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世界樹の記憶《リアラ》  作者: 鈴木 厳流彩


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1章



第一章一節


 ノクティヴェイル。

 いくつもの都市国家が存在し、その外に広がる荒野では、数多の危険が今もなお牙を剥いている。


 どうやって俺がこの世界に来たのか。

 その記憶は、いまだ霧の中だ。


 名前も同じだった。

 右も左も分からない荒野をさ迷ううち、何とか辿り着いた大都市。

 そこで俺は、“降臨者”であるリアラと出会い、彼女と共に旅をすることに決める。


 そんな俺達がどうして、ここロマーリアの闘技場に立たなければならなくなったのか。


 ……物語は、数日前に遡る。





第1章 第2節


 ドゴォォォォォンッッ!!!


 轟音と共に、厚い岩壁が内側から吹き飛ぶ。

 断末魔のような音を残しながら、巨岩が崩れ落ち、洞窟の空気が震えた。


 舞い上がる土煙。

 その濃い霞の中から二つの人影が、ゆっくりと姿を現す。


 「……けほっ……けほっ……や、やっぱり……これ、爆弾だったな……!」


 咳き込みながら前かがみに出てきたのは、まだあどけなさの残る少年の姿。

 砂煙で顔を真っ白にし、服もあちこちが焦げたように黒ずんでいる。


 そのすぐ後ろから、淡い茶色の髪を結い、落ち着いた目をした女性が現れた。

 手にはほんの少し煤けた、金属の球体の残骸。


 「はい。爆弾です。村の外れの……あの、煙草臭いおじいさんが仰っていた通りですね。」


 「……いや、あの人、他の誰からも覚えられていませんでしたよ!?絶対ただの変人だと思ってました。」


 村の離れに住んでいた、見るからに怪しい老人。

 「昔は名のある魔術師だった」と名乗り、「今はもう使わんから」と渡された二つの謎の玉。


 「『魔法の玉』と呼ばれていた道具だそうです。ロマーリアへと赴くのならば、必ずやこの玉が汝らを導くであろう、とのことでしたが……。」


 「……いや、どう見てもただの爆弾ですよね?」


 俺が足元に転がる石の破片を見て呟くと、リアラはくす、と小さく笑った。


 「ともあれ、これで道は開きました。ロマーリアまでは、もうすぐです。」


 崩れた岩壁の向こう。

 まだ陽の光も届かない洞窟の奥に、新たな空気の流れが感じられる。


 リアラが一歩、先に踏み出す。


 俺は息を整えながら、彼女の背中を見上げた。


 「……じゃあ、行きますか。どんな町なのか、ちょっと楽しみですね。」


 その声に、リアラがふっと振り返る。


 「ええ。マスターと一緒なら、どんな場所でも、きっと素敵なところです。」


 土煙の向こうに、一筋の光が差していた。





第1章 第3節


 陽光。


 長い洞窟を抜けたその先に広がっていたのは、まるで絵画のような光景だった。


 石造りの巨大な門が、雄大な丘の上にそびえ立っている。門の向こうには、遥か高くまで伸びる塔や建物の影が重なり合い、空を裂くようにその存在を誇っていた。


 眼下には、幾重にも重なる白い屋根。カラフルなのぼりが風に揺れ、港からは帆をたなびかせた交易船がひっきりなしに出入りする。街道には旅人たちのざわめきが溢れ、ロマーリアという都市が、この大陸の中心であることを雄弁に物語っていた。


「……すごい……。」


 思わず声が漏れる。


 隣で控えていたリアラが、そっと口元に手を添えた。


 「初めて見ると、少し圧倒されるかもしれませんね。ロマーリアは、各地の文化と技術が交わる、交易と魔術の交差点です。」


 「ここに……来たことがあるんですか?」


 俺の問いに、リアラは一瞬目を伏せ、そして静かに頷いた。


 「……以前、一度だけ、この街に降り立ったことがあります。そのときは……長くはいられませんでしたが。」


 その言葉に、何か言いかけたが口を閉じた。


 門をくぐると、途端に空気が変わった。


 ひんやりとした石造りの通路を抜けた先に、陽の光が差し込む広い街道が現れる。人の往来は多いが、どこか穏やかな気配がある。不思議なほど殺気を感じない。


 「……ここは、“安全エリア”なんですね?」


 俺が問いかけると、リアラは頷いた。


 「はい。この町全体が、“世界樹の加護”によって守られた空間です。モンスターはもちろん、転生者による戦闘行為も禁じられています。」


 「じゃあ……闘技場とかは?」


 「闘技場は特別です。契約のもと、双方の合意がある場合に限って、安全エリア内でも一時的に加護が解除されます。しかも、降臨者が死亡した場合は一定時間召喚できなくなるだけ。私達のロストの危険があるのは、あくまで町の外、“加護の外”だけです。」


