幼女魔法講師はご機嫌である
「るーんるるるっるるーん」
「ソラユキ先生、機嫌いいな?」
「なんかいいことでもあったんだろうか」
「それはねー、とうとう魔法学概論に相応しく魔法に関する話ができるからだよ!」
「……それだけ?」
「それだけ!」
ずっとにこにことしている、雅琵に、いくらかの生徒が引いた。
魔法の話が出来るだけでこんなに、機嫌がいいとかどういうこと? 魔法に取り憑かれてんのか? 雅琵の魔法使いとしての二つ名は【魔法狂い】だ、あながち間違いでもない答えを出しながら生徒たちは頬を引きつらせる。
「今日はね、基礎の話をしてから鑑定に入るから課題を先に伝えとくね」
「え」
「課題」
「一ヶ月後までに自分の十の制約のペースを見つけること、いいね?」
「十の制約……?」
「それも含めて話すね。まず、魔力の中にも順番がある。魔術は魔技に及ばず、魔技は魔法に及ばず、魔法が一番上に来る。わかった?」
「さっぱりわからんのじゃ」
「まぎってなんぞ?」
「先生たち生徒の邪魔しないでくれる?」
見学してるだけなんだから早く後ろに戻って。話している内に段々と前に忍び寄ってきた他科目の講師たちに、生徒がぎょっとしていた。
そんな中、あっさり他の講師を無視すると、アリリアが手を上げる。
「すみません、わかりません」
「大丈夫、これ、こういうものってだけだから。」
「でも……」
「数学の公式になんでこんな公式になるんですか? って言っても無駄でしょ? 公式はこういうもの、って覚える」
「公式と、同じだと?」
「そうそう。だってただの事実だから変えられないしね」
「なるほ、ど?」
納得がいかなそうにアリリアが頷く。
講師たちは「ケチ」だのなんだの小声で言いながら、席に戻っていった。誰がケチだ。
「まず最初に魔術。君たちが使ってるものだね。実は微々たる差だけど、魔術行使のための魔力は人によってまちまちなんだ」
「え!?」
「なぜ? 同じ魔術ではないのかね?」
「うーん。魔術行使するにあたり、必要なのは魔力の量か質。量が足りなければ質でカバー出来るし、逆もまた然りなんだけど。なんせ魔術の魔力量やそれに対する効果を決めるのは世界だからね、同じ魔術を行使してもひとによってばらばらなのさ」
「世界……」
「相手が強大過ぎる」
シャミャンでさえ頭を抱える中、一人ヴァネッサだけが明るく「世界って色々やっててすごいな!」とのたまっていた。
強い。何がとは言わないが。




