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死者の蠢く世界で  作者: 三木 靖也
百折不撓
56/64

倒壊

短めです。

悠斗は本部ビルに向かって走り続ける。


すると、悠斗が走る方向から、多くの兵士が走ってきた。


「バケモンが暴れているらしい!急げ!」


ハンドガンからアサルトライフルまで、どこでそろえてきたのかという武器を持った兵士たちが悠斗とすれ違う。


きっとバケモンというのは和久井のことであり、暴れて悠斗が進めるように囮になってくれているのだろう。


そう考えると、一度止まった涙が再び流れ出してくる。


だが、それでも前に進まなくてはならない。


それはきっと、和久井の贖罪のうちなのだから。















麗香は少し広いホールのステージ上にいた。


檻に入れられて、あたかもケージに入れられた小動物のようだ。


見張りの兵が二人。


だが、二人ともそわそわしている。


自分たちも戦いたくてうずうずしているのか、それともいつミサイルが直撃しないかと気が気でないのかはわからない。


ただ、今この二人が隙だらけだということは理解できた。


手足を縛っていた縄はすでに解かれ、猿轡もない。


だが、脱出しようとする意志を、頑丈な檻が阻む。


「悠斗君……。」


頼りすぎてはいけないと思いながらも、ついその名を口にしてしまう。


きっと彼ならなんとかしてくれる。


そう思わずにはいられないのだ。


その直後、被弾した戦闘機がホールに突っ込み、壁に大きな穴をあけた。
















帝国南東ゲート。


ここの防備が最も少ないため、東北の地上部隊が、総攻撃を仕掛けていた。


「撃て!撃て!撃て!」


10式戦車がAPFSDS弾を発射し、ゲートを吹き飛ばす。


だが、その直後帝国が放ったロケットランチャーによりキャタピラが吹き飛ばされ、走行不能に陥る。


それでも、突破口は開かれた。


「全軍進めぇ!」


歩兵隊や、ジープが次々とゲートを超える。


すると、周囲のビルから機関銃の嵐が巻き起こり、次々と倒れていく。


「物陰に隠れろ!戦車と装甲車を先行させて、機関銃をつぶす!歩兵隊はロケットランチャーを持った兵士を優先的に狙い撃て!」


装甲車が唸りを上げながら、ゲートを超える。


途端に激しい攻撃を受けるが、意に介さず進む。


しかし。


大きな爆発音が鳴り響き、装甲車が吹き飛んだ。


帝国が地雷を仕掛けていたのだ。


「こしゃくな!」

















暫くすると、少しずつ前に前進することができた。


この調子でいけば、もう少しでここを突破できる。


だが、司令官は疑問に思い始めていた。


何故ここの防備を最も薄くしたのか。


まるで誘い込まれているかのようだ。


急に嫌な予感がする。


後方を確認すると、半分以上の兵士がゲートを超えている。


これは喜ぶべきことなのだろうか。


それとも………。


そう思った時、隣のビルから爆発音が聞こえた。


すると、柱を吹き飛ばされたビルがちょうどこちらに倒れてくる。


ビルの爆破解体を応用し、この道路の上にビルが倒れるようにしていたのだ。


「罠だ!しまっ……ッ!」


その直後、ビルの外壁に押しつぶされ、破片が当たり、ゲートを超えた兵士はほとんどが戦闘不能に陥った。


「さぁ、ここからが本番だ!帝国の正義を見せつけてやれ!」


帝国の兵士たちが、機関銃を放ちながら接近する。


「た、退却だ!いったん退け!」


そういうと、まるで蜘蛛の子を散らしたかのように東北の兵士は逃げ出した。


そして南東ゲートは、帝国国歌の斉唱による勝利の凱歌を上げていた。

























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