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幼女魔法講師は推測する

「ってことは没落貴族かなんかかな」

「多分な」

「大体そういうとこって、血の繋がりでなんとかなるんじゃないの? しかもオーダーメイドプリクチュール作れるほどの財力持ってるんでしょ? 親族探してたりしない?」

「相手が罪人の場合は放って置くだろうな」

「ここに入れるなら違うんじゃない?」

「わからん」


 そんな会話をしながらオーダーメイドプリクチュールが売られているという店にまで来た。

 まだ若い少女と言えるような店主が、片膝を立ててシートの上に座り、肝心のオーダーメイドプリクチュールは丸まってシートの端の方に置かれていた。

 他にも金色の燭台や銀色の食器などの日用品から、古びているが大事に手入れされ使われてきたことがわかるカメオやネックレス、指輪といった装飾品まで、こじんまりとしたシートの上に乗っていた。

 とても没落貴族や盗品、罪人が身につけるようなものには思えない。


「これは……ヴォル」

「ン? オキャクサンかい?」


 ヴォルに地面におろしてもらい、シートの上の品物を見ると、雅琵はヴォルに購買店に行くように囁いた。ヴォルが去ったあと。

 その声にどこかうとうとしていた店主がどこかぎこちない言葉で雅琵を見上げた。


「こんにちは! このレース見せてもらっていい?」

「ウン、かまわナイよ。ドンドン見てって」

「ありがとう!」


 無邪気な子どもを演じて、オーダーメイドプリクチュールに手を伸ばす。

 丸まっていて大きさがわからなかったものの、一枚の白布を下地に長く大きく、所々にグラデーションがかりブルーベリーと月桂樹の葉とカトレアの花が織り込まれている。相当な力作だ。

 ほんのり魔力の気配がするから、自然修復の術式でも縫い込まれているのだろう。でなければ、こんな扱いでここまで色を保ち、ほつれ一つないのは逆におかしい。


「これって一枚布なの?」

「ン。うちのトコじゃ布一枚を巻いて服にスんだヨ」

「へぇー、これって誰が使ってたの?」

「うちの曾婆様だな、タシカ……結婚式の時に着たらシイ」

「そっか、これっていくら?」

「ウーン、ナンボでも。買ってくれるナラそれで」

「いやいや、それじゃ悪いよ」

「ソウ? じゃ、千ギリンは高すぎカ?」

「まさか! ……でもボクが買うのはやめておくよ」


 ヴォルも来たし、と口に出して呟くと。店主の眉がぎゅっと寄る。客かと思って相手をしていたの冷やかしだったのかと言わんばかりの目線に、雅琵のもとにたどり着いたヴォルが一枚の紙を渡す。

 渡された紙にさっと目を通して、雅琵は。


「代わりにそこのお皿売ってくれないかな、代金はこれで」

「んだヨ、買って……ナン!? ナンで十万ギリンも」

「ボクがこのお皿にそれだけの価値があると思ったから。……他のは全部持って、この紙に書いてある鑑定館に行くんだ」

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