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幼女魔法講師は基礎の基礎を教える

「範囲外手当はむしるとして。……まず、魔術・魔法行使のための五つの要素を説明するね。これが乱れると魔法が行使出来ないから、どんな魔術も魔法も運要素があるなんて言われてるけど、実際には全く違うね。運なんて不確定要素は一ミリも存在しない」


 雅琵はすいっと指を動かすと、誰も触れていないチョークが、黒板の板面を走り出す。


「五つの要素は先に上げてしまえば、①スピード②ステップ③テンション④ボリューム⑤コンディションのことだね」

「スピード?」

「そう、早口だったり呂律が回ってなかったら何言ってるかわからないだろ?」

「確かに」

「魔術・魔法には理性があるから、『自分が呼ばれている』と思わないと呼び出せないんだ。そのためには一定の早さで呼ばなきゃならない」

「待って、魔術に理性ー?」

「……そこもかぁ」


 戸惑う生徒たちの中で、質問してきたユリウネラから視線を外し、窓の外を遠い目で見る。乾いた笑いを浮かべているところがどことなく哀愁を誘う。


「魔力は本能・魔術や魔法は理性だ。本能は体内で練られ体外に出た瞬間理性に変わる。消失魔術の中には自分から消えたものがあるだろ? 他にも神や上位の存在に向かっていった魔法は、自ら消える。だって敵わないことがわかってるからね。禁制魔術なんかにしても、副作用が凄まじいとされるものは魔術自体の理性がイカれてるからだよ、使用者が苦しんでいるのを見て楽しんでいるんだ」

「……禁制魔術の副作用の中に笑い声が聞こえる、というものが一般的にあるのは」

「魔術の笑い声だね」


 あっさりと告げた雅琵に、質問をした魔法実践学の講師の頬は引きつった。

 禁制魔術の恐ろしさを改めて思い知った。


「じゃあ次いくけど」

「待ってほしいっす、さっき神に向かっていった魔法は自ら消えるって言ってたじゃないっすか。なんでそんなことわかるんっすか? そんな神話聞いたことないっす」

「……神に歯向かう神話、ほとんどない」

「キアルの言う通りなのです、むしろないと言いきっても良いくらいなのです」


 一つ答えるごとに待ったがかかる。授業は提出した工程通りに終わらないだろうなぁ、内心ため息をつきながら、雅琵はダヤンの言葉に頷く。


「確かに。じゃあこうしよう、これから神に向かってボクが魔法を打つから魔法がどういう動きをするか見てて」

「「「は?」」」


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