17.ケーキ?…ピーマン!
「タマちゃん、女2人だと舐められると思わない?」
「そこをぶっ飛ばしてこそ輝けるにゃ!」
「いや…タマちゃん。ある“変人の屈強な男”と旅をしたいのだけど…」
「街に戻るにゃ!?」
前に進むって決めたにゃ。冒険者になるって誓ったにゃ。
なのに戻るのは、ないにゃ…。
「大丈夫。森にひっそり50年隠居してる人だから」
「知り合いにゃの?」
50年。セファはいかにも“私は知ってますよ〜”って顔をしていた。
でも、どう考えても50年の知り合いっておかしいにゃ。
森の道を抜け、土を一歩、二歩ふむ。
そして一秒、二秒とかぞえていくタマ。
「そうよ。私は“50年来の再会”かな」
「セファは何歳にゃ?」
「70ちょい。私、エルフのクォーターだからね」
「セファおばあちゃんすごいにゃ!」
「人間で言うと20そこそこの乙女だよ?」
僕は何歳にゃ?
この世界で約9ヶ月。前世は4〜5年?
足すのか足さないのかは…あなた次第にゃ。
「セファ、鑑定で僕の年齢わからにゃい?」
「私、戦闘特化の鑑定だから」
そんなこんなで、森を10分ほど歩くと木の小屋が見えてきた。
「ケーキ君! 来たよー!」
ケーキ君…?
きっとケーキが好きなんだにゃ。あだ名だにゃ。
「おお、よく来たなクレープ!」
セファがクレープ…? にゃんだそれ。
小屋から出てきたのは——魔法使いっぽい。
屈強ではない。むしろ普通の兄ちゃんにゃ。
「これが変人の屈強な男にゃ?」
「ごめんタマちゃん、それは冗談。この人、魔法使いなの」
「屈強ではないが、魔法の腕はなかなかなんだぞクリーム!」
にゃんだこいつ…語尾がおかしいにゃ。
怪しいにゃ。いや、確実に変人にゃ。
「最後の語尾は不可抗力なんだピーマン!」
慌てて言う男。
紺色のローブにとんがり帽子、黒いズボン。見た目は若い。
「その不可抗力が彼のコアスキル。《語尾察知》と言ってね。
今の自分の危険度が“食べ物の語尾”で分かるの」
「ケーキやクレープは安全ってことにゃ?」
「そうだぜ。意外と便利なんだが、恥ずかしくて街には居られんパンケーキ」
…なんか可哀想にゃ。
いや、ちょっと可愛いにゃ。
そしてタマは一つの作戦を思いついた。
「50年来の約束、叶えようか」
「そうだな、マカロン」
「ケーキ君、自己紹介してにゃ!」
リットと呼ばれる男は、ため息と苦笑をひとつ落として話し始めた。
「俺の名前は…えっと……あ、リットだ。好きな食べ物は安全な時に語尾につく物だ。
これ、俺も持ちネ——」
「ニャーー!!」
「ちょっ、“#$%&+*”…っぎゃ…らし…!」
「ほぼ成功にゃ!」
タマはリットの口を押さえつけ、語尾スキルを封じようとしたのだ。
「タマちゃん、語尾を言わせないなら、そもそも喋らなければいいだけだよ。
つまり意味ないよ〜」
セファが笑いながら言う。
「確かにそうにゃ…」
ーー50年来の約束。
ーーそれは、“冒険”
こんにちは
投稿をサボりました。新作がなんとかは1月からにします。
嘘つきです。
後書が思いつかないから全て短文。
急いで書いてマスカット。




