて」


 ◆


「お嬢様はどんな殿方がお好きなのかしら」


メイドが噂をしている。


 ああ、どうあがいても令嬢だからこの先、私はだれかと結婚しなくちゃいけないんだよな。

 元の世界の両親のせいってわけでもないけど、婚約破棄モノにいるクソみたいな男に自由が奪われるのはいやだ。


「ね今週の詩集は読んだ?」

「ええ、悪役令嬢とヒドインの戦い白熱してたわ」


 こっちの世界でも流行ってるのか……。



「もう14話は1000回読んだ」

「私14話から次にいけない」


 ●滅かな? そんなに面白いもんなのかな?



「新作はこのブロンドがヒドインか」

「ヒドインといえばピンク頭の風潮あるけど、赤毛は友人で、それで悪役令嬢がこの青髪」


 男もそういうの読むんだね……。


ブロンドという耳慣れない単語で、ふとヒドインの髪の毛の色のことを思い出した……。

作者いわく、ピンク髪が好きな女児だからヒドインにはしない。

とのことで、ああ、そうなんだ。というやりとりをしたな。


『ヒドインはねー薄い色のイエローなんだー』


うわあああああああああ!


私はこの作品のヒドイン!? やだやだやだ! マジでそういうの履修してないんだけど!

どうしたらいいの……女主人公は英語でヒロインだし、ヒロインが主人公が言われてもわけがわかんないよ。

 

学校の成績はよかったけど、この世界でサバイバルになんも役に立たないってはっきりわかったね。



のんきに自由な生活がーだの言っている場合じゃない!

どこぞの王子……くるなよ!




「これは運命か? うるさい許嫁のハスキーラから逃れて、辺境の地で天使を見つけた」


知ってた☆ わたくし、おもっくそフラグ立ててましたね!


というかハスキーラって好きなネット小説の主人公の名前に似てるんだけど……。

……さては濁李、ネット小説から適当に拝借してつけたな!




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