表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

「転生スピンオフ」勇者の剣

スピンオフ

〜転生したら〇〇だった〜


たくみ視点

ーーやっと見つけた。


 俺達ふたりは、そんな声を耳にした。

 勇者のみが抜くことができるという「伝説のつるぎ」を一目見ようと、相棒と立ち寄った町外れのほこら。そこにはひとりの女の子がいた。


「ずっと、ずっと、待って、たの」


 ぼろぼろと泣きながら、しかし目線はこちらから離さない。

 思わず近づこうとして、後ろから肩を掴まれた。


「気をつけろよ」


 冷静な声に、改めて女の子を見る。

 簡素なワンピースに、足元は裸足。あまりに軽装ではあるけど、別に怪しむほどではない。


「へーきだろ。慎重すぎだ」

「おまえは女の子に弱すぎ。変だろこんなとこに」


 軽口を叩いていると、女の子はなぜか感極まったようにこちらに駆け出そうとして、


「やっと、見つけっあぶっ!?」


 しかし数歩で、見えざる壁によって弾かれた。情けない声で女の子が地面に転がる。


「大丈夫かよ!?」


 反射的に助け起こそうとして、彼女がぶつかったあたりで宙をかき混ぜ、一回なにも無いことを確認して駆け寄る。相棒も全く、とぶつぶつ言いながら続く。


「いったたた」


 起き上がった彼女は、先ほどとは違う意味で涙を浮かべていた。


「結界があるの忘れてた……」

「結界?」

「私、ここから離れられないの」

「君は……まさか、剣の精霊か?」

「精霊っていうか……私が剣っていうか……。」


 彼女は困ったようにはにかんだ。


「私、勇者を選ばなきゃここを出られないってなんか偉い人に言われてて。正直、そんなのわかんない。ただ気がついたらそうだっただけだから」


 悲しそうに、ぽつりとこぼす。


「でも一緒に居たかった……ううん、居たい人ならわかる」


 顔を上げた彼女は、俺たちを交互に見てにっこりと微笑んだ。


「わたし、ゆいこ。あなた達は冒険者?」

「まぁ……まだ駆け出しだけど」

「それで? さっきの感じたと俺たちどちらかが“そう“なのか?」

「ふへっ?」

「勇者を選ぶのがあんたの役目だろ?」

「そ、そう……なんだけど」


 なぜか顔を赤くして、声は尻すぼみになる。


「ええっと、とりあえず、起こしてくれる?」


 彼女が両手を広げる。目くばせし、右手を俺が、左手を相棒が掴む。せーの、と引いたその腕を、ゆいこの手がぎゅっと握り返したーー気がした。


「へっ?」

「なっ」


 次の瞬間、俺達の手にあったのは、まばゆい光を放つ伝説のつるぎ。二人で一本の剣を支えるように掲げていた。


「ひろし、たくみ、迎えに来てくれるって、信じてた!」


 耳元で、ゆいこのはずんだ声がした気がした。





2/16放送分トライアングルレッスンスピンオフで読んでいただきました!!!めっちゃ音楽壮大!!!ゆいこきゃわいいいい!!!

あと剣の二人持ちは普通に考えてませんでした。お二人の想像力楽しい。

そのあとふつおたまで読んでもらえるとか奇跡か。なにかおりてきたのか。



創作これから少しがんばろうと思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 採用おめでとうございます! 放送を聞いているときから、伝説の剣に転生という発想が面白い!と思っていました。 朗読したあとのお二人の感想で、続きを膨らませていたのも楽しかったですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