4 スキル
「おぇ..」
様々な記憶や感情が流れてくると、激しい頭痛や吐き気が俺を襲ってきた。
悲しい...何故?たくさん奪われたから、たくさん殺されたから。憎い...誰が?人間が。何故?分からない...殺してやる...誰を?人間を。何故?憎いから。
この感情は何だ?俺の感情?違う...違くない。何故こんな感情が湧いてくる?分からない...けど、一つだけ分かることがある。
「人間は悪だ」
そんな声が聞こえ、ふと前を見ると、目の前の女神は笑っていた。
「うん。いい感じに壊れてくれましたね。それではスキルを渡します」
そう言って女神が俺の頭に手を置くと俺の体は暖かく、優しい何かに包まれた感じがした。
「あなたに与えたスキルは2つです。一つ目は言霊。そうですねぇ..説明としてはあなたの言葉によって何かを動かしたりできるといった感じでしょうか。まぁ実際に使ってみたらわかると思いますよ。2つ目のスキルは『想造』これはありとあらゆるものを思い描き、作ることができるというものです。俗に言うぶっ壊れスキルみたいなスキルですね」
さっきまでの自分ならここで何か言ったかもしれないが、今は不思議と言葉が出てこなかった。
「では、あなたには今から一年間私の作った空間で修行してもらいます。」
女神がそう言うと俺の隣に楕円形の穴の様な物がができた。
「向こうでの修行期間は一年間と言いましたが、それよりも早くあちらの世界に行きたかったら向こうにボタンがあるのでそれを押してください。それではまた」
女神がそう言うと俺は「ああ」と一言だけ言い穴をくぐった。