拝借
今回は物資の調達です。
新しい武器も登場します。出してほしい武器等ありましたらご一報ください。
何時もの通学路。枯葉がつむじ風に運ばれる。
思い返されるあの日の朝。あの日の朝まで、世界は普通だった。
それが、今となっては歩いているものは不気味に蠢く感染者だけだった。
………いや、感染者だけではない。感染者を蹴散らしながら道路を突っ切る物体が━━━━━。
「ねぇ。目的地まであとどれくらい?」
「そうだな、あと一日ぐらいかな?」
「げっ。まだそんなにかかるの?」
「仕方がないだろ?音を立てないようにゆっくり走ってるんだから……。」
そんなやりとりをしている二人の男女。
それは、悠斗と麗香であった。先程学校から脱出し、今後の方針を二人で話し合った結果、どこかの避難所に行くのが賢明であるとの結論に至った。
だが。南高校は郊外に位置するため最も近い避難所に指定されている学校でもかなり遠い。
おまけに放置車両を避けたり、ゾンビに気付かれないようにするため時速20㎞程で進んでいるので、一向に近づく気配がない。
よって二人はこの不毛な会話をかれこれ3回繰り返しているのであった。
「そういえば、麗香?」
「なに?悠斗君。」
「そのケース、何が入ってるんだ?」
「これ?」
「ああ、それそれ。」
ケースとは、自分たちがこの車に入った時にすでに積んであった長方形の黒い箱のことである。
「でも、鍵がかかってて開かないの。」
「鍵、ねぇ…。」
ふと思いついた。
「麗香、ほらよ。」
「えっ?バールなんか何に使うの?」
「抉じ開けろ。」
「えぇ!!いいの?」
「この車は俺達の物。車の中の物も俺達の物。」
「そんなジ〇イアンみたいに言われても……。」
「俺の予想があってれば、多分中身はサプライズプレゼントだ。」
「サプライズ?」
「いいからいいから。」
というと、麗香はバールを片手に一心不乱に抉じ開ける。
(鍵をかけて厳重に箱に入れてるんなら大事なもんだ。おまけに自衛隊ときたらアレしかないだろうな……。と踏んだんだが?)
「あ、開いたよ!」
「見てみろよ。」
「えっ…?これってまさか…!」
「やっぱりな。」
中に入っていたのは、一丁の銃とその弾薬、そして。
「爆弾………。」
一個の手榴弾であった。
(これは大事に使わないとな。)
「とりあえず、物資を集めておこう。細かい確認はそのあとだ。」
爆弾に驚愕している麗香に言い放つと、車を走らせた。
車はコンビニの前で止まった。周りにゾンビの影はない。
このコンビニは全国チェーンではなく、この地方でしか見られないコンビニである。
そして車から降りた影が二つ。悠斗と麗香である。
「まず、コンビニの中の安全確認をする。安全が確認でき次第、麗香は物資を調達してくれ。消耗品を多めに頼む。」
「悠斗君は何するの?」
「サプライズプレゼントの詳細を見ておかないとな。」
といいコンビニの自動扉を開ける。
途端に凄い臭いがした。吐き気を催すような腐臭だ。
鼻をつまみながら店に入ると、いた。レジのところに一匹。
どうやら何かを喰っているようだ。大方想像はつくが。
確認すると、店員のゾンビが男性客を喰っている。食べるのに夢中でこっちには気付いていないようだ。
グジュッ。
後ろから槍を突き刺してノックアウトである。喰われていた男性客は損壊が激しく、まずゾンビ化しないだろう。
店内をくまなく探しても何もいなかったので、麗香に物資の調達を任せ、麗香の開けた箱を確認する。
中に入っていたのはショットガン━━━━━━━レミントンM870だった。
「ほぉ…これはまたなんとも。」
カッコいい。
悠斗は元々ミリオタであり、、よく友達とサバゲをしていた。
そのサバゲの時の中心的な人物が愛用していた銃である。
(俺は本物手に入れちゃったもんね~。)
と恐らく死んでいるであろう友にひそかに優越感を抱く。
動作を確認してみたが、問題なさそうだ。
(装弾数は…8発か。すげぇな。)
と思いながらショットシェルを詰め込む。
(まだ色々あったりして…。)
車を隅々まで調べる。
「こういう時は大体ダッシュボードに…やっぱりあった。」
中には紙箱に詰められた弾200発。
「大事に使わないとな。」
暫くして、麗香の持ってきた荷物を詰めると、車を走らせた。
そしてスーパーの駐車場の一角に止まる。
ゾンビが来ないのを確認してから、缶詰を取り出す。
「今日はここで一泊するぞ。」
「仕方ないね。」
と言い、ツナを口に運んだのであった…。
次話はゾンビ物定番の世紀末な人を出す予定です。
感想、誤字脱字の修正待ってます。