第16話 病院帰り
「たんたんたぬきのどてっぱら♪ 肉もないのにふっかふか♪」
オレは気分よく歌いながら自転車を漕ぐ。
『ふふ。なんですか、その歌』
たぬたぬは、前かごのなかで笑っている。
動物病院は、ばーちゃん家から自転車で30分ほどの距離にある。
その動物病院からホームセンターは10分かかるか、かからないかの距離だ。
オレは軽快に自転車を漕ぎ、8分程度でホームセンターに到着した。
田舎で動物が多いからなのか、ホームセンターのペットコーナーは充実していた。
オレはデカいカートにたぬたぬを乗っけて店内を見て回った。
おもちゃも各種そろっていたが、まずは必要なものがある。
「ペットフードは、どうする?」
『いろいろとお味見がしたいですぅ~』
たぬたぬの希望を聞きながら、カゴのなかに小ぶりなペットフードを放り込んでいく。
小さい物でも高いものは高い。
しかしキラキラおめめでおねだりされては却下するのも忍びない。
「コレはおやつだぞ? コレも欲しいのか?」
たぬきはコクコクとうなずいている。
ペットフードは小ぶりであればあるほど割高だな、とオレは思ったが、購入数をゼロに出来ない飼い主の気持ちもものすっごく理解した。
無理だ。コレは断れん。
いっぺんに買うと賞味期限切れになるからとペットフードコーナーを後にしたオレたちだったが、たぬたぬの目は名残惜しそうにペットフードの棚を眺めていた。
ペットシーツやおむつのコーナーはたぬたぬが絶拒したので、仕方なくあきらめた。
そもそも今日は自転車で来ているから、持ち帰れる量には限りがある。
だからオレたちは絶対必要となる物が置いている棚へと移動した。
「んー。首輪とリード……どれがいいかな?」
オレが聞くと、たぬたぬは自分の首元とズラッと並んだ首輪を見比べている。
首元に巻いたバンダナは、結び目の端っこが見える程度だが、当のたぬきは真剣だ。
下手に突っ込めない。
結局たぬたぬは、黄色いバンダナと合皮で出来た首輪と黄色のリードを選んだ。
「それでいいのか?」
もふもふしたたぬきがコクリとうなずいたので、オレはそれを持ってレジへ向かった。
財布をバリバリ音を立ててあけて、クレジットカードを取り出す。
クレジットカードのなかには電子マネーも入っていたので、それで支払いを済ませた。
至れり尽くせりだ。
オレは恵まれている。
そう思いながら、オレは自転車の荷台に買った物が入った段ボール箱を括り付けた。
帰りは上り坂だ。
でもホームセンターを経由したので、傾斜が緩やかな舗装された道路を走ることができた。
快調に自転車を漕いで、オレたちは30分ほどでばーちゃん家へ帰ることに成功したのだった。




