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ILIAD ~幻影の彼方~  作者: 夙多史
Episode-13
95/119

094 兄を追って

 セトルは目覚めた。

 ここはムスペイル地方の町、ヴァルケンの宿屋だった。心配そうにセトルを覗き込んでいたサニーが歓喜と安堵の声を上げる。

「セトル、よかったぁ。死んじゃったかと思ったよ」

「そうですよ。無茶はしないでください。サニーなんて、あなたが――」

「そこ! 黙ってて!」

 真っ赤な顔のサニーにウェスターは眼鏡の位置を直して笑った。彼女は何をしたのだろうか?

 何となく、あの後のことを思い出してきた。敵を撃破したあと、どうにか皆のところに戻ってはきたが、町についた途端気を失ったようだ。

 セトルはベッドに横たわったまま辺りを見回す。アランたちがいない。もしかすると敵に? そのセトルの疑問がわかったのかウェスターが言う。

「三人には物資の補給に行ってもらっています。ほとんどをブルーオーブに置いてきましたからね。ああ、ブルーオーブとは連絡を取ってますから御安心を」

 それを聞いて安心した。セトルは上半身を起こすと真剣な表情で二人を見る。

「ライズポイントへは普通に行くことができない。行くには、闇精霊の洞窟の南西にある遺跡に行く必要があるんだ。そこに転移陣があると聞いている」

 セルディアスの頃に知った知識の中にそう刻まれてあることを思い出した。ついでにもう一つのポイントも簡単に入れないことを思い出す。

「セトル……物知りになった?」

 サニーが不満そうに、どこか悔しげに呟く。

「ふむ、そうですか。ではアランたちが戻り次第出発しましょう」

 頷くセトルにサニーがまた心配そうな顔で言う。

「セトル、起きたばかりだけど大丈夫なの? その、無理しないでよ。もう少し寝ててもいいんだから」

 セトルは静かに首を振る。

「いや、今行かないと、兄さんには追いつかないと思うから。行くよ」

「そう……そうよね」

 俯きながらも納得してくれた彼女にセトルは優しげな微笑みを見せた。と、部屋の扉が開いてアランたちが帰ってきた。

「あ、セトル起きたんや」

 セトルが目覚めたことに気づいたしぐれが安堵の笑みを浮かべる。その横でシャルンが、おはよう、と素気なく言うが表情は優しかった。アランが買ってきたものの中から何かを取り出す。

「さあ食え、セトル。食って力つければもう倒れることはないぜ♪」

 と、彼はどこか楽しむような笑みを顔に貼りつけて南国フルーツをセトルの顔に押しつける。鬱陶しかったので腕を払う。

 そしてベッドから立ち上がり、皆を見回す。

「行こう。もたもたしてられない」


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