幼女魔法講師は質問する
「さて、次に魔技の説明にいこうか」
「待ってましたぁ!」
「魔技ってなんぞ?」
「さっきから他の先生たちうるさいんだわ。静かにしないと出禁にするぞ」
「「すみません」」
ちなみに騒いでいるのは魔術実践学の講師と魔術付与学の講師である。
他の講師にも睨まれて小さくなった二人を見て頷くと、雅琵は説明を続ける。
「魔技は身体が『十の制約』を受け入れてきた頃のことを言うんだ。その間一回でも『十の制約』を破ったらやり直しなんだけど。魔力の量は変わらず質が良くなってきてるから、魔術行使に必要な魔力がちょっとだけ少なく、かつ術の威力が強くなるんだ。ここまでくれば、あとは生活リズムに組み込んで繰り返すだけだね。ちなみに、『十の制約』っていうのは呼吸法、食事法、発声法、睡眠法、記憶法、歩行法、魔力操作、魔力感知、精神制御、能力管理のことを言うよ」
「早い! 多い!」
「ちゃんと板書してるんだからいいじゃん」
「そういう問題じゃないー!」
勝手に碧色の魔力に包まれたチョークが黒板に書いていくのを見て最低限しか板書されないんだよなぁ……と何人かは涙目だ。
そんなことは知らず、雅琵は「最後に」と口を開く。
「最後に魔法ね。質のいい魔力だから、必要な魔力量は少ないかつ強力。魔法の段階になると一日くらい『十の制約』を崩しても平気だよ。必要な魔力が少ないからこそ、魔法使いが一度に何発も打ったり複合魔術を三重、四重のやつ連発して使ったりするのはこのおかげだね」
「しかも質料工程で無限に魔法が打てるのであろう?」
「とんだ詐欺なのです」
「同意」
トリコローズの三人がなにか言っているが、無視だ。
ここまで積み上げてきたものがあるからこそ、魔法使いは尊ばれるのだから。
「ま、説明はこれまでで。さて、一度問おうか。魔法使いになるまでは全てが順調にいったとして、一年半はかかる。むしろ全てが順調に進める事が出来るのは学生のうちでしか出来ないと思ってる。……この中で、魔法使いになりたくないものは手を上げてくれる?」
それは青天の霹靂とも言える問いだったらしく、しばらく生徒たちは固まっていた。
他の講師たちは興味深げに生徒たちを見守っている。というか、どういう反応をするか興味津々といったところか。
そこで、一人の生徒が手をあげた。




