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第25話 衝撃の事実

 19時になっても私の部屋に食事が運ばれてくる気配は一切無かった。もしかすると叔父はヘルマと騒ぎを起こしたことで腹を立て、私に食事を与える事を禁じたのだろう。


「本当に…酷い事をするのね…」


ため息をつくと、部屋の扉を開けて廊下へと出て辺りをキョロキョロと見渡した。幸い廊下には使用人の姿が1人もいない。


「今のうちね…」


ポツリと呟き、廊下を慎重に歩き始めた。目指すはこの先にある階段だ。その階段は地下室へと続いている。その地下室は食料貯蔵庫になっているのだ。


「あの場所へ行けば食べ物が色々入っているわ…」


私は足音を立てないように廊下を歩き…丁度ダイニングルームの手前に差し掛かっ時…。



「全くフィーネは頭に来る娘だっ!」


忌々しげな叔父の声が部屋の中から聞こえ、思わずビクリとなって足を止めた。


「全くだわ…本当に何て可愛げのない娘なのかしら…」


次いでバルバラ夫人の声が聞こえてくる。


「あの女…絶対に魔女よっ!私…今日はあの女にひどい目に遭わされたのよ!手も使わずに突き飛ばされたり、いきなり息が出来なくなったり…。あの女は黒魔法を使う魔女よ!ねぇ…私怖いわ…。ジークハルト様…」


えっ?!ジークハルト…?ま、まさかそんな…。


私は扉の近くに置かれた大きな花瓶の側に隠れて扉に耳を押し当てた。


「大丈夫だよ、何も怖がることは無いよ。僕に任せておけばいいからね。フィーネは僕の事を信用しきっている。ヘルマに手を出すなと言えば、絶対におかしな真似はするはず無いよ。それに…僕の知る限り、フィーネは無力だ。そんな怪しげな魔法を使えるような人間ではないよ。外見はたとえ魔女みたいだとしてもね…」


「!!」


私はその言葉に耳を疑った。そ、そんな…。ジークハルトと私は…幼い頃からの幼馴染同士で…そして婚約者で…互いに愛し合っていたはずではなかったの…?それなのに外見は魔女みたいだなんて…。


「ありがとう、ジークハルト様」


ヘルマの嬉しそうな声が聞こえる。


「本当に…フィーネは我々の計画を次から次へと潰してくれる…。全く忌々しい娘だ…」


「本当ね。あの時一緒に馬車事故で死んでくれていれば良かったのに…」


「くそっ…まさかあの馬車にフィーネが乗らないとは思わなかったからな…」


え?


今…叔父は何と言ったの?私が乗らないとは思わなかった…?


「本当よね…本来ならあの馬車事故でフィーネは両親と一緒に死ぬはずだったのに…」


ヘルマの言葉は決定的だった。そ、そんな…私の両親の事故死は…偶然じゃなかったの…?あまりの衝撃に倒れそうになり…。


ガタンッ!!


傍らにあった大きな壺を床の上に倒してしまった。


「何だ?今の音は」


ジークハルトの声が近づいてくる。今ここで見つかったら私はどんな目に遭わされるか分からない。


急いで立ち上がり、靴を脱ぐと私は走り…誰も使用することのない倉庫になっている部屋の扉を開けて中に入ると内鍵を掛けた。



「はぁ…はぁ…」


心臓が煩いくらいに激しく脈打っている。


先程の4人の会話が耳から離れない。


扉によりかかりって呼吸を整えている内に…私の両目から涙が溢れ出してきた―。


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