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死者の蠢く世界で  作者: 三木 靖也
烏合之衆
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遭遇

今回はボス戦みたいなのです。

少しグロイかも。

押収品の保管してある部屋は警察署の地下2階にあった。


(警察署って意外に広いんだな…。)


と場違いなことを思いながら悠斗は大関が鍵を開ける作業を見つめていた。 


「待ってろ皆。もう少しで開くぞ。」  


「なぁ。」


「何だ?新田。」


「トイレしたくなっちまった。ちょっくらトイレ行ってくるわ。」


「気をつけろよ。一応建物内は何もいないはずだが、何があるか解らんからな。」


「へいへいっと。」


新田が階段を上がっていく。


何故か悠斗はその背中をものすごく遠く感じた。




















(トイレトイレっと…。)


新田は地下一階にあるトイレを探していた。


「おっ!あったあった。」


トイレに駆け込む。


しかし新田はその背中を見つめる目があることに気が付かなかった。


「ふぅ~い。スッキリした。」


用を足して手に付いた水気を手を振って飛ばしながら階段まで歩く。


ドンッ。


自分の体が揺れる。


急に腹が熱くなる。


思わず下を向く。


「え?」


自分の腹から巨大な爪が伸びていた。


「え?は?」


痛いというよりは熱い。


熱いと叫びたかったが、口から出るのは真紅の液体。


わずかに残された力で振り向こうとすると、急に視界に入ったのは自分の顔面に迫る爪だった…。















「新田の奴、遅いな…。」


山本が呟く。


「何かあったのか…?よし、開いたぞ。」


大関は少し思案しつつも鍵を開けた。


扉を開くと、中には押収品がずらりと並べられていた。


その中には、何やら怪しげな白い粉まである。


「各員、暫く物色だ。俺は新田を探してくる。」


「了解。」


というやり取りをして、大関さんは地下一階へあがっていった。


「じゃあ、山本さん。物色しますか。」


「あぁ。」


銃のある場所から、銃を根こそぎ持っていく。


5分ほどで入れ終え、弾のある場所に手をかけようとしたその時、上から銃声が聞こえてきた。


「何かあったんですか!?」


通信機で話しかける。


『二人とも、急いでこっちに来てくれ!敵がいる!普通のゾンビじゃない!』


「解りました!山本さん!」


通信機を仕舞って、弾がある場所から弾を一掴みポケットに突っ込み、山本とともに階段を上った。























上がって目に飛び込んできたのは必死に銃を撃つ大関さんと赤い生物。


筋肉が剥き出たような躰。


手から生える巨大な爪。


そして2mはありそうなその背丈。


今までのゾンビとは全く異なった生物であった。


「…冗談だろ?」


悠斗が呟く。


その赤い生物はこちらに気付き、その巨大な爪を突き出してきた。


それを体を捻って躱す。


「お返しだ!」


そして悠斗はその突き出された手にレミントンをぶっ放した。が。


ガン。


鈍い音がして攻撃を防がれる。


その突き出された手に握られていたもの。


それは警察の防弾盾なのだった。


赤い生物は飛び退くと、悠斗と山本を危険ではないと判断したのか、大関を執拗に狙い始めた。


大関は応戦するが、躱されるか、盾に防がれてしまう。


山本もさっき拾ったニューナンブで援護に入るが、当たっても意に介さない。


「クソッ!何かないか!」


悠斗も対抗手段を探す。


ニューナンブは効かない。


ショットガンも無駄。


アサルトライフルは防がれる。


手榴弾も避けられるだろう。


いや、待てよ。


「もう少し時間を稼いでください!」


と言い、ポケットを弄る。


そして“ある物”を取り出し、レミントンに装填し、コッキングを行う。


狙いを定め引き金に指をかける。


「これでも喰らえッ!脳筋野郎!」


そして“ある物”を放つ。


当然の如く赤い生物は避けようとする。


しかし、大関の射撃で移動する場所を制限される。


ならば。と、赤い生物は盾を構える。


その盾に“ある物”が吸い込まれて…。


盾を突き抜けた。


気付けば赤い生物の頭は吹き飛んでいた。


否、大穴が開いた。


そして悠斗は生きようと足掻く赤い生物に近寄ると、首にもう一発撃ちこんだ。


赤い生物はビクンと体を震わせ、動かなくなった。


悠斗が放った“ある物”は唯の弾ではない。


悠斗が放ったのはスラッグ弾だったのだ。


本来熊やイノシシを相手に使う弾の為、警察で所持しているような盾では防ぎきれなかったのだ。


「よくあの状況で打開策を考えたな。よくやった。」


「いや、本当に偶然ですよ。」


『大変です!』


通信機から切迫した声が聞こえる。


「どうした宮本。」


通信機を持って応答する。


『銃声でゾンビが集まってきています!早くここを離れないと!』


「了解した。全員撤退だ。3号車には私が乗る。」


「新田さんは?」


「…そこに転がってる。見ないほうがいい。」


「あぁ…はい。」


大した戦闘能力もない一般人があんなのに遭遇したらどうなるか…想像に難くない。


(やはり人の死は精神的に来るな。)


と思いながら自分たちの車のところへ走っていったのだった。














感想、誤字脱字の修正、よろしくお願いします。

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