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幼女魔法講師は詠唱の説明をする

「次に詠唱。無詠唱を目指す者は多いよね、でもボクはその理由がわからないんだ。メリットとデメリットを考えた場合、デメリットのほうが多いのにって」

「待って欲しいのです! 無詠唱は魔術師にとって憧れ……というより必須なのですよ!? 詠唱中はどうしても無防備になりやすい欠点を補ってくれるのです!」

「うん、ニコル・セルンローム、それは否定しない。でも無詠唱で二回魔法を放って魔力切れになったら無防備どころの話じゃないよね?」

「え……?」

「これは無詠唱をできる者が言わない事実だけど、無詠唱の場合と三詠唱の場合、三詠唱が魔術を六回打てるところを無詠唱は二回しか打てないんだ。もちろん比較してるわけだから同じ魔術を打った場合ね」

「で、でも最高魔術試験では」

「では、キアル・セルンローム。試験で無詠唱を何回も続けてやるの? 一回できたら合格じゃなくて?」

「あ……」


魔術試験はあくまで試験、実戦を想定していない。つまり魔力切れまで打つ想定をしていない。一回無詠唱で打てれば合格なのだ。

実戦ではないからこそ、「必須」などと言えるのだ。


「無詠唱の魔力消費量はえげつないほどだ、っていうのはわかってもらえたかな?」

「「はい……」」

「あと、さっき詠唱中は無防備になるって言ってたけど。ボクはね、それこそ怠慢だと思うよ。なんで身体を使わないんだ? 詠唱しながら杖で、殴りかかるとかしないの、なんで?」

「な、なんでってー……」

「ユリウネラ・ドールチェイス、ボクは常々疑問なんだ。なんで魔術師は魔術しか使わないのか。魔法使いは皆護衛術だの暗殺術だの、魔法以外の自衛方法を持っているのに。無防備になる? 当然では? だって魔術しか鍛えてないんだから」

「……」


時間を稼ぐ必要があるなら、投げナイフなり杖をメイスのように加工したりして殴りかかるなど工夫をすればいいのだ。そんなことも考えずに、ただ魔術を使っているだけの現状が、雅琵には不思議でならない。

ちなみに、髪が長く邪魔だろうと思い、簪というものがあるのだと魔女・フルールに教えたところ、武器として役に立っているようである。誰も髪飾りが武器になるとかこの世界の住人は思わないのだ。なぜかは知らないが。


「あの……」

「ん? なんだい、ヴィライア・フェルン」

「三詠唱? ってなんですか?」

「あ、三節詠唱のほうがわかる?」

「わかりません……」

「え……」


お前ら全員三詠唱してるじゃん! と雅琵は大きい声で叫びたくなった。それをぐっとこらえて、笑顔を作る。ちょっと歪んだかもしれないが、それはそれである。

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