地球を捨てた女 共通1
リアル歴2187年、富豪や科学者など一部の人類は地球を捨てた。
そして新たな惑星<ミーゲンヴェルド>を作り、文明を築き上げてから200年の歳月が過ぎる。
文明の始祖とされる科学者は延命技術により永きを生きる。
彼らは互いに干渉せず、各々の世界領域の中で自由に暮らす。
住民を作り、退屈を紛らわせる為の余興として物語を用意するなどをしている。
その中で他の科学者が作った創造物同士が争う事もあるが、
科学者同士の死闘は暗黙の了解で禁じている。
科学者達は1年に1度、集会を開いて創造物の縁結びを行う。
しかし、今回結ばれた……正確には結ばれていた。のは創造物ではない。
「まさか、リージャとエルマー、ジオとレアナの二組が結婚とはな」
見た目は20半ばだが、200を軽く超えているドゥア・スクが呟いた。
「びっくりね」
少女のような見た目をして、同じく200年前から生きているマチルも相槌をうつ。
「この先延命はしていても、永遠ではないじゃない?」
「我々の遺伝子を継ぐ者に生まれた日から延命措置をしていれば
より永きを生きられると踏んだのさ」
二組は地球離脱チームの時代の科学者同士である。
他にも数名の前例はあったが、昔馴染みの結婚は初だった。
「俺達は違うぞ」
「私達の子なら美男美女で間違いないとシミュレーターで……」
なんとも科学者らしいプロポーズ理由だった。
「で、あいつはまだか?」
早く帰って紅茶が飲みたいとジオが皆に問いかける。
今日集まったのは集会ではなく、ある者に呼び出されたからだ。
「遅いのはいつものことじゃないか」
エルマーが気長に待とうと葉巻に火を着ける。
「それで~マチルはどうするの?」
「なにが?」
「決まってるじゃない。結婚よ」
「……ああ」
これまで縁遠かった女子会やら恋バナを、200年後にして
されることになるとは……。
「あまってるし、ドゥア・スクにしておけば?」
ドゥアは科学チーム時代からのメンバーで、学生時代に留学生として現れ
マチルと、もう一人の友人と中が良かった。
「私は結婚する気はないわ」
それは勿体ないわね。と理由は“あの事”だろうと察して追及しなかった。
「やあ、久しぶりだね。原初の人類」
微妙な空気になった後、すぐに皆を呼び出した張本人がやってきた。
「遅いじゃないか、ゴルダーン」
「どうして私達を?」
呼び出した理由を口々に問いただされ、彼は悪びれた様子もなく話そうとする。
ゴルダーンを初めとする宇宙人類は、汚染された地球から
離脱し、文明を築く基盤を与えてくれた。
彼らの協力がなければ、地球人類は滅亡していたことだろう。




