幼女魔法講師はブリリアントオレンジを食べる
巨大な竜巻が起こして、その中心では雅琵が笑っていた。
「はーはっはっはっ!! 回れ回れ! 時代より観覧車よりメリーゴーランドよりも回れ!」
「……」
隣に立っていたヴォルは引いていたが。
細切れになった巨大ワームの欠片が、ぼとっと落ちてきて身体を傾けて避ける。
未だに笑い続ける雅琵は気づいていないようだったが。
理由はわかっている、ストレスのせいだ。だからこそ、何も言えないのだが。
「はっはっはー! ……飽きた」
飽きるのも突然だった。雅琵が「飽きた」と呟いた途端、竜巻は消え、周囲にワームの血肉が落ちては散っている。大変悲惨なことになっていたが、雅琵は特に気にした様子もない。テンションの落差が激しすぎる。
そして地属性の魔法で地中を調べ、もうワームがいないことを確認したあと、ヴォルも調べて、二人で「もうワーム、及び魔獣はいない」という結論になり。船へと戻った。
この間、二時間のことである。
それから、木の苗をもらい早々に去っていった雅琵たちの背中に、軍人らが帽子を取り敬礼していたことなど知らず。
『ドアの壁紙』の中に帰ってきた雅琵とヴォルは、オレンジ類が植わっているコーナーにシャトレーヌを連れて苗を植えた。
樹の魔法で急成長させて実ったブリリアントオレンジは、ガラスのように透明で疑似太陽にかざすときらきらと輝くさまが美しかった。
シャトレーヌと雅琵とヴォルで半分ならぬ三当分して、きらきらと輝く実を皮ごと口に入れる。これは皮ごと食べられる品種とか言ってた。
ぷつりと歯で皮を破れば、ぷるるんと実が弾けるように飛び出してくる。歯に力を入れなくてもジューシーな果肉に詰まった、オレンジとみかんをかけ合わせたような、甘酸っぱいのに爽やかであとを引く果汁が口いっぱいに広がる。何度か咀嚼し、飲み込むと。
「ワーム蹴散らす出すだけでこの美味しさ、最高」
「確かに」
「わーむ、ですか?」
「シャトレーヌは気にしなくていいよ。好きなだけ食べな」
「じゃ、じゃあもういっこ!」
自分で実をもいで目を輝かせているシャトレーヌに、うんうんと頷きながら。
雅琵は一休みすることにしたのだった。
「あ、プレ版忘れてた」
その頃教務課に、小テストのプレ版を求め生徒と講師陣が押しかけていたことを雅琵は知らない。
キリがいい?ので3日くらい更新お休みします。
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