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ILIAD ~幻影の彼方~  作者: 夙多史
Episode-14
104/119

103 幻影に通じる場所

「『絶巓の神殿』はニブルヘイム地方の最北端の山頂にある」

 ウェスターの邸に皆が揃ったところで、セトルは自分が知っていることを話した。そこは元々テュールの民がシルティスラントと行き来する場所で、セトルもそのことは教わっていた。こちらに来るときタイミングがずれなければ、セトルもそこに転移したはずなのだ。

 ただ、通るには神剣の力と神霊術が必要。ワースはその二つを持っている正統なテュールの使徒である。

「ニブルヘイムって、あの寒いとこだよね? あーもう、何でそんなとこにあんのよ」

 頬を膨らませるサニーに、肩の上に乗っているザンフィが鼻を押しつける。彼女はザンフィの喉を撫でてあげた。

 神剣を造りに行くのにだいたい四日、皆が揃うのに二日。だからサニーたちと会うのは六日ぶりということだ。本題を話し始める前に彼女たちがこの間に何をしていたのか聞いた。というより、聞かされた。

 アランは言っていた通りサニーを連れてマインタウンへ行き、そこで新しい武器を手に入れた。すごくいいものを鍛冶師のカザノヴァから譲ってもらったらしい。その後はサニーの要望でアスカリアに戻り、両親にこっぴどく叱られてきたという。

 しぐれはアキナに戻って現状報告。そして負傷したひさめのお見舞い。

 シャルンは城で王様と王妃様に個人的に会い、その後ハーフの村にあるソテラの墓参りをしていたらしい。意外とセトルたちの近くにいたようだ。

「やはり、セトルは知っていたのですね」

「まあ、唯一の帰り道だから」

「おっし、そうとわかれば早速乗り込むぜ!」

 気合いを入れるようにアランは拳を顔の前で握る。それに頷いてシャルンがセトルに確認する。

「セトル、あとどれくらい時間があるの?」

「三日、いや、もっと少ないかも。とにかく、時間がないことは確かだ」

 セトルは窓の外、暗い空に光る軌跡を見上げる。繋留点が切り離されているが、まだ兄を止めることができれば何とかなるはず。

「急いだ方がええな」

 しぐれも、美しくも不気味な空を眺めてそう言う。

「では、準備ができ次第向いましょう」


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