 なるほど。安全と危険、しっかりとしたルールが定められている。


 ふと見上げると、街の中心部に向かって緩やかな坂道が延びていた。人々が行き交うその道の先に、ひときわ大きな建物が見える。


 「大図書館です。すべての転生者は必ずと言っていいほど、最初にあそこを訪れると聞きます。」


 「召喚器のことや、この世界のルールを教えてもらう……って話、俺も同じでした。」


 俺の言葉に、リアラが静かに笑う。


 「ええ。そこで貰える最初のお金と、特別な降臨者との出会い。それが、冒険のはじまりです。……マスターも、きっと……そこからでしたよね?」


 俺は頷いた。


 あの日、何もわからないまま図書館に入り、チケットを手にした。そして、あのレアの降臨者を……。


 思考を振り払うように、軽く頭を振る。


 「……とにかく、しばらくは、ここで体を休めたいですね。」


 「はい。宿を探しましょう。ロマーリアには、旅人用の施設も整っていますから。」


 安全エリアの中。

 リアラの言う通り、確かにこの町は整っていた。

 人々が秩序を持って暮らし、あらゆる施設が冒険者と転生者のために用意されている。


 無事たどり着いた、俺にとっては初めて訪れた大都市。

 リアラは慣れた足取りで、宿泊施設の並ぶ街の一画へと歩きだした。



第1章 第4節


 宿を探すのに、そう時間はかからなかった。


 大通りから一筋入ったところにある、二階建ての石造りの建物。

 外壁には「カモメ亭」という看板がかかっている。


 扉を開けると、ほんのりとパンと肉の匂いが漂ってきた。店内は酒場兼食堂になっていて、あちこちのテーブルで旅人や転生者たちが、賑やかに食事をとっている。


「わぁ……美味しそうな匂いですね、マスター……!」


 リアラがぱっと顔を輝かせて、食事をしている客の皿をのぞき込む。


 「あ、リアラさん……!あんまりジロジロ見たら失礼ですよ!」


 俺が慌てて袖を引くと、彼女ははっとして、両手で口元を覆った。


 「っ……!し、失礼しました……!あの、決して盗み食いを狙っていたわけではなくて……!」


 「誰もそこまでは思ってませんよ……!」


 とりあえず店主らしき大柄な男性に声をかけると、にこやかな笑顔で応じてくれた。年季の入ったエプロンをつけたその男は、ガルデンという名の店主だった。


 「お二人さん、宿泊かい? 今なら二階の角部屋が空いてるよ。スタンダードで一週間なら、宿泊が150ゴールド、朝夕の食事を付けて追加で70、合計220ゴールドってとこだな。洗濯?希望があれば5ゴールド追加でやるよ。」


 「助かります、じゃあ、その部屋でお願いします。」


 リアラはきょろきょろと周囲を見回しながら、まるで遠足に来た小学生のようにはしゃいでいる。


 ……神官なのに。


 「マスター、ここの料理、やっぱり全部いただいてみたいです……!ロマーリア料理制覇が、ここからの目標に……!」


 「いや、リアラさん、それは……お金がいくらあっても足りませんからね……?」


 そんなやりとりをしつつ、二階の部屋へと案内された。


 部屋は質素ながら清潔で、二つのベッドと木製の机、壁際に小さな棚がある。窓からは、ロマーリアの街並みが一望できた。


 「ふぅ……やっと、落ち着けますね。」


 俺がベッドに腰を下ろすと、リアラも隣のベッドにそっと座った。荷物を棚に置き、ホッとしたように微笑む。


 「……ありがとうございます、マスター。ここまでの旅、私……とても楽しかったです。」


 「え? いや、まだ旅はこれからですよ。」


 「そうですね。でも、こうして一緒に宿に泊まれるのが、なんだか……ちょっと、不思議で。」


 リアラは、頬をほんのりと赤らめながら、視線を窓の外に向けた。


 ……たぶん、それは俺も同じだった。


 「じゃあ、夜ごはんは……あの料理、さっき見て気になったやつ、食べてみます?」


 俺の問いに、リアラは、ぱあっと笑顔を咲かせる。


 「はいっ!マスターと一緒なら、どんな味も、きっと最高です!」


 その笑顔に、つられて俺も笑ってしまう。


 ロマーリアの夜が、少しずつ始まろうとしていた。





第1章 第5節



 ロマーリアの夜は、昼とはまるで違う顔を見せていた。


 広場の一角では、屋台が軒を連ね、煌々とした提灯の明かりが浮かび上がっている。香ばしい焼き串の匂い、鉄板で焼ける甘い菓子の音、子どもたちの笑い声。通りを歩く人々もどこか楽しげで、旅人や転生者たちが混じって笑い合う姿も見える。


