ありがちなデスゲームと世襲政治家の後継者問題

『では、今回より５回連続で「ありがちなデスゲームをいかに面白くするか？」と云うコンセプトで開催いたします』

「まぁ、ここんとこマンネリでしたからなぁ……」

「そろそろ、ネタも無くなってきたようですから」

「おい、司会者、今回のがつまらなかったら退会するぞ」

『そこは御安心下さい。今回のテーマは「トロッコ問題」です』

「またかよ」

「いい加減にしろ」

『各十人を乗せたトロッコを２つ用意しました。以後「トロッコ１」「トロッコ２」と呼称します』

「そのネタ、もう飽きたぞ」

「どこが面白いんだ、おい」

『トロッコに乗せている二十人は二人を除いてランダムに選ばれております』

「ああ、その二人がミソか」

「ありがちだな」

『当然ながら片方を助ける事を選ぶと、もう片方に乗ってる人間は全員死にます。では、命の選別を行なう与党議員の岸本伸二様を除く皆様、どちらが助かるかにお金を賭けて下さい』

「はぁ？」

「まぁ、いいや、俺は１にするかな」

「ところで、岸本さん、何であんたなんだ？」

「い……いや……俺、何も聞いてないよ」

「まぁ、いいや、１を選んでくれよ」

「いや、２だよ」

『なお、トロッコ１には、岸本様の出来の悪い実の息子さんが、トロッコ２には、岸本様の出来のいい娘婿が乗っています』

「はぁ？」

「お……おい」

「ま……待て……どう云う事だ？」

『では「スタート」から５分以内に「命の選別」を行なって下さい。５分以内に岸本様が「命の選別」を行なわなかった場合、賭け金は運営の総取りとなり、全額、海外の戦争難民と国内のホームレス支援の為に寄付させていただきます』

「お……おい、ふざけんな、俺達の金を死んで当然のクズどもの為に使うだと⁉」

「あ……岸本、何、ぼ〜っとしてる？ 早く実の息子を助けろ‼」

「はぁ？ あんな馬鹿息子、死んでもかまわんだろ。後継者にするなら娘婿の方だッ‼」

『では、スタート。はい、トロッコが走り出しましたッ‼』

「岸本、息子を助けろ」

「いや、婿を助けろ」

「何、ぼ〜っとしてる？ 息子を助けろ」

「いや、あんな息子、殺していいだろ。婿を助けろ」

「ふざけんな、殺すなら血の繋ってない方だ」

「何言ってる、殺すなら出来が悪い方だ」

「後継者にするなら実子だろ」

「いや、跡継ぎは出来のいい方だろ」

「ともかく、どっちでもいいから殺せ」

「婿を殺せ」

「息子を殺せ」

「婿を殺せ」

「息子を殺せ」

「婿を殺せ」

「息子を殺せ」

「婿を殺したら、次の幹事長はお前だ」

「なら、息子を殺したら、副総理にしてやるぞ」

「ともかく、どっちでもいいから……あ〜ッ‼」

『はい、５分過ぎましたので……両(﹅)方(﹅)助(﹅)か(﹅)り(﹅)ま(﹅)し(﹅)た(﹅)。賭け金は運営の総取りです』

「き……岸本、こうなる事を知ってたな？」

「ち……ちがう……ちがう……ちがうちがうちがう……」

「ふざけやがって‼ 貴様、運営とグルだったのか？」

「ま……待ってくれ……待って……待って……落ち着け〜ッ‼」

「こ……殺せ……岸本を殺せ……」

「た……たすけて……うぎゃああああッ‼」

『では、全世界のスナッフ・ムービー・マニアの皆様。これより、日本の与党政治家による凄惨なリンチを配信いたします。ボカシなしで観たい方は、こちらに追加料金をお振り込み下さい。クレジット・カードでの支払いも受け付けております』