vaundy『怪獣の花唄』に関する考察 オデュッセイア編
ギリシャ神話に、
セイレーンという海の神様がいます。
神様、と言いましたが、それは日本人の感覚で、
神様と怪物は、ギリシャでは区別されるのかもしれません。
何とかっていう島で、
この世のものとは思えない美しい声で歌い、
聞きほれた船乗りは、ちょっとおかしくなってしまい、
もっと近くで聞きたくなり、まんまと島に近づいてくると、
船は座礁して、沈んでしまうのだそうです。
言い直しましょう。
セイレーンは怪物です。モンスターです。
トロイ戦争の後、いろいろありまして、
オデュッセウスは、セイレーンのいる島の近くを通ることになりました。
オデュッセウスは、セイレーンの歌を聞いてみたくなったのですが、船が沈むのは困ります。
そこで、船の漕ぎ手に命じます。
お前たち、私をマストに縛りつけて、耳栓をしろ。
私は、しばらくすると、きっと、暴れながら、縄をほどけと言うが、
絶対に言うことを聞くな。
というか、耳栓をしていれば、
セイレーンの歌も、私の命令も聞こえないだろうけども。
で、私が暴れなくなったら、縄をほどいてくれ。
そんなこんなで、オデュッセウスは、
史上初めて、セイレーンの歌を聞いて死ななかった男になりました。
セイレーンは、歌を聞かせた者が死ななかったとき、
みずからが死ぬ運命となっており、
みずから海に身を投げて死んでしまいます。
ちなみに、サイレンという言葉は、
セイレーンから来ているが、それはどうでもいい話。
『怪獣の花唄』 ※繰り返し部分を除く
思い出すのは君の歌
・・・・セイレーンの歌を聞いた生存者は一人だけ
会話よりも鮮明だ
・・・・歌ってそういうものですよね
どこに行ってしまったの
・・・・海の中です
いつも探すんだよ
・・・・岩に姿を変えたとも言われます
思い出すのは君の歌
・・・・セイレーンの歌を聞いた生存者は一人だけ
歌い笑う声が鮮明だ
・・・・セイレーンの姿を見た生存者は一人だけ
君に似合うんだよ
・・・・頭の中の回想シーン
ずっと見ていたいよ
・・・・同上
でも最後に見たいのは
・・・・もう一回見たいですよね
きっともう君の夢の中
・・・・多分、オデュッセイアの妄想です
もう一度また聞かせてくれよ
・・・・もう一回聞きたいです、はい
聞きたいんだ
・・・・切実です
もっと騒げ怪獣の歌
・・・・怪獣、は、
モンスターであるセイレーンのこと
まだ消えない夢の歌唱えて
・・・・耳に残っているのです
君がいつも歌う怪獣の歌
・・・・目にも残っているのです
まだ消えない口ずさんでしまうよ
・・・・口にも残っているのです
思い出すのは君がいた
・・・・オデュッセイア回想中
ギター持ってる君がいた
・・・・オデュッセイアの証言が史上唯一なので
誰も逆らえません
忘れられないんだよ
・・・・オデュッセイア忘却不可
だから僕が歌うよ
・・・・オデュッセイア熱唱
落ちてく過去は鮮明で
・・・・セイレーン船、沈めまくりの過去
見せたい未来は繊細で
・・・・セイレーンが身を投げたという
「センシティブ」な出来事
過ぎてく日々には鈍感な君へ
・・・・セイレーンにはもう未来がないゆえ
ねえ僕ら眠れない夜に手を伸ばして・・・・妄想
眠らない夜をまた延ばして・・・・・・・・永遠
眠くないまだね・・・・・・・・・・・・・興奮
そんな夜に歌う怪獣の歌・・・・・・・・・爆唱
懲りずに眠れない夜に手を伸ばして・・・・反復
※本考察では、Vaundy作詞の『怪獣の花唄』の歌詞の意味について、ギリシャ神話をモチーフにしているという独自の説を唱えるため、著作権法第三十二条に規定する研究の範囲内において合法的に引用している。