第54話 ※私はフィーネ。全てを終わらす者 (残虐シーン注意)
「や、やめろっ!頼む…っ!許してくれーっ!!ギャーッ!!あ、あっちへ行ってくれ!フィーネッ!!助けてくれっ!!」
「こ、この…魔女め…っ!!グアアアアアアーッ!よ、よせーっ!!やめろっ!俺を…喰うなーっ!!」
狼の下敷きにされた2人の痛みと苦しみ…そして恐怖の絶叫は止むことはない。2人とも私の魔力で心臓が無事な限り、死ぬことは無い。なので未だに意識を失うことも無く、泣き叫び続けている。
「フフフ…まだまだ叫ぶ元気がありそうですね。心臓が止まる最後の時まで苦しみ抜いて…死んで下さい」
「痛い痛い痛いっ!!ギャーッ!!」
「た、頼むっ!!いっそ…いっそ殺してくれーっ!」
叔父とジークハルトの絶叫が響き渡る。
断末魔の叫びを上げ続けていた2人はやがて声を発する事も出来なくなった。恐らく発声器官を喰い破られたのだろう。今や狼の牙を立てる音や咀嚼音…血をすする音しか聞こえなくなった。
叔父とジークハルトの耳には私の声は届かないだろうが…今も狼に喰われ続けている2人に私は語った。
「あなた方の死を見届けた後…私はこの城を燃やし、無に返します。私の名はFine。全てを終わらす者…。アドラー家はこれでもう終わりです」
やがて…全てを喰らいつくしたのだろう。2匹の狼達が私の方を振り向くき、ゆっくりと近づいてくると足元にひれ伏した。
「どう?お前たち…。飢えはもう満たされたかしら?」
私は2匹の狼達の背中を撫でると、彼等は嬉しそうに尻尾を振る。
「さて、叔父様とジークハルト様はどうなったかしら…」
血まみれの床に転がる骸骨を確認する為に私は近付き…笑みを浮かべてジークハルトと叔父の骸骨を見下ろした。
するとそこにはまだドクドクと脈打つ2つの心臓が血溜まりの床の上に落ちていた。彼等は心臓だけになってもまだ生きていたのだ。
「フフフ…上出来よ。よくやったわ」
私は2匹の狼達を見て笑みを浮かべた。
「叔父様、ジークハルト様…最後は私の手で貴方達の息の根を止めてあげますね?」
そして指先から燃え盛る火の玉を作り出した。
「炎よ…この醜い欲にまみれた彼等を燃やし尽くし…全てを無に返しなさい」
そして迷うこと無く、未だにうごめく2人の心臓目掛けて火の玉をげつけた。
ボッ!!
あっという間に燃え盛る炎に包まれる2つの心臓。そしてそこからゆっくりと炎が広がっていく。
「貴方達はもう森へ帰りなさい。今からこの城は炎に包まれるから」
私の言葉に狼達はうなずくと一斉にダイニングルームを飛び出した。
「皆…私の復讐に手を貸してくれてありがとう…」
彼等が走り去る後ろ姿にそっと声を掛けると私は燃え上がるダイニングルームを後にした―。