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幼女魔法講師は破顔する

 一ヶ月後の月曜日、眠たくなる午後一番の授業。そして、一ヶ月ぶりの魔法学概論の授業。


「やっほー、皆元気だった?」

「はい」

「ソラユキ先生に見せに行こうとしたら、学校にいないって言われたんだんだけどー!」

「ごっめーん、色々あってさ。さて皆、課題の方は?」


 生徒たちが寮も歳も関係なく顔を見合わせて、ニヤリと笑う。

 カードを見せつけるように掲げて。


「全員達成!」

「説明書読んだけど睡眠法難しかったー」

「能力管理のほうが難しくなかった?」

「えー、呼吸法じゃないか? 今は慣れたけど」

「難しい」

「そうなのですよ!」


 わいわいと盛り上がりながら、切磋琢磨したようである。

 なるほど、上等。雅琵もカードをさらっと見た限りバツ印がついているカードはなかった。

 ひゅう! 口笛を吹いて、雅琵は満面の笑みを浮かべた。ヴォルは暇そうにあくびをしていたが。


「素晴らしい、最高だ! あとはこのまま一年と六ヶ月過ごしてくれれば魔法使いになれるよ!」

「マジで!? えー、頑張ろー!!」

「やるっす!」

「無論、達成するのみ」


 皆やる気はありそうである。

 そこで雅琵が、笑顔のまま言葉をはいた。


「今日は期末テストのプレ問題を配るからやってみて。授業でやったとこしか出さないから大丈夫。あ、ただリィン文字の表は配点でかいから無理そうならそこだけでも丸暗記すれば赤点は回避できるよ」

「俺! 表覚える!!」

「そうしろ」

「寮長さん……」


 完全に他の問題は捨てる覚悟なのか、ヴァネッサが力強く宣言する。

 アリリアは呆れた視線を送っているし、後ろの講師たちは何やら悔しそうに歯噛みしているして試験前あるあるだ。





 そうして臨んだ試験、ヴァネッサ以外は見事赤点を回避した。

 ヴァネッサは表は完璧で誰よりも無駄なくかけていたにも関わらず、肝心の自分の名前を書き忘れたことから、赤点になって、補習を受けることになったのである。


「ソラユキ先生ー! 俺表は完璧だっただろ?!」

「でも名前の書き忘れしちゃったからね、いや、ここまで王道なボケやらかすとは思ってなかったんだけど」

「俺だってやりたくてやったんじゃねぇよぉ!!」

「本当はレポートとかが良いかなって思ったけど、そうしたら君ぎりぎりまでやらなくて『十の制約』が崩れそうだから、再テストね」

「表をもう一回書けばいいのか!?」

「いや、他のとこも勉強してほしいけど……まぁ、そうだね」

「任せろ!!」


 一回のテストで、やっぱり表以外を捨てて補習に合格したのはなにを隠そうスリィピアのヴァネッサ・ルリ・ロズイェルズだ。

 また名前を書き忘れそうになったのを、横に立っていた雅琵が「んんっ!!」と六回くらい咳払いしたところで名前の欄が空白なことに気づき、事なきを得たのだった。


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