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迷宮六人の勇者 -Cherry blossoms six hits-  作者: 夜乃 凛
第五章 魔王城
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血筋の問題

 魔王へと、パーティーが近づいていく。

魔王は、椅子から立ち上がろうとしない。

椅子のある部屋の入り口付近まで、接近した。

魔王のいる部屋は、円形になっている。


「立ち上がりませんね。甘く見られているのでしょうか。

先制攻撃、いいですか?」


 クラインが皆に尋ねた。

 皆、頷いた。そして、その後すぐ戦闘になると予想し、身構えた。


 魔法の詠唱を始める。そして、炎の渦が、魔王を中心に燃え上がった。

炎の渦で、魔王の姿が見えなくなったが、炎の渦が消え、魔王は無傷でそこに立っていた。椅子が燃えただけだ。


「やはり、効いていませんね。すみません、僕は役に立てそうもない」


 クラインが舌打ちした。


 魔王はパーティーの方を睨みつけた。来るか。


「何故戦う?」


 魔王は話かけてきた。意外だった。


「なんで?アンタが魔物を呼び出すからでしょ!」


 キョウコが喰ってかかった。


「お前たちを地上に上げるわけにはいかない。根絶やしにする」


「何故ですか?」


 クレアは魔王の意図がわからなかった。


「お前たちの血筋の問題だ。教える必要もない。さあ、死ぬがいい」


 魔王が一歩前に出た。黒衣が揺れる。


 白い顔に、不気味に光る赤い目がパーティーを見つめていた。


「ティナ、キョウコ、行くぞ!」


 アーサーは攻撃の合図を出し、飛び込んだ。

中央がティナ。左にキョウコ。右にアーサー。

 射程の長いティナが先制攻撃をした。

 しかし、魔王の抜刀で軽く捌かれた。魔王の武器は、刀だ。

 キョウコの目が光る。刀相手なら、遅れはとらない。

 素早く斬りかかった。

 しかし、斬りかかった姿勢のまま、硬直してしまう。

 キョウコは棒立ちになっている。隙だらけだ。

 魔王はキョウコに向けて攻撃の構え。

 ティナが瞬間的に槍をくるりと回し、槍の反対側で、キョウコの肩を突いた。

 キョウコが勢いで飛ばされる。魔王の斬撃をかろうして回避した。


 ティナは槍を回し、再び攻撃に移った。

 アーサーは魔王に接近するつもりだったが、躊躇った。

 キョウコの動きがおかしかった。

 ティナは普通に動いている。

 接近したことで、何かが起こったのか?

 アーサーは投げナイフで攻撃を試してみた。

 魔王は避けようともしない。魔王にナイフが当たる。わずかに、出血した。

 クラインは後方で戦況を冷静に見つめていた。それしか出来ないのだから。

 クラインは見た。紫色の瘴気に触れた途端、キョウコの動きが止まった。


「皆、紫の霧に気を付けてください!あの霧に近寄るのは危険です!」


 叫ぶクライン。多分、その予想は当たっている。

 しかし、霧は薄い。どこまでが霧の範囲なのか、完全には掴めない前衛。

 魔王はナイフの傷に軽く手を当てた。一瞬で傷が回復した。

回復魔法を使えるのだ。厄介極まりない。


 ティナはなんとか霧の位置を見ながら、槍を突き続けている。魔王はティナの槍を、右手の刀で捌き続けている。

 そして、左手に力を込めていた。黒い球が、魔王の左手に、徐々に表れる。

 その左手の弾を、ティナ目がけて放ってきた。

黒弾が飛ぶ。ティナは驚いて反応に遅れた。

もう少しで回避出来そうだったが、避けられなかった。

直撃。ティナが後方に大きく吹き飛ばされた。

魔王はすぐに、態勢を整えられていないキョウコに狙いをつけた。接近。


 マルシェは一生懸命考えていた。クラインの魔法は効かない。

魔王の武器は刀。魔王に近づくと動けなくなる。

アーサーの投げナイフは命中して、わずかだけでもダメージは通っていた。

魔王は回復魔法を使える。魔王は黒い球の魔法を使うことが出来る。

 たくさんの情報を得た。そして、今の状況。

アーサーはキョウコの助けには入れない。動きが止まってしまう。

このままでは、キョウコが殺されてしまう。


 マルシェは転移石に強く念じた。ここまでだ。撤退するしかない。

全員の転移石が砕け散った。

そして、六人は一瞬にしてその場から消えた。

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