幼女魔法講師は他の授業を見る
「ねぇねぇヴォル、せっかくだから他のひとの授業覗きにいかない?」
「構わんが」
【ドアの壁紙】の中で、朝食のサンドイッチを頬張りながら、雅琵は向かいで人の姿になり、サンドイッチに手を伸ばすヴォルに尋ねる。
「よしっ! じゃあ食べたら今日の授業なにがあるか見よー!」
「そうだな、その前に食べることに集中しろ」
「腹が膨れないもんね!」
「そうじゃない」
そんなやりとりをしつつ、さっさと食べ終えた二人は、今日行われる講義の一覧を見始めたのだった。
「まずは魔法薬学にしよう! 他のも気になるけど個人的にこれがいい」
「わかった、どこへ行けばいい」
「ちゃんと教務部に聞いてきた! 第三校舎と第四校舎の境にある階段を降りていった地下教室だって」
「……あぁ、薬品の品質を落とさないようにか」
「らしいよ」
地下といえば薄暗いだろう教室で、しかも一番端の校舎で。わざわざ授業を行うかといえば、薬品の品質を落とさないように、あと実技のときに爆発しても被害が少ないようにらしい。
あのアイメイクの講師の授業だが、中々考えているんだなぁと雅琵は思う。ちなみに〈結界〉張ればよくね? とも思ったが、魔術として〈結界〉を張った上でこの対策らしい。念には念を、ということなのだろう。用心深いことこの上ない。
校舎は「日」このような形をしている。手前の先から第一校舎、真ん中の線が第二校舎、一番奥が第三校舎で左の線は通路を、右の線は第四校舎。つまり授業が行われるのは一番奥の一番端。そこまでヴォルの上に乗って行き、階段を降りる。
教務部に行ったときに、今日の授業を見学に行くことを行ってあるため、生徒たちが多少ざわついたものの最初にアイメイクの講師ことエヌ・フレイルがなにか言ってあったのか、難なく潜り込むことができた。
「いいか、アマヨモギはみじん切りに、コノハナキクは花弁を三枚、ハルカゼソウは千切りで中に入れるように」
大声ではないのに通る声でそういうと、最初に班決めでもしてあったのか、いくつかの班になり生徒たちは机の上に【簡易コンロ】の巻物を敷いてそれぞれに教壇の上にある材料を取りに行っていた。
一番後ろの机に座っていた雅琵とヴォルのところにも、魔術で巻物がとんでくる。
それを受け取り、じっと見つめた雅琵の感想は。




