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死者の蠢く世界で  作者: 三木 靖也
阿鼻叫喚
3/64

開始

いよいよ本編始まります。

学生なので、更新遅れていくかもしれません。

「ふゎぁぁぁぁ~~あ…。」


と、高校一年生の槇原 悠斗(まきはら ゆうと)は欠伸した。


それもそのはずである。昨日は深夜まで買ったばかりのゲームをしていた。


「おまけに社会ときたもんだ…。まったく、ついてねぇぜ。」


もう一度欠伸をしてからつぶやく。


社会の増田先生は何やら緊張した面持ちで、アメリカで多発している暴動のことを力説している。


が、真面目に聞いているものは、国立大学を志望している者ぐらいのものだろう。


どれだけアメリカがやばかろうと、所詮は対岸の火。よほどの親米家でない限りは至極どうでもいいことだ。


どうやら、感染症が広がっていて、その感染者と感染者の人権を求める団体が暴動を起こしているようだ。


日本でもマスクを着けましょうとか、手洗いうがいをしっかりしましょうとか、その程度の対策しかしていない。


暇なので、こっそり携帯を取り出し、YA〇OOを立ち上げる。


すると、ホームページのトピック蘭におかしなことが書いてあった。


『暴動の正体はゾンビ!?』


(はっはっは。なんだこりゃ?映画かなんかの宣伝か?)


と心の中で笑い、リンクを開く。


リンクには、ロサンゼルスで始まった暴動は感染症によって引き起こされたという風に伝えられているが、実は感染すると、あたかもゾンビのようになってしまうこと。


具体的には、人を喰らうようになり、感情が無くなるということ。たとえ銃弾で撃たれても頭以外に当たれば死なないということ。空気感染は、ほとんど存在せず、引っ搔かれる、噛まれる等によって引き起こされることが書いてあった。


その下に、画像が何枚か貼ってあった。


感染者の人権を求めるデモの様子。


血だらけの人が道路を埋めている画像。


兵士が応戦している画像。


そして、血だらけの人が、一般人を食っている画像。


(うっげ~気持ち悪ィ。偽物にしてもよくできてるなぁ~。)


と顔を顰めた。グロいのはある程度大丈夫な方ではあるのだが、なかなか凄惨な写真だった。


授業でも聞くかな。と思ったが何か引っかかった。


もう一度見直しても、これは映画の宣伝ですとは書かれていなかったのだ。


(こういうのは、しっかり書いとかないと俺みたいなバカはすぐ信じちまうぞ。)


少し震えながら、『ゾンビ』と検索する。


すると、某動画サイトにたくさん暴動の様子がアップされていた。


音量を消し、再生する。


市街地で兵士がマシンガンを撃っているゾンビと思われる人を撃っている。が、ゾンビの動きは止まらない。


やがて首筋に噛みつき、噴水のように血が噴き出す。


(嘘…だよな…?)


驚いていると、画面の上の方にメール通知を知らせる文が流れてきた。


それは県警の災害用メールだった。


『暴動が発生しました。市民の皆さんは、最寄りの避難所か自宅で待機してください。』


嫌な汗が背中をつたう。


先生もメールが来たのは気づいたようだが、無視して授業を始める。


ガタッ。


思わず立ち上がってしまった。


「ん?槇原どうかしたか?」


「う〇こだよ!う〇こ!」


男子が囃し立てる。が、今は体裁に気を使っている暇はない。


警察の災害用メールは県警から送られていた。すでにこの県のどこかで暴動が起こっているのだ。もしかしたらこの町かもしれないのだ。一刻も早く家族の無事を確認したかった。


「あ…あの、おr『皆さん!よく聞いてください!この町で暴動が発生しました!』


スピーカーから聞こえる教頭の大声で五月蝿かった教室が静まり返る。


『せ…生徒の皆さんは、いつもの訓練通り避難してください・・・ッ!…林先生…?な…なにを?…まっまて!落ち着いてくガッアアアアアアァァァァァァァ!!!』


スピーカーから断末魔の叫びが聞こえると、激しく暴れる音が続き、やがてスピーカーは音を出さなくなった。微かに聞こえる咀嚼音以外は。


「う…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


「キャァァァァァァァァァ!」


静まり返っていた生徒がパニックになった。


そして我先にと教室から出ようとする。


「おい!どけよテメェ!」


「押すな!!」


さっきまで仲の良かった奴らも、貶しあっている。


「先生は!?」


悠斗は先生を探す。が、すでにいなかった。


「逃げたな!?あの野郎!!!」


しばらく混乱が続いた。




数分立って生徒が全員出ていくと、教室内は静かになった。


いや、全員ではなかった。


この場には、悠斗ともう一人。女生徒がいた。


ガタガタ震えている。


悠斗は溜息を吐きながら女生徒に近づく。


「おい、大丈夫か?え~と確か君は麗香(れいか)だったよな?」


肩をたたくと、安心したのか抱き着いてきて、急に泣き出した。


(いや、美人だし、嬉しいけど今は早く逃げたい。)


しかし、がっしりと体を掴まれて動けない。


「うっ…うぇっ…ひぐ…。」


(こーいうときってなんて言やぁいいんだ…?)


考えていると、不意に麗香が顔を上げる。


「グスッ。ありがとう。ごめんね、私怖くって。」


なにこのかわいい生き物。じゃなくて。


「急いで逃げるぞ。」


「うん。」


振り返って教室を出ようとした途端に凍りついた。


そこには、すでにゾンビの仲間入りを果たした増田先生がいた。

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