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⒉猫のひかり

 今日は暇な日にゃ。人が少なくて、お金の音が聞こえない……けど、僕は天才だから気付いたんだ。ある方向に人が向かっていると。そしてそのまま僕も足を伸ばした。


 そこには大きな建物があった。前世でいう古代ローマのコロッセオか、そして『西街名物コロシアム』とデカデカと書いてある。


 その横には受付というものがあったが、その猫はそのままコロシアムに入って行った。


 そこには多くの長椅子があった。中央には大きな穴が空いている。

 ドーナッツ…食べたいにゃ


 猫は中央に降りたかった。けど周りの空気がそうしてくれない。多くの人が何もない中央をまじまじと見ている。こいつらの目は節穴か。と思ったタマであった。


「みなさん始まりました!今回はB級冒険者、セファ・オリエットが担当します!」


 中央から爆音スピーカーが流れる。そしてーー


「「「うおおおおおお!!」」」


 熱気に包まれた歓声に猫は耳が痛くなった。


「今日は決勝戦!強者どもが会場を荒らすことでしょう!!」


「「「うおおおおおお!!」」」


 たくましい歓声に猫は耳が痛くなった。


「第一回戦はイグニア・フェイマス選手とB級冒険者ジャイニーク選手です!!瞬きの時間なんかいっときもないぞ!!!」


「「「うおおおおおお!!」」」


 血気盛んな歓声に猫は耳が痛くなった。


「フェイマス選手入場!!何か言葉はありますか?」

「ジャイとは恩があるが、仇として返させてもらおう。」


 彼は上半身に合わない小さな服を着て、その間からは筋肉が見える。


「ジャイニーク選手入場!!何か言葉をお願いします!」

「恩が何かしらないが、そんなのに甘える俺じゃねー!!」


 戦闘服かわからないスーツのようなもの。そして黒いマントをつけている。


「「「うおおおおおお!!」」」


 そしてタマも、


「にゃあああああああ!!」


「第一回戦スタートまで3、2、1、開始!!」


 そしてジャイニークが消えた。フェイマスが中心に走りでる。


「ジャイニーク選手が消えたぞ!!彼の使う武器は鎌!彼の別名は『死神』です!」


 そしてフェイマスが大剣を構える。さっきまでは持っていなかったのに…


「フェイマス選手、ついに大剣の出番です!!剣を上に掲げました!」


「《サンダーストライク》」


 フェイマスの大剣から周囲に雷が走る。


 雷が走るたび、毛が逆立った。にゃんだこれ、なんだこれ!


 ジャイニークの動きが少し遅くなったのか、一応見えるようになった。


「流石『雷男』!これは“サンダー・ストライク”による身体の麻痺ですね!ジャイニーク選手はそれでも走る!!」


 すると、ジャイニークが詠唱を始める。彼が詠唱をするということは高度な魔術であろう。


「我が力を引き出して我のために力を行使せよ。闇に包まれ檻に入りたもう!《ダークネス・リミット・ケージ》」


 その瞬間、黒い杭が立ち上がり、フェイマスを囲む。囲むように設置され、現在進行形でフェイマスを中心に狭まっていく。


「小賢しいんだよ!」

「戦闘中に動かないバカにとってはそうかもな!」


 フェイマスが杭に向かって走り出す。そして右斜め上に大剣を掲げ、振り下ろす。しかし、その杭には当たらずにからぶった。


「クソ!」


 フェイマスが体勢を崩す。ジャイニークは走り出す。


「闇よ、我を動かせ《テレポート》」


 僕の背中に悪寒が流れる

 ジャイニークはそのままフェイマスの後ろに転移した。そして大きな鎌をフェイマスに振りかざす。


「死ねエエ!!」


 ジャイニークはそう叫んだ。力を振り絞るのに声はいいが、一流相手だとそれが仇となる。


 フェイマスの体が発光する。

 ジャイニークが鎌を振り切った時フェイマスはもうそこにはいなかった。


「聖なる光よ、私は望む。私のために破壊せよ。《マシンガン・オブ・スター》」


 フェイマスの声がする。しかし彼はどこにも見当たらない。


 上空が青い魔法陣で埋め尽くされる。それは圧巻の光景。


「にゃ、にゃあ〜」


 感嘆の声が漏れた。そして魔法陣から放たれるのは“閃光”

 細い光の線がジャイニークを襲う。1つ1つが地面に落ちるたび爆音が響く。


 ジャイニークの口が動く。爆音より小さい声だが、よく響く。


「我が力を引き出して我のために行使せよ、暗黒の世界より導かれた影よ。この世界を覆い尽くさん。《アビス・グラップル》」


 地面から上空に闇に染まった“手“が伸びる。

 光と闇がぶつかり、そのまま消える。


「《ライトニング……」


 フェイマスの声が聞こえたかと思うとドサッとフェイマスが落ちていた。


「ジャイニーク選手の勝利です!!!」


「「「うおおおおおおおお!!!!!」」」


 大歓声が上がる。そんな中一匹の猫は考える。“闇“がキラキラして見えるにゃ……


 現在中央は治療部隊がフェイマスを担いでどこかに運んでいる。ジャイニークはポーションを飲んでいる。


「第二試合は30分後より行います!」


 僕は、邪魔をすることは本意ではないのだ。だから中央に降りることをやめていた。

 そう、邪魔するつもりはなかったにゃ。でも、今は誰も戦っていない……。


 つまり!今ならちょっとくらいステージに出ても………


……よし、決めたにゃ。


ぼくは今日、コロシアムの真ん中で“光る”んだにゃ。

次回、ねこ、初ステージへ——! にゃんちゃって

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