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死者の蠢く世界で  作者: 三木 靖也
烏合之衆
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衝撃

今回はほとんど新キャラの説明とご都合主義な改造です。

すごい急展開になります

かなり新キャラが増えますが、それは筆者の文章量不足です。

次の日。


悠斗は目を覚ました。


「ふぁぁぁ~あ。おはよ、麗香。」


とすでに起きていた麗香に声をかける。


「おはよ。…昨日は、なんかごめんね。」


「気にすんなよ。お互いのことはもっと知っとかないとな。」


「……そうだね!御飯にしよっか!」


そして缶詰に手を伸ばした。















「今日は何するの?悠斗君。」


「武器を改造したいと思ってな。」


「武器は没収されたんじゃないの?」


「銃以外の武器は、おもちゃ屋にまとめておいてあるだけだ。別に持って行ってもかまわないはずだ。」


「私も手伝うよ。」


「いや、麗香は店を見て回って使えるものがないか探してきてくれ。」


「うん。解った。」


「念のために、護身用具の一つくらい揃えとけよ。じゃ、行ってくる。」


「いってらっしゃい!」


部屋を出て、まず車の様子を見るために地下駐車場に行く。


駐車場に着くと、たくさんの車が並んでいた。


これらの車のガソリンが主なエネルギー源なのだろう。


「…あれは。」


視線の先にはテレビ局の車。


(初めて見るな…。)


とドアを開けると、中に男がいた。


「おはようございます。」


「ん…おぉ!君は昨日の!」


どうやら自分を知っているようだ。


「僕は村下 英俊(むらした ひでとし)だ。君は?」


「槇原悠斗です。…村下さんは何を?」


「僕かい?僕はこのテレビ局の車を使って他の避難所や自衛隊と交信しようとしているんだよ。」


「それはすごいですね。で、結果は?」


「どこもひどいらしいね。ここはとても良いところだと考えざるを得ない。ある一つの点を除いてはね。」


そういうと、体を思い切り近づけ耳元で囁いてきた。


(あの尾西という男。何を考えているかわからないからね。君も怪しまなかったかい?)


(そりゃ、胡散臭いとは思いましたけど…。)


(そうだろう?ああいう輩ほど怪しいものはないからね。君も気を付けなよ。)