 「わあ……すごいです、マスター。あの屋台、見てください……!」


 リアラが目を輝かせて指差す先には、金色のタレが塗られた串焼きと、ぐつぐつと煮込まれたスープ鍋の屋台が並んでいた。

 彼女はすでに串を二本抱えている。いつの間に。


 「リアラさん、それ……俺が買う前に……。」


 「えへへ……こっちはマスターの分ですっ!」


 「ありがとうございます……。」


 通りを歩きながら、あれこれと屋台を見て回る。


 飴細工、焼き菓子、果物ジュース、手品師の芸、そして──


 「こちら福引きコーナー!一回5G!大当たりは“幻の精霊酒”だよぉ!」


 大声を張り上げるのは、派手な帽子を被った福引き屋の青年。後ろには豪華な景品が並び、くるくる回る抽選機の音が景気よく響いている。


 「マスター、やってみませんか!?“幻の精霊酒”って、すごく貴重なお酒らしいですよ……!」


 「えっ、リアラさん……飲めるんですか、お酒?」


 「……たぶん、ちょっとなら……?」


 おずおずと答える姿が可愛くて、つい笑ってしまった。


 そして、そのまま福引きを3回。


 「……残念、白玉!……次も白玉〜!」


 「おおっ!黄色!特製“おかしなパンケーキ”ひとつ!」


 「……お、おかしなパンケーキ……?」


 目の前に差し出されたのは、まるでカエルの顔を模したような、不思議な緑色のホイップが乗った一皿。


 「…………あ、甘いです、マスター。」


 「いやそれ、見た目は怖いけど……味は悪くない……よね……?」


 二人して顔を見合わせて笑う。

 そんな幸せな空気の中で、ふと俺は腰のあたりに手を伸ばした。


 「……あれ?」


 ない。


 「……え、ちょっと、リアラさん。俺の財布、見てません?」


 「えっ……いえ、見てませんけど……?」


 焦ってもう一度探る。外ポケット。背中の袋。ローブの内側。どこにも、ない。


 まさか、と頭の中で何かが冷える。


 「スられた……かも。」


 リアラの顔色がさっと青くなる。

 

 「ま、マスター……私が、浮かれて……福引きを、無理に……。」


 「いや、いや、俺も……完全に油断してたから……。」


 二人してうなだれる。


 笑い声と提灯の明かりは、変わらず屋台の夜を照らしていた。

 だが、俺らの懐にはもう、明かりは残っていなかった。




第1章 第六節


 静寂。


 ロマーリアの夜は、さっきまでの喧騒が嘘のように静まり返っていた。


 薄明かりのランプのもと、宿の二階。

 ベッドの端に腰掛けた俺とリアラは、それぞれ俯いていた。


 財布の中身は、空。

 楽しい夜市での福引きのあと、いつのまにか……。


 「……すみません、リアラさん。俺……ちゃんと見ていませんでした。」


 ぽつりと漏らした俺の声に、リアラはすぐさま小さく首を振った。


 「ち、違います。あの時、私も……。気が緩んでしまっていました……。あんなに光っていたのに……あの財布……。」


 「はい……ピカピカでしたね……。」


 しん……と部屋の空気が沈む。


 窓の外では、風がそっとガラスをなでていた。

 カーテンが、小さく揺れる。


 そのときだった。


 リアラがふと、小さく息を吸い、何か思い出したように目を上げる。


 「……マスター。」


 その声は、いつもより少しだけ強かった。


 「ロマーリアには……“闘技場”があるんです。知ってますか?」


 「闘技場?」


 顔を上げると、リアラは真剣な瞳でこちらを見つめていた。


 「誰でも出場できる、月に一度の試合です。勝てば、生活費に足りるだけの報酬が出るって。」


 「でも……リアラさん、そんな危ないこと……!」


 「大丈夫です。ブロンズランクなら、命を落とすことはありません。もし負けても、100ゴールドは支給されると聞いています。……今の私たちには、それだけでも、十分すぎる額です。」


 言葉に詰まる俺を見て、リアラはそっと微笑んだ。


 「何もせずにうつむいてるだけじゃ、悔しさも、なくしたお金も、帰ってきません。だったら、少しでも取り返したい。私、マスターと過ごすこの旅を……笑って終わらせたいんです。」


 「リアラさん……。」


 「お願いします、マスター。私に、やらせてください。負けても、泣きませんから。」


 その横顔は、あの福引きの時より、ずっと強く見えた。


 悔しい。でも、俺は何もできない。

 だからこそ、この手を、離したくなかった。


 「……分かりました。でも、絶対、無理はしないでくださいね。」


 俺がそう答えると、リアラはこくんと頷いて、手を膝にそっと置いた。


 その夜、ランプの灯りの下で交わした決意が、後の“運命”へとつながる、最初の一線だったのだと。


 ……俺はまだ、知る由もなかった。




七節


 こうして、俺たちは闘技場に立つことになった。


 気づけば、あれよあれよという間に登録が進み、

 いつの間にか「試合当日」になっていた。


 途中、「名前を入力してください」と表示されたので、

 とっさに「ナナシ(名無し)」と打ち込んだ。


 深い理由があったわけじゃない。

 ただこの世界で、俺はまだ「誰でもない」気がした。

 それだけだった。


 初戦は、なんとか勝てた。

 運も、少し味方してくれたと思う。


 そして同じ日の午後、二回戦。


 勝利を祈りながら、いや、それ以上に、リアラの無事を祈りながら、俺はロマーリア地下闘技場のリングを見つめていた。





第1章 第八節


 ズバァァァンッ!!!


