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幼女魔法講師は握らせる

 こんなとこで売っていいものじゃない、これらの価値を正当にわかるひとのところに行くべきだ。


 いつになく真剣に言う雅琵に店主が目を白黒させながら、デモ……だの、あの……だのと言っていたが、とりあえず紙を渡して、いいね? と顔を近づけて凄む。

 頭を引いて圧倒されたようにあ、アぁ。と店主は頷いた。

 ヴォルは雅琵の後ろで、独り言のように呟いた。


「その鑑定館がある土地は公爵が治めているが、ある親類を親の代から探していると聞く。駆け落ちしてここからさらに東にいった先々代公爵の妹らしい。名前は確か」

「カトレアじゃない?」

「……曾婆様の名前ダ」


 雅琵の持っているオーダーメイドプリクチュールは枇杷の実とニチニチソウ、和柄でできている。オーダーメイドプリクチュールは大体の場合において、好物の果実・花言葉・名前に関係する柄で構成される。

 雅琵の場合の名前は和柄で雅やかに、ということらしい。

 閑話休題。

 呆然としている店主に、オーダーメイドプリクチュールを丁寧にたたむと、雅琵は言葉を繰り返す。


「これらはこんなところで売ってちゃいけない、ちゃんと鑑定してもらうべきものたちだよ。わかったらほら、ぐずぐずしない!」

「ま、マダ今日の場所代ハラって」

「ボクが代わりに払っとくから、さっさと行きな。鑑定館でまず最初にこのオーダーメイドプリクチュールを見せるんだ。そうすればちゃんと対応してもらえるはず。これを見てそうしないなら公爵家に直接乗り込みな。探しているなら会っては貰えるはずだから」


 ほら、これ今日の夜までのチケット。

 震える店主の手に船のチケットを握らせる。

 先ほど、かの地にある信用のおける情報館の情報と一緒にヴォルに買ってきてもらったものだ。

 のろのろと商品を詰めた店主に、背中を伸ばすように言う。


「背中伸ばして、キョロキョロしない、堂々と歩く。高価なもの持ってます!って言ってるようなものだよ」

「だ、ダッテよ……」

「だってもかってもない。君はなにも悪いことなんてしてないんだから、堂々としな!」

「うゥ、わかったヨ……」


 しょぼくれた店主が、店を畳んで学園を出るまで雅琵たちは送ったのだった。


 聞こえてきた噂では、西の地を治める公爵の探していた親類がとある鑑定館に品物を……特にオーダーメイドプリクチュールを持ち込んだことにより見つかり、養女に迎えられたらしい。

 これは、その日食うにも困っていた少女が、実は公爵家の血を引いているというシンデレラストーリーが流行ったきっかけでもあった。

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