わかりました、と返事をして車から出て、次に自分たちの車を探す。すると、自分たちののってきた車のそばに一人腕組みをしている。


近づくと、昨日の中年の男性であった。


「おはようございます。」


「おぅ!おはようさん!」


「何をなさってるんですか?」


「いや、俺は車屋なんだ。昨日お前らが無茶してこの車がヘソ曲げてねぇか見ようと思ってな。」


「ぜひよろしくお願いします。え~…っと。」


「俺は山本 巌(やまもと いわお)だ。これからよろしくな。」


「槇原悠斗です。こちらこそよろしくお願いします。」


山本が手を差し出してきたので、悠斗はそのグローブのような手を握り返した。いい仲間になれそうだ。












悠斗は次におもちゃ屋に向かった。


ところがおもちゃ屋の前にはナイフを持った見張りと思われる同い年ぐらいの女子が立っていた。


「あの、おはよう。」


「誰だ?何しにここに来た?」


「いや、ちょっと武器の改造をしたいと思いましてね。」


「ここは何人たりとも通さん!問答無用!死ねぃ!」


と言いナイフを振りかざす。


「えっちょっまっ!」


ナイフが振り下ろされると思い両手で顔を覆う悠斗。だが。


「な~んちゃって!」


かえって来たのは年頃の女の子らしい明るい声だった。


「そんなことするわけないじゃん!」


女の子とは到底思えない下品な笑いを惜しげもなく出しながら背中をたたいてくる。


「私は伊吹 雨音(いぶき あまね)~!ヨロシクッ!」


「槇原悠斗だ。よろしく。で、武器持ってっていいか?」


「別にいいんじゃない?私は『見張りしてろ!』って言われただけだも~ん。」


「いや、それだったら俺をこんなにすんなり通していいのか!?」


「平気平気!『誰も通すな!』なんて言われてないも~ん。」


「…いいんだろうか、これで。」


と思いながら槍を持ち、おもちゃ屋を後にした。







今回改良する点は、使いやすさである。


刺して抜く。その作業は単調だが体力を消費する。


だから少しでも楽にならないかと思いホームセンターに来た。


工具台の上に槍を置き、使えるものがないか探す。


「…電動ドリルか。」


閃いた。


ワクワクしながら電動ドリルを持ち出す。


「これを分解して…。」


と言いながら、機関部を取り出す。


そしてバッテリーを槍の柄の部分に外付けし、回転する部分を先端部分に搭載し、その上から加工しなおした槍先をはめて固定する。

















新しい槍は一時間ほどして完成した。


ゾンビに刺した時に、手元のボタンを押すと槍先が回転し、ゾンビをミンチにしながらさらに槍先を抜いてくれるという便利なものに仕上がった。


(すっげー上手くいったな。ま、麗香が使うんだけど。)


と思いながら部屋に帰る。


「麗香~。…いないか。」


麗香はどこかに出かけているようだ。


仕方がないので、槍の自慢は諦めて散歩に出る。


(こうしてると、普通の週末なんだよなぁ…。音楽が流れてないのと電気がついてないのを除けば。)


悠斗はそこまで親密な、親友と呼べるような友達はいなかったので、よく一人で買い物をしていた。


…カップルを見て爆発しろと思ったのは隠しがたい事実なのだが。


ドン。


すると、角で誰かにぶつかった。


「イテテ…。大丈夫ですか?」


そこにいたのは自分より少し年上くらいの3人組。


誰が見ても不良だ。


「おぉ~イテェイテェ。これは骨折れちまったかもなぁ~!」


出ました。典型的な不良です。よくもまぁこんなベタな台詞がスラスラと。


「おい、てっちゃん大丈夫か!?…うわぁ!こりゃ折れちまってる。」


「どう落とし前つけてくれんだお前ェ!」


正直かなり面倒だ。早くこの場から立ち去りたい。だが、ここはあくまで冷静でいないと。


「食料で許してやるよ。これからは配給の飯はおれに謙譲しろ。後、女もな」


…切れた。完全に切れた。ぶっ飛ばす。


「えぇっ!?そんなぁ!僕、これからどうやって生きて行けばいいんですかぁ?」


わざと弱気なふりをして油断させる。


「うっせぇな!そんなもん自分で何とかしやがれ!」


言質は取った。


ついつい笑みが零れてしまう。


「自分で何とかしろっていうんですか!?」


「あぁ。その通りだよ!」


「…それじゃあ自分で何とかさせてもらうッ!」


ガッ。


顎を思いっきりかちあげる。恐らく舌をかんだのだろう。口から血を零しながら叫びだす。


「ギィィヤァァァァァァ!いてぇ、いてぇよ!!!」


「ハハハハハハハハ!」


痛がる様を見て、ついつい笑ってしまった。


残る二人は呆然としていたが、やがて


「お、覚えてろよッ!」


と言い去っていった。


これで俺に何かしてくることはないだろう。


(それにしても最後までベタな奴らだったな。)

















悠斗は不良を撃退してその後ミリタリーショップに入り、ある掘り出し物を見つけ、少し細工をして部屋に戻った時。


『緊急事態!避難民を乗せた車が接近中!各自、持ち場につけ!』


というアナウンスが鳴った。


悠斗は部屋にいた麗香に動かないように言い、槍を持ってバリケードに向かった。


そこには5名ほど人がおり、臨戦態勢に入っていた。


どうやら自分たちと同じ方法で助けるつもりらしい。


そこに、一台の車…いや、バスがやってきた。


ゾンビを弾き飛ばしながら、猛然と走ってくる。しかし。


キキキキィィィィィ~!


