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幼女魔法講師は白目になる

「さて、最後に情報(ソース)ね。これは最初に情報化する、無駄な単語を省いたり曖昧な表現を明確にする意図があるよ」

「例えば? どういうことだ? ソラユキ先生」

「例えば……『あぁー! ヴォルが昨日の夜に作ったアップルパイ食べてる! ボクの今日の朝ごはんって言っただろ!』って文があるとする」

「んっ!? 俺はそんな卑しい真似はしない」

「知ってる知ってる、例文だって」


 いきなり水を向けられたヴォルが、大狼の姿のまま、窓辺で微睡んでいたのから復活し、雅琵に抗議する。

 それを軽く手を振りながらいなしながら、雅琵はにやにやしていた。


「で、この文ね明らかに無駄要素があるだろ? 伝えなきゃいけないのは『ボクの朝食のアップルパイ』ってだけで昨日の夜作ったとか、ヴォルが食べてるとか、正直無駄。全く必要ない部分。これらを整理整頓して、いらないなら切り捨てる、それが情報化」

「うーん、わかったような気がする! ありがとう!」

「どーいたしまして。で……次。調整、なんだけど。うーん、これは配った資料に載ってるリィン文字の表、見てくれる?」

「ちょ、先生方近い」

「近づかなければ見えんだろう」

「もっとかがめ! ワシが見えんぞ!」

「あー……」


 例文を使って説明すると、太陽のような笑顔でお礼をいうヴァネッサ。その笑顔に少し眩しくなりながらも返答する。

 しかし、次のリィン文字が載っている表を持っているのは九人。受講している生徒の分しか資料を刷って来なかったのが裏目に出た。

 その倍以上はいる見学の講師たちが生徒の資料を見るために、群がったのだ。

 結果、授業の邪魔になっている。生徒が困ってるだろ、遠慮を学べと雅琵の口端が引きつった。なぜかシャミャンのところには一人も行かなかったが。


「他の先生たちの分は後で渡すから、生徒たちから離れるように」

「だったら最初から準備しておけば良いのに」

「見学者に配慮してくれ」

「ケチ」

「誰だいまケチって言ったの。こっちは用意しなくてもいいんだぞ」

「いやー、ソラユキ先生ならやってくれると思ってましたわい」

「流石です」

「配慮の鬼」

「手のひらくるっくるかよ」


 手のひら返しがひどすぎて、雅琵は心の中で白目を剥いた。

 生徒たちは頭が痛そうな……そう、頭痛が痛いとでもいいそうな微妙な顔でこのやり取りを聞いていた。

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