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幼女魔法講師は自己紹介させる

「ほーい、じゃあ授業始めるよー」


 火曜日の三限目、それが雅琵の担当する「魔法学概論」の授業日である。

 ちょうどよくも天気は晴れており、昼食後においては絶好の昼寝日和だ。

 イヴロッサ・アウル・カレッジ初となる「魔法学概論」の初授業で寝ている者はいないのだが。

 一番最前列に並んで座っている、黒髪金目の生徒は不機嫌そうなオーラは隠せていないが。

 あと受講生が少ない。全部で九人。確か理事長が「各寮の寮長と監督生二人は必修にしておきました」と言っていたはず。ってことはぴったり必修だから出てきただけなのだろう。

 その四倍以上は大人の講師たちが席を占領して、授業を待っているが。あ、あの時のアイメイクの講師もいる。


「まず自己紹介ね。ボクの名前とか簡単なプロフィールはガイダンスのときに話したから省くとして、君たちの名前と所属……も一応言ってくれる? ボタンとバッジでわかるけど様式美、様式美。ってことで最前列から」


「……アリリア・ツェルン、ドライフォルカラーの寮長であり二年生です」

「ヴィライア・フェルン、ドライフォルカラーの監督生で、アリリアと同じく二年生。いとこなんだ」

「うーい! ユリウネラ・ドールチェイスでーす! ぼくはドライフォルカラーの一年! 監督生だけど、寮長とすぐ交代になるかもだから役職は気にしないでー」

「ユリウネラ! 寮長は僕だ、少しは協調性というものを「あー、下剋上狙いね、大変楽しいと思うよ。個人的に応援しとく、がんばれー」……っ!」

「ありがとー、せんせー!」


 ふわふわした空気のユリウネラが雅琵に礼をいう中で、アリリアは元からの吊り目をさらに鋭くして雅琵を睨みつける。協調が寮則の寮長としては許せないのだろう。ヴィライアはそんな二人を交互に見たあと、頭が痛そうに眉間をもんでいる。


 上の段の席に視線を向けると、戦化粧をした目元の少女に合う。いや、男子なのだが。

 自分の番だとわかったようで、にこっと儚い容姿に似合わぬ光差さんばかりの笑顔で。


「俺の名前はヴァネッサ・ルリ・ロズイェルズ。スリィピアの三年生だ! 得意なのは歌だな、どれ一曲」

「やめてくれ寮長、あんた歌下手なんだから。……自分はハルマガ・ナリジェラ。スリィピアの二年です」

「オレはダヤン・ケーニャ、スリィピアの一年っす、あ、寮長さん! 自分用マイク取り出さないでほしいっす!」

「個性豊かで大変よろしい、はいよろしくね」


 本人が得意だと思ってることと周囲の評価は違うよね! 思わず生温かい目になったのは仕方ないことだろう。

 っていうかマイク、自分用の持ってるんだ。取り出そうとしたところを押さえられている。スリィピアの寮則は「自由」らしいから代表が自由人でも仕方ない。ということにしておこう。


 最後にと下から数えて三段目の長い青髪、緑の瞳に白い十字を抱いたわりと背の高い少女が、口元のほくろが歪むほど唇をつりあげる。その唇から牙が見えて純粋に怖い。


「シャミャン・ロア・フルーという。トリコローズの三年生であり吾輩が寮長だ、よろしく頼む」

「……キアル・セルンローム。トリコローズの監督生で二年、よろしく」

「ニコル・セルンロームなのです、キアルとは双子で監督生やってるのです! お前もシャミャン様の元に平伏すがいいで」

「ニコル」

「……っ! っていうのは、冗談で! よろしくなのですよ!」

「ちょい主従プレイ入ったけど、はいよろしくー」


 全員分の自己紹介を聞いて思ったこと、名前と外見を一致させるために特徴などを軽く書いた紙をまとめて、雅琵は教壇の上で頷きながら言った。


「それじゃあ授業始めるよ」

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