 ものすごい音とともに、リングのど真ん中にブーツが突き刺さった。


 爆発……から、ちょっと遅れて、バチバチと雷光が走る。


 「いや、なんで靴が爆発するんだよ……!」


 観客の誰かがツッコむと、観客席のあちこちから笑い声がこぼれる。

 リアラの対戦相手。見た目も中身も規格外すぎる、謎の老人。

 三日月の頭に、トラ柄のビキニ。

 その姿で、真顔のままブーツを投げ続ける様子は、もはや狂気と芸術の境界線を彷徨っていた。


 「あれ、毎回投げるんだな……。」


 誰かが呟いた。もはや観衆の視線の先に、リアラはいない。


 「飛ばしてるの右足だけじゃん!いつの間に爆発したブーツ戻ってきてるんだよ?」


 色々なツッコミが囁かれ始める。

 ヒソヒソ声が客席に飛び交う中、老人は表情一つ変えず、リングの中央に仁王立ち。


 その視線の行き着く先は、リアラ、ではなくリングの外。

 彼の主が座す、転生者専用観覧席へと向けられていた。


 ……おいおい、今そっち見る!?


 誰もがそう思った。

 彼のマスターと思わしき専用席に腰かける仮面をかぶった少女だけは、まるでそうなる事を知っていたかのように微動だにしない。


 観客の笑い声がまたひとつ、爆ぜる。

 が、老人はまったく動じない。むしろ、その眉間には深く険しいしわが刻まれ、両の瞳からは踏みにじられた何かを恥じるように涙が流れ出している。


 「……ギリギリ……。契約、契約……。勝ったら……解放……むーん……。」


 なにかブツブツ言いながら、またも右足のブーツを脱ぎ出した。


 「……次の《サンダル》、いや、《サンダーじゃ!》で、決めるっちゃ!!」


 三日月の額が静かに光り、手に構えられたブーツが雷を帯びる。

 その声には、もはや怒りではなく、“早く終わらせたい”という、どこか切実な祈りのような響きがあった。


 雷光を纏ったブーツが、ゆっくりと振りかぶられる。


 静まり返る観客席。緊張というより、“何が起きるか分からない”という静寂。

 そして、リアラ以外のすべてが固唾を飲む中──


 「ムリムリ無理無理ぃーーーっ!」


 リアラは、顔を引きつらせ叫びながら、ひたすら逃げ回っていた。


 その背後から、雷鳴を伴い、電撃魔法、《サンダーじゃ!》の込められたブーツが飛ぶ!

 着弾!爆発!そして、バチバチッと追撃の電撃が派手に走る!


 「……いい加減、降参するっちゃーッ!」


 三日月の額が光り、再び老人がブーツを構える。

 そして鋭く投擲!


 その爆風をなんとか紙一重で避けたリアラだったが、

 回避の際に足をひねってしまった。


 「っ……!」


 リングの端に着地した彼女の足元が、ぐらりと揺れる。


 「……当たりちょりー☆」


 老人が、どこか満足げにニッと口角を上げたその瞬間。


 マスターである仮面の少女が、静かに口を開いた。


 「いいわ、ラムーン!《寒さの雷》よ!」


 御意とばかりに、老人がパンツの中から取り出したのは、魔法少女が持つようなステッキ。


 それを高く掲げると、空気がピリリと張り詰め、ステッキの先に冷気と電気が同時に集まりはじめる。


 リアラの足が、動かない。


 発動と同時に、氷の鎖が足元から這い上がり、彼女の動きを封じる。

 そして、落雷。


 

 ドォンッ!!!


 

 かろうじて直撃は避けたが、衣服の一部が焼け、体が痺れる。


 もう、これ以上は無理だ。


 リングの外、仮面の少女と反対側の転生者観覧席から、俺は静かに手を上げた。


 「……降参します。俺たちの負けです。」


 その瞬間、リングの魔法が解け、氷も、雷も、熱もすうっと消える。


 崩れ落ちるリアラ。


 膝をつき、そのまま、すぅと意識が遠のいていった。


 疲労にまみれた残念そうな表情のままで、彼女は静かに眠りに落ちた。

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