⒈僕はキラキラしたいんだ
できれば3話まで読んでくださいいいい!!!
自分でも展開の遅さには気づいているのですが…まあ…
僕は転生ねこだ。東京の野良猫だったぼく……
なのに、あのピカピカした“変態“のせいでここに来たんだにゃ。
……あんなピカピカに、僕もなりたいにゃ。
目に焼き付いて離れない、あの異常なまでの輝きーーー
キラキラしたいにゃん!
僕は光魔法が使いたかったのに、“変態”は風属性魔法を僕に与えた。
あいつ、「可愛いあなたには転生特典盛りだくさん!」とか言ってたのにやってくれるにゃ……。
でも、この世界も楽しいにゃん!
目の前には人々の暮らしが広がっていた。石畳の通り、木組みの家々。
焼き立てパンの香りが風に乗って流れ、獣人たちの耳や尻尾が揺れている。
そして僕の尻尾も揺れている。
ここが異世界なのだと、嫌でも分かった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ーーーチャリンッ
「ニャー!」
「待ちなさい!そのネズミ!」
「シャー!」
そう、僕はネズミじゃないのに……“この世界でただ一匹の猫にゃのに“
誰が見ても愛おしい僕は広場で日向ぼっこ。
しかし目と耳は休めていない。いつキラキラしたものが出てくるか、いつお金の音が聞こえるか。
まあ、ねこはお金が欲しいのではなく、キラキラしたものが欲しいのだが。
ーーーチャリンッ
本日2度目の至福の時間の始まりだ。
僕の窃盗術の前にお話をしようではにゃいか!この世界には魔法がある。
基本四属性の土、風、火、水があり、一部家系からしか生まれない光属性がある。光属性は雷を扱える人もいる。
光属性持ちは心が“悪“で支配されると闇属性になってしまう。
ところが世の中には珍しい人間もいて、普通の闇属性の使い手は心が不安定である。
しかし、それを持ち直して、闇属性魔法を使いこなす人間もいる……
僕は風属性しかつなえないけどニャ!
でも、風属性魔法は使えるのである。このように……
ねこは空気の流れを操り、自分に追い風を作る。
人々の足元を通り抜け、石畳はタッタッと音を鳴らす。
小さな竜巻を作ることで人々を退かせる。
僕はお金に真っしぐらである。獣人の尻尾を飛び越えた。そして猫はみた。“銀貨“を……
こうなったらもう猫は止まらない。追い風の勢いを強くして、
「ニャー!!」
猫の詠唱をする。猫は“ニャー“に沢山の意図が込められているから、長い詠唱は必要ない。
今回は《ウィンド・バースト》である。圧縮された空気を打つ魔法である。
低級魔法であるが、一般人を吹き飛ばすには十分である。しかし、全てがうまくいくほど世の中は甘くないのだ。
「ニャー!」
続けて《ウィンド・バースト》を放つ。
しかし、銀貨の持ち主は吹き飛ばない。
これは《ウィンド・バースト》が弱いわけではない。目の前にある雑貨屋が半壊になっているのがその証だ。
「オラ!!」
雑貨屋の店主が石を投げる。猫は避けた。
「ニャー!ニャー!ニャーー!」
《ウィンド・バースト》を連続してはなつ。持ち主は少し態勢を崩した。猫は持ち主の腕を見た。キラキラしていたからだ。バンドにあるカードがくっ付いている。
“B級冒険者 セファ・オリエット”
「ニャー!」
猫は《ウィンド・インパクト》を放つ。中級魔法だ。ついに持ち主は吹き飛ぶ。
「魔獣よー!!」
冒険者が甲高い声を上げる。
しかし、猫は落ちている銀貨を咥え、魔法袋に入れて逃げるのであった。
そして、猫は輝くカードに憧れたのだった。
今日の収穫は銅貨3枚と銀貨1枚。金貨はどこにもなかったにゃん。
そして左前足に結ばれている魔法袋を覗くねこ。今日一番の笑みである。
「にゃん、にゃにゃん♫ にゃんにゃんにゃん♫」
銅貨は69枚。あと一枚で70枚。銀貨は4枚。今日はラッキーだった。金貨は…1枚。武器屋に入り込んで無理やり盗ってきたにゃ。でも、もう勘弁。聖金貨1枚。訂正にゃ。偽聖金貨1枚。子供が遊んできたのをもらってきたにゃ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
これはこの世界に来てから半年ほどの出来事ーー
「そこの魔獣!待ちなさい!」
僕はいつも通り無視したのにゃ。だけどその瞬間ーーチャリンッ そう響いたんだ。いつも通り風属性魔法を使い始めたらーーー
「《レジスト》!」
僕の魔法が途中でなくなった…
「私からものを盗めると思ったの?100年早いわ!わっはっはっは」
「シャー!!」
「遊んでくれたら、上げないこともないわよ」
「にゃあ?」
僕はつい変な声を出してしまった。遊ぶだと?前世で下校中の小学生遊んでそれ以来1回も遊んだことはないんだぞ!?
でも……欲しい。
僕はあの輝きから本物ではないと確信していた。それは光っていない。というわけではなく、本物より光っていた。なんとしても欲しい。
そして僕の足は勝手に動いていたにゃ。
「にゃあ!」
「きゃあ!遊んでくれるの!嬉しいい!私はステロイド・ミュフィア。あなたの名前は?」
そして僕は尻尾でこう書いた。『タマ、どうぶつのねこ』
「わあ!ほんとに名前があるんだ!ねこのタマちゃん、よろしく!」
そして僕たちは遊んだ。前世でいう、「かくれんぼ」「鬼ごっこ」「魔法ごっこ」……
魔法ごっこは初めてだ。
かなり魔法の制御が上手くなった。僕の遊び相手は教えるのも上手いらしい。
この遊びは初始魔法だけで相手のおへそに貼った人形を壊す・落とすゲームだ。
僕は《エアー》だけしか使ってないし、ミュフィアは《ホット》しか使ってないから、本当に痛くない。
「タマちゃん、今日は遊んでくれてありがとう」
「にゃー!」
「お礼のこれ……実は偽物でした!!」
「にゃあ!?」
僕は知っていた。だけど相手を棚に上げるのも悪くないだろう。
「でも、楽しかったでしょ!?だから嫌いにならないでね!!」
「にゃ!」
「じゃあ、バイバイ!いつか本物あげるから!」
これがあの運命に繋がるとは…神なら知り得たのだろうかーーー




