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死者の蠢く世界で  作者: 三木 靖也
死中求活
25/64

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少し短いかな?

それではお楽しみください。


トレスショッピングモールからおよそ20㎞。


川の岸辺に5台の車。


そしてその周りに座る九人。


「よし。まずは整理をする。」


大関がボードを持ちながら話す。


今、トレスから脱出することができたので、ひとまずここで休憩と整理を行うことになったのだ。


「これより、疾風を一号車。TV局車を二号車。マイクロバスを三号車。軽自動車を四号車。武装トラックを五号車と呼称する。」


マイクロバスには主に物資を乗せることになった。


また、武装トラックというのは、軽トラックを鉄板などで要塞化したものである。トレスの物資回収班が使ったものらしい。


「大まかな分類として、戦闘班、整備班、通信班、雑用班に分ける。雑用班は主に炊事、洗濯などをやってもらう。まず戦闘班だ。戦闘班は私、槇原、宮本、伊吹だ。整備班は山本。通信班は村下。雑用班は仁科、永森、奈菜ちゃん。」


それぞれがお互いの顔を見合うが、特に問題はなさそうだ。


「では分乗。一号車は槇原、仁科、奈菜ちゃん。二号車は村下。三号車は宮本、伊吹。四号車は山本。五号車は私と永森だ。以上だ。質問はないか?」


暫く待つが、特に異論はなさそうだ。


「それでは、少し遅いが昼食にしよう。戦闘班は周囲警戒。整備班は車のメンテナンスを頼む。ガソリン残量も調べておいてくれ。通信班は情報収集だ。呼びかけてもいい。雑用班は炊事だ。」


「了解!」


雑用班が簡易BBQセットを広げている間に、悠斗は89式小銃を掴んで堤防を上った。


この89式小銃は石田が持っていたものだ。


ダットサイトが取り付けてあり、照準を合わせやすい。


レミントンやその他の武器はマイクロバスに乗っている。























結局、ゾンビが来ることもなく昼食ができた。


ポークビーンズや、カンパンが並ぶ。


すると永森がトレイに何かを乗せてやってきた。


「皆さん!私スープ作ったので食べてください!」


(スープか。最近冷えてきたし、ちょうどいいかもな。)


そこでふと違和感に気付く。


何か重大なことを見落としている気が…。


「はいどうぞ!」


コト。


と自分の前に置かれたスープを見て、その違和感が確信に変わる。


そう。


前に置かれたお椀に入っていたのは紛れもなく…。


あの山本の作った魔女汁だった。


(そういえば水咲、アレを美味しいって言ってたっけ…。アハハ…。もう笑うしかねぇよ…。)


「山本さんが手伝ってくれたからきっとおいしいはずです!」


「ハッハッハ!そんなに褒められると困るなぁ~!」


(やっぱりお前かッ!やりやがった!)


「どうぞ!食べてください!」


「ハハハイタダキマス…。」


スプーンで掬う。


何やらトカゲのしっぽのようなものまで見えるのは目の錯覚か。


ズズ…


(口の中に入れた途端に吐き気が…!あれ?)


「お、いしい、ぞ!?おいしいぞ!うんまぁぁぁ~~~い!!!」


そう。


なんとおいしかったのである。


「良かった!次も頑張っちゃいますね!」


「あぁ、また作ってくれ!」


ハハハハハ!…アハハ。…あは…アレ?





















「━━━━で、今になった吐き気が込み上げてきたんだね?」


「うぉぉぉええぇぇ!時間差なんて卑怯だ…。」


川の岸で涙目になりながら激しく嘔吐する悠斗の背中を麗香が擦っている。


「よくよく考えたらあんなの美味しいわけねぇよ…!」


山本と伊吹と永森以外の者は全員川岸に並んで嘔吐している。


麗香も吐き気を堪えているように見える。


「流石新婚夫婦。お熱いですなぁ~。」


「雨音…。お前…なんで無事なんだ?」


「いや~。見た感じヤバそうだったかさ。急いで口の中にスポンジ入れたんだよね。んで、飲み込まずにそのまま川にポイ捨てしたわけ。」


「お前…女ならもう少し慎みってもんを…。」


「フフフ…。何があっても…最終的に…やり過ごせればよかろうなのだァァァァ!」


「それはマジでヤバいからやめろ。」


「いいじゃん。ちょっとぐらいネタ挟んだってさ…。」


伊吹が少し膨れながら立ち去る。


こうしてトレス脱出記念日は激しい嘔吐に見舞われながら過ぎて行った。


「なんで皆吐いてるんだろう?」


「なんでなんだ?」


そしてしきりに首をかしげる二人の男女の影があったそうな…。









魔女汁再登場です。

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