3 ひまわりの咲く星で
しかし宇宙船に原因不明の、異常事態が発生した。
軌道がそれて、修正がきかない。
どんなに調べても原因がわからなかった。
僕は苛立ちながら調査を続けたが、追い討ちをかけるように、船に小さな隕石が衝突した。
「くそっ!」
初音が邪魔をしているように感じた。
僕の死を、彼女は決して望まない。
わかってる。
それでも僕は、あの星の近くに行きたい。
行きたいんだ。
僕にはもう、それだけなんだ。
僕は必死に故障の原因を探したが、結局何もつかめなかった。
どうしようもなくなり、修理をしてからもう一度初音の星に向かうことにして、やむを得ず近くの星に緊急着陸した。
着陸したのは、とても小さな星だった。
この星から彼女の星はとても大きく見える。
僕はお守りに持ってきた種を植えて、ひまわりを育てた。
条件が合ったのか、ひまわりはとても良く育った。
僕は諦めることなく、宇宙船の修復を続けた。
しかし、どうにもならないまま、月日は流れた。
*
あれから何年たったのだろう。
長い長い時間をかけて、この小さな星はひまわりでいっぱいになった。
ひまわりは今日も初音の星を見つめている。
僕もひまわりも、同じかもしれない。
例えどこに行けなくても、こうしてただ君を見ているだけで生きていける。
彼女の光が、全てを生かしている。
初音、僕の太陽。
君は僕をみて、やっぱり「哀しい」と言うのかな。
ひまわりが光を浴びながら風に揺れている。
僕は優しい気持ちになって、そして静かに眠りについた。