車がゾンビの死体に足を取られ、横転してしまった。


皆呆気にとられている。


ゾンビが押し寄せ、バスは瞬く間に囲まれる。すると、上向きになった窓から人が這い出してきた。


「皆!急いで!」


自衛隊らしき人が三人出てきて、中にいる人を引き寄せる。


自分たちが手を拱いていると、バリケードの前にいた山本が何かを投げた。


それはゾンビの壁の中に潜り込み、その脅威を十分に発揮した。


爆発音が鳴り響き、道が出来る。


自衛隊らしき人もそれを確認し、一人はバスの上から援護し、残りの二人が民間人の一団の前と後ろをカバーしながらバスから走ってくる。


悠斗もバリケードを出て、周りにいるゾンビに槍を突き立てる。


「これでも喰らえッ!」


刺したままスイッチを入れる。


すさまじい勢いで血と肉が飛び散り、そしてあっさりと槍先が抜けた。


「よし。いい感じだ。」


そして次のゾンビに刺す。


バスの一団は、途中で数をかなり減らしながらもこちらに到達した。


バスの方を見ると、バスの上で援護していた隊員が自分の死を悟り爆弾を抱いてゾンビの海に没した。


「大崎ィィィィィ!」


こっちに辿り着いた隊長と思しき人が叫んだが、もちろん返事はなかった。


















その隊長の名は大関 陸男(おおぜき りくお)といった。


悠斗たちが行こうとしていた避難所に駐屯していたが、感染者が内部から発生したため脱出してきたそうだ。


あのまま避難所に向かっていたら…と思いぞっとした。


バスには20人ほどいたが、今ので7人に数を減らし、噛まれた者を除くと、たったの4名だった。


噛まれた者は、自らバリケードの外へと戻っていった。そして多くのゾンビを引き連れて死んでいった。


自ら進んでいったところから、バスの人たちの結束の強さがうかがえる。


助かったのは、自衛隊の人は大関陸男曹長と、石田 博也(いしだ ひろや)陸士。


民間人は、大林 颯太(おおばやし そうた)と、堀 奈菜(ほり なな)ちゃんだ。


ちゃんというのは、奈菜ちゃんがまだ小学生だからである。


大林颯太は悠斗と同じクラスの生徒で、学校での騒ぎから命からがら逃げきって、避難所の騒動も何とか回避してここまで来たそうだ。


皆で生還を祝うが4人とも疲労困憊だったため、尾西がやってきて自己紹介した後、部屋に案内されていった。













部屋に戻ると、ドタバタと何やら暴れまわる物音がする。


「どうした!?」


と戸を開けると中にいたのは。


「動くんじゃねぇ!」


「やっぱりお前らか。」


麗香の首筋にナイフを当てて得意気に勝ち誇るさっきの不良たちだった。


「女を傷つけられたくなかったらおとなしくその武器を捨てるんだな!」


仕方がないので、槍を置く。


すると、不良の一人が近寄り、腹を殴る。


「ガッ!」


「ヒャッヒャッ!ざまぁねぇぜ!」


嘲るように笑う。


だが、悠斗は別のことを考えていた。


(細工は壊れてないみたいだな。なら、ここで一計を案じますかね…。)


「…どうした?お前らみてぇな群れなきゃ何も出来ねぇ奴らのパンチなんか当たった気すらしねぇぜ?」


「な、何をぅ!」


「うるせ~な。口臭ひどいぞ?お前。ミ〇ティアでも食ったらどうだ?」


「この野郎!」


不良のボスがナイフをこっちに向けた。


「おい、お前ら、この女見張ってろ。俺はこのクソ野郎を殺す。」


そういって不良のボスは的確に、悠斗の腹にナイフを突き立てた。


その時悠斗は笑っていた。
















次回もお楽しみに。感想、誤字脱字の修正待ってます。

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